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南長野運動公園総合球技場【スタジアム訪問記】

 

2017シーズンの振り返りブログ下編は一旦おやすみ

(月末までに書きたいと思います)(書くまでにまた動きがあるでしょうけれど、M.K氏招聘・Y.M氏スカウトに復帰ぐらいはあるんでしょうな)(なんならR.T選手とかM.Y選手獲得とかもありそう)

 

Jユースカップ決勝の観戦で長野Uスタジアム(南長野運動公園総合球技場)に初めて訪れたので、いい機会だし備忘録的に京都スタジアムと比較しながらレポートを。

 

 

 

南長野運動公園総合球技場(長野Uスタジアム)

入場可能者数 15515人
開場 2015年3月(現スタジアム)
アクセス JR篠ノ井駅より徒歩30~40分
事業主体 長野市
所有者 長野市
運営者 南長野スポーツマネージメント共同事業体
設計者 竹中工務店・東畑建築事務所・アーキプラン
建設者 竹中工務店・北信土建・千尋建設
総事業費 80億円
内スタジアム本体 69億円
フィールドサイズ 128m×90m
天然芝 120m×80m

 

JR篠ノ井駅近くのセブンイレブンでレンタサイクルをお借りして飛ばすこと10分。2つの大きなスタジアムを擁する南長野運動公園に到着。

レンタルサイクルやってます[南長野をつなぐレンタル自転車] | 公益社団法人南長野青年会議所 2017

最寄りである篠ノ井駅からスタジアムへ向かうには、①徒歩②レンタサイクル③タクシーの内いずれかを選択して向かうことになるので、健脚でもなく、単独で会場へ向かう人は長野駅からのバスとどちらを選択するか吟味する必要があると言える。

篠ノ井駅~スタジアム間を自転車で走った感想としては「南茨木~市立吹田よりややしんどい」。駅周辺にいくつかレンタサイクルはあるようだが、台数に限りがあるのでパルセイロ公式戦の際はどうなるのか…やはり「最悪歩きでもいい」という人にしかおススメはできない。

 

 

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スタジアムは、1998長野五輪の開会式会場で現在はBCリーグ信濃グランセローズの本拠地である長野オリンピックスタジアムと隣接している。

スタジアムへと伸びる大きな「ビクトリーロード」、場外コンコースは車も入る事ができるようになっており、緊急時の車両手配はもちろん、バンドワゴンの乗り入れも可能なつくり。

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先日公表された沖縄県のJリーグ規格スタジアム整備基本計画では、国内においてこの手の場外コンコースは実例がないとされていたが、見落とされていたのだろうか?

京都スタジアム(仮)も南長野と同じ東畑建築事務所が設計に携わっており、この外周コンコースをはじめいくつかの共通点が見受けられた。

 

 

スタジアム内部

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一枚目の写真からわかるように、ベンチがスタンド内に埋め込まれるような形で設置されている。Jリーグの基準上、プレミアリーグであるような屋根ナシのベンチ(※各自検索してください)は置けないのだが、極限まで距離を取っ払ったと言えよう。

スタジアムの形状としては、全面屋根付きで南側のアウェイスタンドのみ1層となっている。北サイドスタンド・バックスタンド・メインスタンドが繋がり、U字型を成していることが愛称:長野Uスタジアムの由来である。日本でここだけのU字型スタンドは、芝育成の為の風と日光の入りを考慮した設計の結果であり、南北のスタンド下にも通風孔が設けられている。しかし、その分、寒い時期の観戦では風に苦しめられたりするのかもしれない、、(憶測)

京都スタジアムとの共通点その②としてこの通風孔が挙げられるが、騒音対策等の観点などから南長野のような上層の客席~屋根間のスペースは開けない。風の入りは悪くなるかもしれないが、密封されることで音の反響はよりよくなるのではないか…と先日TLに流れてきたツイートと重ねて改めて思う。

https://twi

 

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tter.com/reona32/status/928595445906997248

トイレは入り口と出口が分かれており、混雑を軽減させる仕組みを取っている。旧型のスタジアムではこうした設計すらされていないが、今では標準モデルだ。

1層目と2層目の間(1層目最後方部分)のコンコース幅は通常サイズか。撮影したコーナーフラッグ付近などを除き、基本的にどこからもピッチが望めるつくり。これは京都スタジアムとの共通点その③であり、市立吹田スタジアムも同様のつくりである。

 

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1層目の傾斜が25度。2層目の傾斜が32度。2層目の角度は京都スタジアムと一緒であるが、残念ながら2層目が解放されなかった為に撮影および確認はできなかった。また3枚目の通り、ここでは1層目の最前列から2層目を見ても全く見えないのだが、京都スタジアムでは2層目後方からも立って見る場合だと1層目最前列が見れるらしい(ソースは府から貰った回答)。

それから、大型映像施設。南スタンドの屋根上に一機設置されているのみなので、アウェイ自由席の客はビジョンを観る事が出来ない。元々は北スタンド上層に設置予定だったのが変更された。来場者への案内や災害時の喚起、演出なども考えると、やはりビジョンは2機欲しいなと個人的には思う。105m×68mをカバーしないといけないサッカーもなかなかわかりづらいが、スクラムを組んだりビデオ判定が進んでいるラグビーでは観戦しやすさを追求する上でより重要ではないか。

スマートスタジアム化を進めて、スマホで対応できると少しマシにはなるが、、はてさて。

 

 

見易さ

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サイドスタンド(ゴール裏)からゴールラインまで11.5m。バック&メインスタンドからタッチラインまで11mの近さかつ、25度の傾斜なので近い!見易い!陸上競技場とは違う!

京都スタジアムは10.5/7.5/8.5なので、最前列あたりでは南長野よりピッチに近い所で観戦ができます。

 

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気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、椅子はVIP席とマルチボックス席(写真)を除いてどこも背もたれアリ/非跳ね上げ式/ドリンクホルダー付き仕様。コトブキシーティングのHPを見ればわかります。

VIP席とマルチボックス席は跳ね上げ式。改修前の南長野球技場芝生席の雰囲気を残してほしいとの意見もあり、カスタマイズされて設けられたテラス席部分には固定椅子は設置せず。テラス席の方は一般販売されています

 

京都スタジアムでは北サイドスタンド1層目のコーナーあたりに座敷席、その他にVIP席・スカイボックス席・レストランテラス席を整備予定であり、南長野よりも多様なサービスを提供できそうです。

 

 

以上

 

-2017年シーズン振り返り- 京都サンガに何が起きたのか?【中編 たった一年しかもたなかった規律】

 

史上最悪の2017年シーズンを振り返るにあたり、初回では理解を深める為に2011~2015シーズン(今井社長体制下での5年間)を振り返りました。

 2回目となる今回は、15年オフからの立て直し。そして地獄の16年オフを振り返ります。

上編を読んでから、読み進め下さい。

 

 

失望が期待へと変わった15年オフ

「さて、来年はどうなるかな」「ひとまずお手並み拝見させてもらおうか」と、諦めにも似た感情を抱きながら2015年末のサポーターカンファレンスに参加したサンガサポーターは多かったのではないでしょうか。私もその1人でした。

が、良い意味で裏切られる展開が待ち受けていました。

議事録から抜粋して要旨をまとめると

今までの反省を生かし、統一したチーム作りを推進している。監督の方針、戦術にあった選手を選定

「闘争心を持ち、フェアプレーに徹し、最後まで全力でプレーする」という方針を掲げ、この方針にそぐわない監督からの売り込みは断った

「9月の段階で、海外を除き人選を行い、クラブの方針に合致した監督が結果として、ご指摘の監督でした。メールでも回答いただきましたが、やってみたい仕事、すなわち、サンガの再生を強く思っていただきました。しかし、やるべき仕事とやってみたい仕事が違ったと、選手の慰留やチーム状況で苦しんでいるクラブを見捨てることはできないとおっしゃっておりました」

赤字になったとしても強化する。大手スポンサー様からのご支援も取り組む。にわとりが先か、卵が先か、今回は「卵が先」

驚くような選手を含め6人の獲得が確定している(補足:おそらくポジション的にイヨンジェ,堀米勇輝,アンドレイ,染谷,牟田,本多*1 )

 という事で、戦略→組織づくりという当たり前のプロセスでチーム作りに取り組むことがわかったほか、事前に報道で漏れていた、国内有数の監督であるチョウキジェ氏へのオファー*2 をクラブは認めました。

チーム編成の戦略・軸の策定に、高いレベルで戦術を駆使し駒を活かせる監督を札束ビンタしてまで引っ張ってこようとする姿勢、突然の『正常化』に期待は高まる高まる。

残念ながらキジェ氏を招聘する事はできなかったが、シーズン途中から指揮を執りチームを立て直し、一定の成果を残した石丸監督が「理念に合う」としてそのまま指揮を執ることに。

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「ひょっとして来年はいけるんじゃあないか?」。補強の中身が明らかになると同時に、「J1昇格。そしてJ1連覇」の妄言ともいえる理想にも現実味が帯びてゆく。菅野が来るなんて誰が予想したことか。

駒井だけでなく、伊藤原川宮吉ら若手の相次ぐ流出。SHとFWの駒不足は不安材料であったが、「当たり前のことにしっかりと取り組む」、一年前の事を思うと感慨深いもの。(※ただし2億円赤字出してまで組んだスカッドです)

J2 17位からの再起を図る、そして昇格をつかみ取りに行く勝負のシーズンが幕を開けました。

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安定するも課題に泣いた2016年シーズン

 石丸監督は15年シーズン途中に就任した際もそうでしたが、まず4-4-2のブロックを敷いたゾーンディフェンスの徹底と、攻撃時には「相手を見て」を速攻と遅攻などを使い分ける事を求めました。

 

しかし、開幕5試合で4分け1敗とつまづきスタートダッシュに失敗。攻撃の形が無く試合が硬直化、石櫃の攻め上がりや個人技など個の力に頼ることが多かったですね。

湘南ベルマーレが良い例ですが、J2でスタートダッシュを決められるチームは昇格戦線において強いです。J1への選手流出や、残留争いやPO争いに向けた監督の交代等、リーグの特性上リセットを余儀なくされることが多いJ2において、早い段階で戦術が浸透しているチームはその優位性で殴ることができます。湘南の場合、2012年に開幕10試合で8勝1分1敗。2014年に開幕14連勝。驚異の強さでした。

 

話を元に戻します。スタートこそ出遅れた者の、10~11節のセレッソ大阪戦と清水エスパルス戦では戦力的に劣勢が予想される中、ロングカウンターとセットプレーから得点を奪い、GK菅野を含めた粘り強い守備で6ポイントマッチに連勝。9戦負けなし(7勝2分)を記録し、一時は自動昇格圏内へ上りつめそうな勢いに。

しかし、その後は引き分け癖か連勝も1度のみ。J1昇格PO圏内を安定してキープはするものの勝ち点69のシーズン5位でフィニッシュ。

J1昇格POでは準決勝にてセレッソ大阪とドロー。年間順位で京都より上だったセレッソ(4位)がアドバンテージで決勝進出し、そのまま昇格枠3枠目をつかみとったのでした。

セレッソ戦では守備の不安定さと攻め手の乏しさという通年の課題がもろに出てしまい、最後は拙いパワープレーに出て下手を打つという痛恨の展開。雨中の試合でフィジカル強度の差がよりにじみ出てしまったのも、実力不足・資金力不足を感じられましたね。

 

もしも雨じゃなかったら、もう少し京都のゲームができたと思います。

勿論、雨だろうが晴れだろうが、「POで勝っていたら…」とも当然思っています。今でも。

 

それはただ単に「J1へ行きたかった」とか、「今年壊われたから」というのもありますが、Jリーグの潮流が大きく変わった事が個人的にもクラブ的にも一番大きい。

Jリーグの有料放送がスカパー!からDAZNに移ったことはサッカーファンなら認識済みだと思いますが、DAZNJリーグとの契約で支払ってくれる巨額の放映権収入で、潤ったJ本体はJ1へ集中的にその金を分配→Jリーグの魅力を高める事にしたのです。

まず、2017年のJ1クラブは均等配分金で3.5億円もらえます。J2は1.5億円ですから2億円もの差があります。

更に、J1で優勝すると優勝賞金3億円+新設された理念強化配分金15.5億円が貰える事になり、合計で22億円も貰えちゃうわけです。

 

2016年シーズンの京都サンガは、チーム人件費に9億6000万円も費やしてチームを編成しました。その結果、営業費用20億円とJ2ではトップクラス・J1ではショボい程度の支出額となり、最終的に2億8400万円の赤字を計上しました。

「収入が年間予算が20億円に満たないようなクラブでも、J1に上がって優勝すれば予算1年分以上が貰える!」という視点で見れば大変夢がある話。逆に、「このお金が今いるお金持ち達の手に渡ったら、差は更に広がり追いつけなくなる…」という視点で見れば大変残酷な話。

 

京都の場合、京セラをはじめとする大手スポンサー企業が複数存在する為、昇格できれば一気に30億円程度の金を使う事もできたかもしれません。半分の15億円をチーム人件費に費やすとして、J1トップで20億円ちょいの世界ですから、本当に昇格即優勝→ビッグクラブへ――

という夢物語の実現もあったかもしれません。現に、収入30億円・人件費約15億円を費やしながらJ2をギリギリ脱出という半端ない効率の悪さを誇ったセレッソ大阪は、ユン監督招聘で一気に生まれ変わり、一時はJ1首位、そしてクラブ初タイトル獲得と夢物語を(一部分)現実にしています。

プレーオフで上がったのがセレッソ大阪ではなく京都サンガであればどうなっていたのでしょうか……?

 

 

 

石丸監督の功罪

2016年シーズンについて、もう少し深堀りしてみましょう。

石丸監督の良かったところと言えば守備の安定。15年の51失点から、16年は37失点と大幅な改善でした。

「J1でも通用する守備か?」と聞かれると答えにつまりますが、J2では簡単に失点をしない程度の守備ではあったかなと。

 

一方、攻撃面ではたったの51得点と課題が残りました。

「決定力不足」という月並みな言葉で終わるような問題ではなく、流れの中から&セットプレーからの両面で攻撃の型がなかった事が、上位6チームの中で最も多い引き分け15個にもつながってしまったことかと思います。再現性のある崩しは見られず、攻撃回数などのデータでも他チームより劣る結果となっています。

以下の画像はフットボールラボのデータですが、高さのある選手をそろえただけに、セットプレーでの得点がもう少し伸びるだけで年間の勝ち点は異なっていたのではないでしょうか。

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また、サッカーは攻撃と守備を分けて考えてはいけない競技です。得点力不足については守備にも原因が考えられます。

大木武監督のサッカーがまさにそうでしたが、高い位置、すなわち相手ゴールに近い場所でボールを奪取できればその分奪った後の攻撃で有利になります。

昔のサッカー動画(20世紀~2002年頃)を見れば一目でわかりますが、現代サッカーとは比べ物にならないくらいプレー速度が遅い! 現代サッカーでは戦術の高度化や選手のアスリート能力向上に伴って、守→攻(また攻→守)の重要性が高まり、「トランジションサッカー」なる用語まで出てきました。

 

2016年の京都のゴールパターンをちゃんと整理してみると、高い位置で奪ってゴール!という得点は、北九州戦(A)でプレスしてスローイン獲得→素早く投げて山瀬が決めたもの以外にないです。

一方、ロングカウンターは非常に多いです。この事はプレッシングで果敢に守るより、ブロックを敷いて守る形をとったことと関係していると思われます。

 

じゃあ「前からハメていけばよかったのか?」というと、そういう訳にもいきません。

昨年の京都の場合、開幕戦ではFWに有田とイヨンジェという比較的運動量があってパワフルめの選手を2トップに起用していました。

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これが、開幕直後に獲得→合流したエスクデロのコンディション向上に伴い、エスクデロを2トップの一角に入れ、MFとCF(この場合ヨンジェ)の間に入るセカンドトップ(ST)のような機能を持たせるようになりました。

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これは、強化部の「エスクデロサイドハーフ(SH)で使える*3」という目論見と、実際のエスクデロのプレーに乖離があった為にST固定となったのだと思います。事実、SHで起用された清水戦では早々にイエローカードを貰うなど、SHとして計算の立ちにくいプレーをしていました。

FWにおいても守備タスク・運動量の問題はつきまといますが、多少は免除して攻撃面で収支が合えばよい話。なにより、有田もイヨンジェもいい選手ではありますが、石丸監督に課された守備タスクをこなしながら得点を量産できるような能力は残念ながら有していなかったのが現実です。(もちろん、個人能力でどうこうできる訳でもないですし、石丸監督の「罪」の部分が大きかったのも影響していますが)

京都の選手の中では非常に個人能力の高いエスクデロは使いこなしづらさもあるけれども魅力的。そこで、前からガンガン行くのではなく、リトリート気味にブロックを敷く形にして、FWに組み込んだと。これがロングカウンターでの得点数増加の要因ではないでしょうか。

 

ただ、エスクデロ選手。アシスト数11とチャンスメイクでは結果を残しましたが、ボールを持ちすぎて孤立するような場面もありましたし、なによりゴール数がたったの5に留まった事は誤算でした。もちろん彼個人だけが悪いわけではありませんが、獲得に失敗したクリスティアーノ選手(現 柏)ならば…と(※京都サンガJリーグ1のたらればクラブなので私の「たられば」にももう少々お付き合いください)

ジェイ選手ぐらい得点数があるか、鄭大世選手のように攻撃面での結果と守備を両立してくれる活躍が(年俸的にも)求められていましたから。コスパ悪いな…と。

 

また、数少ないSH枠である堀米選手・山瀬選手、そしてロビーニョ選手が、単騎突破力ないし前への推進力を持っていたことも功を奏したのかもしれません。本来FWのロビーニョ選手を右SHで使うくらいやり繰りには苦労していましたし、他に人材がいればゴールパターンや数も異なったかも。

 

結果として、「コンパクトなブロックを敷き、エスクデロの守備タスクを軽減しながらJ2ではやられない程度の強固さがある守備を構築できた。」「奪う位置を低く設定した為にロングカウンターが主なゴールパターンとなった可能性がある。攻守にエネルギーを使う事が多く、またSHの少なさや得点源となるFWの不足などリソース不足が攻撃面で影を落とした恐れがある。セットプレーでの得点数の伸び悩みや、エスクデロの攻守の収支の釣り合わなさも足を引っ張った。

というのが昨年の京都サンガではないかなと思います。

 

また、人件費の順位がリーグ3位で、2億円強も赤字を出しているのに対し、試合成績は自動昇格圏からかなり離れた5位だった事も課題の1つでした。先ほど説明したように、Jリーグの構造が変わる中で「勝ち組」に入っていくには昇格がマストでしたから、なによりも結果が残せなかった事が非常に残念な点です。もう少しはうまくやれたかなというチームでしたから。

ただ、今井体制で弱体化したが為に選手を他所から引っ張ってくる必要があり、必然的に選手年俸が高騰した側面がある為、ただ単に「コスパが悪い」と切り捨てられるものでもないです。(念の為)

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それと「一丸 よみがえるサンガ」というフレーズをスローガンに戦いましたが、実際に「目に見える範囲での一体感」はありましたね。これは間違いない。


 

 

チームからやりだした訳では無く、リードされている方がまずなによりのきっかけでしたが、それにノった選手およびコーチングスタッフは、お客を楽しませて収入を得ているプロとして素晴らしい働きを見せてくれたと思います。勝敗とは直接関係ないかもしれませんが、ピッチ外でこうした行動ができるのは素晴らしい事です。

 

ただ、一体感があろうがなんだろうが気持ちでどうこうできる訳ではありません。J1昇格&定着を考えるともう少し上積みが欲しい状態。

なにより、クラブライセンス制度とDAZNマネーを考えると、2017年は絶対に失敗の許されないシーズン。昇格を果たす為のより一層の努力が問われるオフシーズンになりました。

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狂気が再び目覚め始めたオフシーズン

「どう上積みするか?」という問題に対し、クラブが下した判断をざっくりまとめるとこうでした。

 

http://www.sanga-fc.jp/uploads/pdf/20161217sapokan_005.pdf

石丸監督と古邉フィジカルコーチの解任

「闘争心を持ち、フェアプレーに徹し、最後まで全力でプレーする」サッカーを実現できて、2016シーズンの課題を解決できる布部監督の招聘

決定力不足を補うストライカーの獲得

精神的支柱の獲得

個で打開できる選手の獲得(ドリブラー)

ボールを奪い、縦に正確なスルーパスを出せる選手の獲得

セットプレーのキッカー不足解消

 

①の解任については、わからないでもない事です。先ほど挙げたように石丸監督で1年半やってみて見えた課題はありました。

しかし、石丸監督の後任に監督未経験の布部氏を招聘した事は謎でした。当然、サポーターカンファレンスでもこの点は皆問い合わせようとしましたが、「監督(監督の選定方法)、これは絶対聞かれると思っていましたので、持ってきました(資料掲示)。実を申しますと「リーダーシップ」「マネージメント能力」「フットボールスキル」を基準に、来てくれる可能性のある監督、外国人も含めまして、みんなで採点をしまして、それの平均点を取りました。実を申しますと、布部さん、監督経験がないのに採点できるの?との話も出ましたが、実際には断トツでこの人しかいない。ということで選ばせて頂きました。先ほども言いましたが、3年連続で赤字は出来ませんので、来年が我々の勝負の年になります。3年、4年、今年の体制で続けられるのであれば、守備面を完璧に立て直してくれた石丸監督にいてほしかったんですけど、残念ながら、時間もお金もないということで、泣く泣く解任をさせていただきました」。とのこと。

昇格が必須の年に未経験の人が断トツでトップになるリストって、他の候補者の所は「バドゥ」「和田昌裕」「前田浩二」「セホーン」などと書いてあったんでしょうか? どんなリストなのでしょうか?

クラブライセンス制度の関係上、赤字を計上してまで補強ができるのは最大2年まで。正真正銘勝負のラストイヤーとなる年に、実績のある監督を招聘するでもなく、未経験者を招聘という大大大ギャンブル。ギャンブルに失礼なくらいですけど。

ちなみに、強化部の小島卓スカウトは神戸時代に布部氏と同僚

布部陽功 - Wikipedia

小島卓 (サッカー選手) - Wikipedia

 

更に、造反が原因でクラブから追放する形 *4で山形へ出した大黒を決定力不足を補う為なのか復帰。+精神的支柱として田中マルクス闘莉王を獲得。

 

闘莉王の獲得自体は私は賛成でしたが、「明快に分かったんですけど、ism、主義がないんですね。作戦と選手の能力だけでは勝てない。今年の戦績がよく示しております。ここ一番で勝ったのは、(10/30)岡山戦だけ。もうここ勝てば、勝ち点差4差に縮まるというところで負けて10(点差)に広がるとか、何回も繰り返しました。これは選手たちも、頭をひねるところでございます。鹿島の「ジーコ・イズム」にあたる、チームの芯がないということで、我々は結論付けをいたしました。ンガバリューだけでは不足なのか?の不徹底なのか?という話までやりましたけれども、「じゃあこれは何で?」って言ったら、ピッチ上での精神的なリーダーとしては、菅野選手(キャプテン)がおりますが、菅野選手はGKでありますので。今季は1点取られて、取り返す、追いついた試合が3試合しかないんじゃないかな、その弱さというのは、チーム全体が若くなったというのもありますが、先制されていますと下を向いてしまうという悪い流れを取り戻すことができなかったことにあります。「じゃあ、それは何で?」ということになりますと、いまほど申し上げました通り、キャプテンの菅野選手はGKなので、前線まで気迫が届かない。ピッチ上での精神的なリーダーが明確でなかった。という結論付けをしております」。

という、「何その旧日本軍的考え方?????」な話も出たので、15年末のサポーターカンファレンスで見えた当たり前の強化プロセスはどこにいったのか……?と。ほんならね、竹槍でB29落としてみせてくださいよと。

 

5000兆歩譲って、仮に精神的支柱が解決策だとしましょう。

それで解決するのなら既存のコーチ陣および選手層に闘莉王を組み込めば良いじゃないですか? 未経験の監督連れてきてまでガラガラポンする意味ないじゃないですか?

 

更に、チーム得点王(タイ)でありながら戦力外通告となった山瀬功治選手はブログにて、

本日、チーム側に詳しい話を聞きに行きましたが、来シーズンのチーム編成を考える中で、様々な観点からチームの事を考えた所、構想外になったという点。また、今シーズンの僕自身のプレーに対するチーム側からの評価の部分においても戦力外になったという事を聞かせて貰いました。」と公表。

チーム得点王でバリバリ活躍していた選手でも、年俸や年齢などからクビになる事があるのは三浦知良柳沢敦への戦力外通告をやらかしたクラブのサポなのでよーーーーくわかっていますが、プレー自体がダメだったというのはどういうことか?

後に私はにわかには信じがたい話を聞くのですが(※自主規制)、つまりは理由は後付けて追い出したのではないでしょうか? 2017年シーズンのチームがベテランばかりで、かつ90分スタミナが持つことがない背番号4番の選手がなぜか必ずと言っていいほどスタメン起用されている。一方、山瀬「ら」は昨年とそん色のない活躍を他クラブで見せている。なによりの証拠でしょう。

その内、どこかの新聞が裏取って書いてくれるといいのですが。

 

また、⑤に関しては伊東俊・小屋松・岩崎(新人)を獲得したものの、伊東は今季SH起用と謎のボランチ起用の数がトントンくらい。後者2人は本職はFW。

⑦に関しては、堀米が甲府にとんぼ返りしてしまい、佐藤健太郎も切った為に左利きのプレースキッカーが全滅。右利きに関しても山瀬を切ったので石櫃とエスクデロの2人のみ。

⑥に関しては名古屋の田口*5 中村俊輔に手を出すも獲得失敗。

サポカンで言ってる事が表面的・抽象的、的外れなのに、実現すらできていませんね。

 

 

この結果、ボランチ本職の選手が吉野&ハソンミン&望月の3名のみ。

手薄なSHは、主力のチーム得点王の山瀬(16年J2リーグ成績34試合7得点)と堀米(同37試合7G8A)が抜けて、代わりのSH本職選手が田村(出場時間19分)+島村(新人)+伊東(28試合1G)+小屋松(J1 6試合0G)。

何もかもが狂った編成でそのまま2017シーズンを迎えます。これでも1.5億円赤字になるほどチーム人件費に金をつぎこんだ編成です

 

そもそも監督未経験だから予想フォーメーションもわからなかったし、編成の組みようもあったのかどうかすら怪しいですが、下の図は16年に採用していた4-4-2を用い、2016年と2017年の編成を比較したものです。

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↓(※オリスとハソンミンはKリーグからの移籍の為にここでは〇付き)

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https://twitter.com/ryoutarou888/status/832021750812520448

たったの一年で組織としての規律が崩れ落ちた京都サンガ

2015年オフと2016年オフ間で言っている事とやっている事に大きな違いがある中で、一体どこが「統一したチームづくりの推進」なのか?

新人監督は石丸体制の課題を克服しJ1へ導けるのか?

 

本当の地獄はこれからであった……

 

 

今回は(上編と比較すると)少しざっくりとした振り返りになってしまいましたが、次はこれでもかというほど罪という罪を追求します。

最後(の予定)となる次回は、いよいよJリーグ史上の中でも5本の指に入るであろう矛盾と無能だらけの地獄の1年、2017シーズンについて振り返ります。

 

 

 

 

 

 

-2017年シーズン振り返り- 京都サンガに何が起きたのか?【上編 弱体化した2011~2015年】

 

2016年のJ1昇格まであと少し…という所から、今期は一気に落下。

1億~1.5億円もの赤字をこさえるほどチームの強化にお金をかけながら、開幕から一度も一桁順位を記録しないという空前絶後の低迷。全42試合中40試合を終え、13勝15分け12敗の勝ち点54で11位。J1昇格は消滅済みです。

更に、ただ単に弱いだけならまだしも……

 

なぜこのようなクラブ史上最悪とも言える状態になったのか? 後世と世間に伝える為にも、2017年シーズンについて振り返っていきたいと思います。シーズン終わってないけど。

 

ただし、2017年を語るにはまず2011~15年の間の文脈と、2016年を振り返らなければなりません。(本当はもっと遡る必要があるけども)

そこで第一回となる今回は、より深堀りするためにも2011~2015シーズンを改めて振り返りたいと思います。

※3回にわたって整理する予定です

 

 

 

再建と崩壊の5年間

2011から2013年

2010年にまたしてもJ2降格となってしまった京都サンガF.C.は、リスタートにあたって南アW杯日本代表コーチの大木武氏を監督に、オシム監督招聘で知られる祖母井秀隆氏をGMを迎え、今井浩司社長との三頭体制で久々のJ2の舞台に挑むこととなりました。なお、大木監督の招聘経緯は稲盛会長が岡田武史氏へオファーを出したが断られ、代わりに紹介されたのが大木さんというものでした。

稲盛和夫名誉会長(78)と親交の深い、前日本代表監督の岡田氏が筆頭候補だったが、同氏は拒否。大木氏が最有力候補に浮上した。

日刊スポーツ 京都新監督にW杯16強コーチ大木氏が浮上

このチャレンジでは、2度の昇格PO敗退&天皇杯準優勝とターニングポイントでの勝負弱さが仇となってチャンスをつかみ損ね、一度目のPO敗退の時点で退任を心に決めていた指揮官は「新しい1ページを作ろうとしましたが、できませんでした。シーズンは終わりましたけど、サッカーは続くので、これをいい経験にして、また次のシーズン、がんばれるような京都サンガになってもらえればと思います」とコメントを残しクラブを去っていきました。もしここで昇格できていたら…

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ただ、決して順風満帆ではなかったけども、ボールに対して選手がガンガンと飛び込んでいく守備と攻撃でゲームを支配したサッカーは実に魅力的で、"京都らしいサッカー"だなんて形容されるまでに成長しました。一貫性のなさだけはJリーグ1の京都サンガの歴史上、本当に稀なことだったと思います。また、柱谷監督時代にスタートしたスカラーアスリートプロジェクトの恩恵を受けた育成組織出身選手がメキメキと頭角を現し、育成型クラブの実現に向けても大きな進歩が見られました。

契約を全うしてクラブを去った監督が17年ぶりという事実からも、指揮官(と指揮官へのサポート)が在任中に残したレガシーが大変貴重で有意義なものであったことは間違いないありません。

私も大木さんのおかげでサッカーにカテゴリーなんて関係ない事を学びました。

そして、エルゴラッソ2013年シーズンJ2総集編にライターの雨堤氏が寄稿したあの美しい文は、私をはじめとする京都サポの総意であると信じて止みません。あの2Pはサッカー関連の記事の中で世界一美しい記事だと胸を張って断言します。

 

さあここから足りないものを埋めにいこう―― 

その矢先でした。悲しいことに、右肩上がりだったはずのクラブは2013年オフから大きく狂いだします。

 

 

2014年

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まず、Jリーグの中で最も最後に行われる昇格PO決勝で敗戦し、指揮官である大木が退任したことから、13年オフのストーブリーグで大きく出遅れてしまいました。招聘した新監督のバドゥ氏も「勝ち点100、得点100を目指す」と意気込むも只の愉快なおじいちゃんでしかありませんでした…

もしここで、祖母井GM千葉時代に招聘したベルデニック氏を呼べていたら…

バドゥ監督はチームに規律を与えず、選手に混乱と嫁の手料理を*1、他サポへは笑いのネタを与えただけ。練習でやったことのない3バックを突然試合途中に導入させるなど、戦術0の狂った集団は全力少年がごとく大木体制の積み上げたものをぶっ壊しました。当然ながら一度崩壊してしまったチームは森下仁志監督代行と川勝良一監督の下でV字回復を遂げるまではいかず、クラブ史上最低のJ2 9位フィニッシュ。6位までが進出できる昇格PO出場すらも逃す結果となりました。

この結果を受け、バドゥ監督招聘など昇格失敗の責任を取る形で祖母井氏がGMを退任。バドゥがダメになった時点で氏は実権を失ってしまいましたね…(ただし、高間・細川と京都サンガの弱さを象徴するような古参の強化部スタッフもお祓い箱へ *2

また、現日本代表FW久保裕也らをスカウトしてきた高本詩史氏が残念ながら退任し岐阜へ移る形に。

 

シーズン最終戦の会見にて川勝監督が「ただ、残念なのは一枚岩になっていない様な気はしますね。本当にもう、サポーターも熱いし、一生懸命応援してくれるし、選手も本当に京都に馴染んで京都を好きでいてくれる。だからフロントの人ももっともっと入ってきて、一緒になって強くするということを考えないと。誰かのものでもないしねチームは。クラブは、全て京都の人の誇りみたいな、そういうチームであってほしい」と語ったように、フロント内部において祖母井氏や元からいた強化部スタッフや今井社長間で一種の派閥争いのような決裂が走り、「フロント内部の亀裂も決定的になった。複数の関係者は、クラブの意思決定方法に疑義を呈す。ある幹部は「本来、強化部がゼネラルマネジャー(GM)の了解を得て予算や選手編成を考え、GMが責任を取る。だが、それが全部会社が決定している」と明かし、メーンスポンサーの影響力に言及する。クラブの意思決定の遅れにもつながり、夏場に日本人中堅MFの獲得に乗り出したが、最終のゴーサインが出ず、他クラブに先を越されたという。ある幹部は「残念ながら一枚岩ではなかった」」との始末であった為、フロントが良くも悪くも一新となったのは必然ではありましたが……

本当の地獄はここからでした……

 

 

2015年

15年シーズンは2017年シーズンが始まるまでは過去最低だった年です。誰に聞いても最低と言うでしょう。

結論から申し上げますと、この年の京都サンガはプロサッカークラブとしての体を保っていませんでした。私はもう「死んだな、このクラブ。」と思いました。京都からサンガが無くなるなと覚悟しました。振り変えるだけでまあまあ辛い。

 

まず、2014年で一気に強化スタッフがいなくなったので新たな強化部長が就任しました。"ミスターサンガ"なんて言われたりもするクラブOBで強化部に元々いた野口裕司氏です。

今井社長は彼を強化部長に任命し、「強化を一新するのに監督だけを継続するのはおかしな話。これからのサンガを担う強化部が次の監督を、どうサンガのサッカーをつくるかを考えるべき」。Q.自身の責任は「もちろん一番重いと思っている。ただ、今すべてを変えるとおかしなことになるので、まずは強化、チーム編成をしっかりして自分のことを考えたい」」などと嘘ぶいていたが、 実際には監督招聘も補強もサッカー素人である今井社長が仲介人や代理事務所などの力を借りて行った *3

これだけでも重罪だが、まだある。自身の責任問題に発展することを恐れてか、4月に和田監督が辞任を申し出た時にそれを却下 *4。更に7月に試合後の記者会見で辞意を示した監督に対して2度目の却下 *5。最終的な判を押すことに関してはわかるが、なぜ強化部長ではなく経営責任者である社長に強化の人事権があるのか?

更に保身の為の人事権乱用だけではなく戦術面での口出しすら存在した。

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2017年は群馬方面で色々とありましたが、この今井氏の私物化も甚だしく危うくJ3に降格するところでしたから、当時のストレスたるや本当に凄かった。「(不振の原因は)サンガが弱くなったのではなく周りが強くなったから」とか、嘘ばっかりつく人間は要らんのです。

(なお2年後により強大なストレスに悩まされる模様)

(というかこんなヤバイ事が起きていたのに大してネタにされない京都サンガの影の薄さったら一体)

(あ、ちなみに和田監督についてですが、言ってることはまともな割に実現するための戦術と落とし込み能力に欠けていたので『バドゥよりマシ』程度の監督でしかなかったですね。成績はバドゥ以下でしたけど。なんであれでS級ライセンス取れるんだか…)

 

このような事態に稲盛名誉会長が激怒し、和田監督は途中解任。今井も異例のシーズン中での辞任という形でクラブを去りました。京セラフィロソフィーの反する人間は粛清されて当然。

シーズン後のサポーターカンファレンス議事録には報道が事実であったことを認める悲しいやり取りが残された。

(質問)先ほど強化部主体で取りたい選手が一人もいなかったとありました、選手を先に決めて後で監督を決めたと言っていたが、じゃあ誰が主導で今季は選手を取ってきたのか

(山中)本来主導するべきじゃない人間が主導した。

2015年にもなってこのような前時代的な崩壊の仕方をするなんて、一体どんなガバナンスなんだか。Jリーグクラブは社会の公器ですよまったく。

 

素人が作りあげ、保身の為に犠牲となったチームは、前年の9位から大きく順位を下げて17位フィニッシュ。「頼むからJ2にだけは残ってくれ *6」という切ない願いこそはなんとか叶いましたが、クラブ史上最低順位をまたもや更新。

J2 5年目も昇格に失敗したダメージは大きく、J2 1年目より主力として育った世代別代表級の育成組織出身選手がJ1有力クラブへ多数流出 *7。日本代表や海外移籍といった個人の夢を含め、限りあるプロサッカー人生の中で有望な選手が23歳を過ぎてなおJ2にいることはマイナスでしかないでしょう。現在日本代表に選ばれている選手の大半は23歳までにJ1クラブの主力ないし海外クラブにその価値を見出され旅立っていった選手ばかりです。「サンガがJ1にいれば間違いなく彼らはここにいた」と育成・強化に携わってきた本田将也 育成部長が語るように、サンガがJ1にいれば引き留められたでしょう。小学生からサンガで育った駒井善成が「日本代表になる目標があり、代表選手が多くいる中で自分をたたき上げたいと思った。京都でJ1を経験するのも魅力的だが、年齢も考えた」と吐露するまでに至ったことほど悲しいことはありません。

つまり、若手主力選手の流出がなくとも17位からの立て直しは急務かつ難題であり、育成型クラブの実現、そして16年シーズンへ向けて(良い意味での)ドラスティックな変化が求められることとなりました。

 

 

蓄積されたピッチ外のダメージ

また、若手の流出等チーム強化面でのダメージだけならまだしも、今井体制では予算面での見えないダメージも大きかったです。今井体制ではチーム人件費に代表される支出を抑えることで純利益を確保し、債務超過寸前であったクラブを数字上立て直すことはできました。

しかし、肝心の収入を増加させる点については全く手を打てておらず、更に15年は成績の低迷とタダ券バラマキに、ベテラン選手獲得や仲介人頼みの補強で人件費が膨らみ、更には人気の若手選手流出と単年そして今に至るまでの収入支出が狂いに狂わされました。幸いにも、15年度は奥川のオーストリア移籍に伴う約2億円もの移籍金で黒字キープ&増収(前期比)を果たしましたが、赤字を積み上げた2010年以前とはまた種類の異なる、されど大きい負の遺産が残されました。

結果、Jリーグ全体では基本的にどのクラブも経営規模が拡大しているにも関わらず、サンガは極少数の規模縮小組に。球団側が選手の保有権を持っていて移籍がしづらいプロ野球と異なり、サッカーは完全なマネーゲームである。金がなければ良い監督や良い選手をよそから引っ張ったりすることなどできません。

だからこそ育成に力をいれていたのに、主力に定着したところをJ1のお金持ちに買われていった――

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(赤字=営業収益が2015年度>2005年度 水色マス=J1所属)

 

 

このような今井氏のリアルサカつくのダメージで八方ふさがりの状態となった中、J1昇格とクラブ経営の改善の二兎を追うためにサンガが選んだ手段とは……?

それは「赤字を計上してでも補強」というチーム強化への先行投資で"勝ち組"へ転じようというものでした。

  

次回は15年オフの立て直し~躍進の2016年シーズンについて振り返る予定です。

 

 

 

 

 

 

*1:監督夫人がチーム始動時からメンタルトレーニングや食事指導に介入したことも、選手の不信感を増幅させた。クラブ側はやめるよう要請したが、監督は反発

*2:祖母井秀隆ゼネラルマネージャーが、今シーズン(2014)をもちまして、GM職を辞任することとなりましたのでお知らせいたします。なお、同氏は2015シーズンより新設される「育成部・普及部アドバイザー」に就任し、今後もクラブの業務には携わっていきます。また、細川浩三強化部統括、高間武強化部テクニカルディレクターも今シーズンをもちまして、退任することとなりましたのであわせてお知らせいたします。

*3:京都新聞2015年7月11日 昨季途中、今井社長はタイに赴き、和田氏に直接、監督就任を要請している。一体、現場の強化はだれが担い、責任を負うのか

*4:スポニチ2015年8月6日 監督人事権を持つ今井社長は和田前監督が4月に辞任の意向を提出した際も“却下”

*5:スポニチ2015年7月9日 指揮官は“辞任”の意向があるが、監督人事決定権を持つ今井社長が承諾しないという

*6:京都サポーター、異例のJ2残留を懇願

*7:ドメサカブログ 若手選手の移籍が続く京都サンガ、昨季後半戦ポスターのメンバーがついに…

京都スタジアム(仮)主体工事事業者が竹中工務店JVに決定

10月30日、京都スタジアム(仮)主体工事の入札結果が府のHPで公開された。

 

先日の記事では2日後には出るだろうと予想したが、当日に出ず、翌日翌々日が土日だった為に公表されたのは月曜日であった。

 

 

落札に成功したのは竹中工務店と京都の建築会社である公成建設・長村組の3社によるJV。落札額は100億4400万円(税込)。

勘違いされている方も多いようだが、今回の入札はあくまでスタジアム本体のみの入札。電気・機械設備工事(照明とか太陽光発電とかガス設備とか)の入札は別途行われている。なので93億や100億で建つのではなく、最終的には120~125億円(用地取得費別)程度に収まる見込みである。

それでも、日産スタジアムのH29年度改修費83億円+年間の収支赤字額5億×8年=123億円とおよそ同額。もちろん京都スタジアムにも維持費がかかる訳だがあのような誰も得しないスタジアムをありがたがって維持し続けるのは馬鹿な話である。新国立もできるのに。

 

 

話が脱線してしまった。

今回落札したJVの代表者である竹中工務店といえば、南長野運動公園総合球技場(以下Uスタ)と市立吹田サッカースタジアムでの素晴らしい設計と施工でサッカーファンのみならず広く注目を浴びたのが記憶に新しい。

ただ、これも勘違いしている人もいるようだが、竹中は今回の計画に対し設計段階で関与はしていない。吹田では設計と施工を自社で一貫して扱い、南長野では設計・施工共にJVを組んでいたが、今回は上物を建てるだけの話である。

それでも、今回の京都スタジアムでは環境保全対策の1つにプレキャスト工法を活用したコンクリート打設量の減少を定めており、南長野と吹田にてPC工法でコスト削減を実現した竹中だからこそ入札に成功したと言えるのかもしれない。

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京都スタジアム(仮)実施設計を担当したのは竹中とJVを組んだ東畑建築事務所であり、見た目は市立吹田に似ているのに担当は南長野ラインというのもいささか面白い。

今後は11月9日に電気・機械設備の開札がそれぞれ行われ、12月議会に工事契約締結議案が提出予定。工事については、2018年1月中の着工および2019年12月28日までの竣工予定となっている

 

 

 

スケジュール(2017年9月末時点)

 

スタジアム関連のスケジュールメモ。

 

 

PFI導入】

PFI導入に関する調査がH29年度3月末→延期してH29年度9月末期限で取りまとめ予定。調査結果次第では次のステップ、計画策定や運営者の公募に入ってくる。

(※2017/11/16追記 京都府に問い合わせたところ、履行期限を延長して年内取りまとめ予定だそうです。本記事最下部の工程表については修正いたしません。)

 

 

【着工関連】

本体工事の入札と開札はそれぞれ10月23日~24日&10月27日なので、遅くとも翌28日には施工業者がわかる。

府議会9月定例会での担当者答弁によると、12月議会にて業者との契約締結議案を提出予定とのこと。予定だと12月19日に議決予定。(※補正予算の議決日は議会閉会日が通例。一応採決日を確認しておくとよい)

業者は締結の翌日から2018年2月1日までに日にちを決めて工事に着手する事になっている。前回の予算計上時と異なり、第三者委員会と専門家会議の両者から着工OKと出ているので着工時期がズレることはまずない(※あくまで予定)。

それと起工式。サポーターなどからの寄付金で資金調達を行った市立吹田サッカースタジアムではサポーターも参加で行われたが、起工式に参加できる可能性は低い。寄付金調達で府民負担(結局寄付者の大半は府民だろうが)を減らすつもりとの報道もあったので、「機運を高める為に事前予約性で参加させてみては」とか言ったら万が一はあるかもしれない。

 

【地域未来投資促進法関連】

「同意日からH34年年度末日まで」とあるので、9月末から既に開始した事になっており、2023年3月末まで続く。

 

環境保全対策】

アユモドキ保全も含めた環境への配慮は当然ながら今後(着工・竣工後)も続く。

 

 

とりあえず、(PFI導入可能性の結果はまだ出てこないかもしれないけれど)99.9%施工業者がどこに決まったかは10月末~11月1日頃に出てくるので、それを楽しみにクソサッカーを乗り越えるほかない。以上

 (※2017/11/16追記再掲 京都府に問い合わせたところ、PFI導入~に関しては履行期限を延長し、年内取りまとめ予定だそうです。下の工程表については修正いたしません。)

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京都スタジアム(仮)で地域活性化 ~地域未来投資促進法によるスタジアム・アリーナ計画支援のモデルケースへ~

 

京都スタジアム(仮)は我が国の歴史上もっとも多くの行政機関と絡みのあるスタジアムと言っても過言ではないくらい数か月に一回定期であ~れこれ出てくる出てくる。

 

これまでにもtoto助成が決まった点等を当ブログにまとめてきましたが、また新たな動きがありました。それが「今年法改正された『地域未来投資促進法』に基づいた亀岡市の計画が支援対象として認められた」というもの。

 

 

 

 ●これまでのおさらい

まずおさらい。これまで(前回ブログ↑を書いた2017年6月時点)に京都スタジアムに関係する各省庁などからの補助金や支援と言えば

①旧予定地の都市公園取得費用に対する社会資本整備総合交付金

②スタジアム本体の建設費に対するスポーツくじ助成金(30億円)

京都スタジアム(仮)運営権PFI事業導入可能性調査への内閣府からの支援

文教施設における公共施設等運営権制度を活用したPFI事業に関する先導的開発事業に指定

 

があり、そもそもアユモドキ等の件で環境省と絡みがあるし、経済産業省スポーツ庁とも絡みがあるし、総務省とも絡みがあるし…

そしてスマートスタジアム事業の公表後に初めて設計・着工するスタジアムであるし(J1本拠地ではないけど…)、我々は他都市にとって参考になるような、市立吹田とはまた違ったモデルケースとならねばならぬ存在なのです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/ppp_dai5/siryou3.pdf

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(だから、ファーストペンギンである我々がコケれば非常に大きなマイナス効果が生まれるし、J1には上がれなくとも"まともなクラブ運営"だけはしなければならないのに……!!! 違うだろー!この〇〇ー!!!)

 

 

 

●地域未来投資促進法

さて、話は本題の地域未来投資促進法

この地域未来投資促進法は『企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律』という元々製造業なんか向けの法律だったのを、門戸を広げて地域を活性化させる産業へ国が支援をしていくよ!規制緩和していくよ!という法律に改正したもの。ざっくり、アベノミクスの一貫ですね。

 

この法律の事を指していたのか、スポーツ庁などの事業をひっくるめての発言だったのかは当人にしかわかりませんが、安倍首相は今年の未来投資会議で「スタジアム・アリーナをスポーツ観戦だけでなく、市民スポーツ大会、コンサート、物産展などが開催され多様な世代が集う地域の交流拠点に生まれ変わらせてまいります。その際、民間の投資や知恵を呼び込み魅力を高める方針で取り組んでいきたいと思います。自治体や地元企業を巻き込んだ地域ぐるみの取組を後押しします。そのため法律、予算や税制を総動員し、こうした拠点を2025年までに20か所整備します」とスタジアム・アリーナ整備に関係する法整備について言及していました。

 

そして今年度の国会で法案が無事に通り「観光・スポーツ・文化・まちづくり関連」も支援対象になり、そして法改正以降第一陣の亀岡市の基本計画が国から支援を受けることになったのです。わーい。

http://www.meti.go.jp/press/2017/09/20170929001/20170929001-3.pdf

 

 

で、この地域未来投資促進法の存在や可決自体はスタジアム問題やスポーツビジネスに明るい人なら認知していた事でしょうが、いち早く認知していた方も、「いったいどのようにスタジアム・アリーナ改革へ支援が行われるのか?」がいまいち掴み切れなかったのではないでしょうか?

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(一応ミクスタのIoT化とゴールデンキングスの新アリーナに関連した話がスポーツ未来開拓会議に出てたりはしたのですが、法改正は今年の話だったので支援の形もあまり見えず)

 

ですが今回、第1例目となる亀岡市の計画が選ばれた事でその一端が見えてきました。

 

 

 

亀岡市の掲げるスタジアムを活用したまちづくり

亀岡市が国に提出し、支援の同意を得られた基本計画がこれです。

http://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/kihonkeikaku/kyotofu-kameokashi.pdf

 

全部解説するのは骨が折れるので5点のみピックアップ。

 

 

①対象地

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に規定する生息地等保護区、及び京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例に規定する生息地等保全地区は、本促進区域には存在しない

国の定めたガイドラインに抵触しないほか、保津川公園やスタジアム予定地を含む駅北開発地区が直接的なアユモドキ生息地ではない事を改めて国が示した形になります。

 

②目指すべき将来像

促進区域の中でも、特に図1に示した「亀岡駅土地区画整理事業」エリア、「京都・亀岡保津川公園」エリア、桂川改修で生じた高水敷等の「保津川かわまちづくり計画」エリア等において、これらのエリアの地域特性が最大限発揮されるよう基盤づくりを進める。まず、土地区画整理事業地内の京都スタジアムにおいては、国際試合や日本プロサッカーリーグ等によるスポーツ興行の開催や年間を通じた多様なイベントの開催による交流人口の拡大に取り組み、さらに、複合機能化したスタジアムと土地区画整理事業地に誘致される商業施設との連携や双方向の多元的な利用を図っていく

また、新しいまちの機能を高度化するためICT化に取り組み、それにより得られたビッグデータを公開し、そのデータを活用した新たな観光ビジネス等の創出で好循環を目指す

 スタジアムを核に街づくりを行い、その中でICT化を進める事でスマートシティ・スマートスタジアム化を図っていくという所でしょう。(後ほど詳細が出てくるのでここでは短めに)

 

 ③支援の形態

「(駅北地区に誘致するホテルや商業施設の為)不動産取得税、固定資産税の減免措置の創設

「地方創生推進交付金を活用した桂川沿岸の整備やアユモドキ生息環境の保全」「スタジアムや土地区画整理事業地等の機能高度化を図るために情報通信技術を活用し、スマートシティ・コンパクトシティを目指すまちづくりを進めるとともに、森の京都地域や京都市内観光のゲートウェイ機能を強化する取り組みも併せて推進し、促進区域全体で持続的な民間ビジネスが展開・創出される基盤づくりを実施する

京都スタジアム来場者や観光客の消費行動、嵯峨野観光鉄道トロッコ列車保津川下りを訪れる観光客の行動パターン、土地区画整理事業地でのスマートなまちづくりにより得られる様々な情報(ビックデータ)について、インターネットなど、民間企業が利用しやすい環境のもと公開を進める

事業者からの事業環境整備の提案への対応

 という事で、サンガ的にはビッグデータを活用してスタジアム来場者の行動を認知・分析できるのが一番大きそう。指定管理を取れた時のビジネスにも活かせるでしょうから。

IoT化・ICT化とスタジアム運営の関係については、1つは海外のスマートスタジアム事例国内のスマートスタジアム事例。書籍の「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」の元SAPジャパン馬場さんのお話なんかを見てもらうと活用のイメージがつくかと思います。IT技術関連は全くわからないので、馬場さんの逆CRM的お話は非常にインパクトがありました

プロスポーツビジネス 私たちの成功事例

プロスポーツビジネス 私たちの成功事例

 

 

それから亀岡だけでなく、トロッコ列車保津川下りの関係性から嵐山一帯なんかともデータの活用などで組めると良いのですが

http://www.soumu.go.jp/main_content/000493128.pdf

 

④地域経済牽引支援機関が行う支援の事業の内容及び実施方法

地域一体となった地域経済牽引事業の促進に当たっては、京都府が設置する公益財団法人京都産業 21、亀岡商工会議所、地域大学としての京都学園大学、地元金融機関である京都銀行等、情報通信技術(ICT)を最大限活用してスマートシティづくりを目的とする連携・協力協定を締結しているシスコシステムズ合同会社など、地域等に存在する支援機関が相互に連携し、その支援の効果を最大限発揮する必要がある。このため、京都府及び亀岡市では、平成30年度を目途に、これらの支援機関の大多数を含んだ連携支援計画の作成を進めることを目標として、関係支援機関の理解醸成に努める

行政(国)ではなく民間なりの機関とやっていく内容ですね。シスコは市立吹田のサイネージでPanasonicと一緒にやってる企業です。ただ、ここで頭が痛いのが、Jリーグがスマートスタジアム事業で手を組んでいるのがNTTグループ。サンガのスポンサーがKDDI。という事でこのあたりの調整をどうするのか?

個人的にはできるだけスポンサー企業をはじめとする京都企業に参加してもらいたいですし、J1ではないですがスマートスタジアム化をなんとかお願いしたいところ。

 

PDCA体制

毎年5月に有識者会議(地域経済牽引事業促進協議会(仮称))を開催し、基本計画や承認された地域経済牽引事業計画に関するレビューを実施し、効果の検証を行い、その結果及び基本計画や京都府及び亀岡市が実施する事業の見直し等の対応について府や市のホームページ等で公表

戦略・ビジョンに対する実行度や達成度をしっかり精査していく体制づくり。

スタジアムは建ててからが本番です。(広義の)プロフィットセンターとなれるように、施設単体では赤字でも税収や経済効果で利益・公益を生む。あるいは建てたあとも施設の改善・拡充、サービスの通じて単体で収益を生む。ホームタウンの為に、後進の為に、なにより私達市民の為に、こうしたマネジメントは大事です。

 

 

 

●今後のモデルケースに

という事で、(繰り返しになりますが)京都スタジアム(仮)を核とした亀岡市の当計画が地域未来投資促進法を活用したスタジアム計画支援の第一例目になる訳ですが、一言で言えば「スタジアム計画成功およびスタジアムを核としたまちづくり成功の為の支援体制づくり」ですね。

今後のケースでもこのような活用例が主流になる可能性は高いと思います。

 

社会資本整備総合交付金などのようなスタジアム本体建設の為の財源の柱となるような補助金や資金調達方法も欲しいところですが、スタジアム整備は周辺の都市開発と連携しなければ成功できない難しい事業。

その点、今回の亀岡市の基本計画は昨年公表されたスタジアム・アリーナ改革指針の内容に則り、現在不足しているハード・ソフトを整備するような内容。スタジアム本体はもちろん、京都サンガの経営的にも効果をもたらしそうで、(府民そしてサポーターとして)非常に期待の持てる計画です。

スタジアム・アリーナ改革指針の公表について:スポーツ庁

 

また、スタジアム用地の買収などで財政的に支出額の大きくなった亀岡市にとっては、保全努力義務を果たさなければならない中において補助金を得たり、ソーシャルビジネス的なやり方でアユモドキを保全できるのも大きいのではないでしょうか。

亀岡市の掲げる「スタジアム計画と絡めた攻めの保全」に一致するものであり、アユモドキの持続的な保全も京都スタジアム(仮)計画の成否基準の1つと言えますので、こうしたエリアマネジメントも非常に重要です。

 

 

スタジアムと使用するスポーツクラブが持っているハブ機能を働かせて、顧客満足度を総合的に高める事がスタジアム計画成功へのカギ。

今回、ICT化やビッグデータの活用といった一歩進んだ話も出てきた事で、ますます新スタジアムが楽しみになってきました。

 

 

 

 

※なお、札幌市・大阪市大分市の計画において、亀岡市ほどではないもののスポーツチームの活用・スタジアムの活用について明記されています。札幌、セレッソ、大分サポーターの皆さんも軽く目を通してみては

同意基本計画一覧(METI/経済産業省)

 

京都サンガと世代別日本代表の世界大会+α

 

U17W杯が今週末開幕という事で簡単なメモ。

FIFA U-17 ワールドカップインド2017 | JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 

 

京都サンガの選手として世界大会に出場した選手は過去に10名。

福岡と上月が11人目・12人目。

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アカデミー出身者という観点で見ると7人目・8人目になる。

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なお、W杯日本代表にサンガ所属で選出された選手は未だ0である。

 

 

ちなみに、世代別代表とは全く関係ないがACLに出場したアカデミー出身者だとこうなる

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