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【幻のスタジアム②】日本初の複合型サッカースタジアム構想 浜北スタジアム

ふっと湧き出てふっと消えていったスタジアム。計画途中で凍結されてしまったスタジアム。無事に竣工したスタジアム計画の中にあった別案。

そんな我々の目の前に姿を現すことなく消えていった"幻のスタジアム"を掘り下げてみよう…という気まぐれ企画。

 

第2弾は静岡県『浜北スタジアム』です。



日本初の複合型サッカースタジアム構想

近年、日本サッカー界においても、「複合型スタジアム」というワードが叫ばれるようになってきました。
スタジアムに商業施設などを複合化させる発想。それこそが複合型スタジアム。
ドーム球場とホテルや遊園地が一体となった東京ドームが好例ですね。

ここでは省略しますが、複合型であれば必ずしも良いかというとそういう訳ではなく。クラブ所有ならば良いという訳でもなく。

「デュエル」等、ピッチ内の事象に関するキャッチーな言葉同様に、スタジアムに関しても定義や意味を掘り下げられないままワードのみが先行している気がします。

しかし、支障なく無事に実現する複合型スタジアムがあれば、それは大変夢のあるプランである事は間違いないでしょう。いまだかつて日本に大規模な商業施設やMICE施設などを備えた複合型スタジアムは存在していません。

でも実は、25年前の静岡にはそんなプランが存在していたのでした。



Jリーグ創設と静岡サッカー

1993年のJリーグ開幕直前のこと。当時はJリーグクラブの誘致合戦が激しく、「99.9999%無理」と言われた鹿島アントラーズJリーグ加盟がカシマスタジアム整備&クラブハウス整備によってに実現したように、自治体が環境整備に多額のお金を費やしてでも誘致したいという気運があったとかなかったとか。
事実、W杯や国体も影響し、日本のスタジアム環境が著しく改善された時期でした。(負の遺産も多くありますが)


ただ、サッカー王国 静岡は少し異なりました。

Jリーグ開幕以前の静岡県には、Jリーグ入りを狙えるチームが5つ存在していました。
県西部に本拠を構えるPJMフューチャーズ(浜松地域)・本田技研(浜松地域)・ヤマハ発動機(磐田)の3つと、県東部に本拠を構える清水FC(旧 清水市)。間に挟まれた中央防犯サッカー部(藤枝)。

しかし、PJMフューチャーズはJ加盟を目指して鳥栖へ移転し、後の鳥栖フューチャーズサガン鳥栖へ。本田技研浦和市からの誘致を断り地元浜松に拘るも、J加盟までは進展せず。ヤマハ発動機は1年後にジュビロ磐田として加盟は果たすも、いわゆる「オリジナル10」、J初年度からの加盟とはならず。中央防犯サッカー部藤枝ブルックスとしてJ加盟を目指すも、スタジアムの問題から福岡へ移転し、現在のアビスパ福岡に。


複数候補はいたものの、結果的にJリーグへ加盟したのはヤマハ発動機(ジュビロ磐田)と「市民クラブとして理念に適している」とされ初年度から加盟の清水FC(清水エスパルス)の2つのみ。誘致や加盟に成功した他都市と異なり、むしろ数を減らしてしまいました。もっと言うと、当時はヤマハと清水FCが合併する可能性もありましたからね。

複数居たが故に、オール◯◯とは行かなかったのかもしれません。(あるいはかつてのイングランドのように誇りが邪魔をしたのかどうか)
現在も、浜松市政令指定都市の中では数少ないJリーグ空白地帯※となっています。(※浜松市セレッソ大阪ホームタウンである堺市の2つのみ)


浜北スタジアム構想

こうした状況下で好機と見たのか、動きを見せたのが浜北市※でした。(※後に浜松市と合併)
日本初の複合型サッカースタジアム 浜松スタジアム計画を掲げ、ジュビロ磐田誘致に動いたのです。


当時としては画期的かつ壮大な計画で、浜北市平口地区に3万人のサッカースタジアムを核にプール機能や体育館、川を挟んだ向かいに大型商業施設を一体的に整備するというものでした。
大型商業施設はイオン浜北ショッピングセンターと銘打ち、イオンが事業主体。そこに西武百貨店が出店するものだったようです。売り場面積は40000㎡予定*1

冒頭でも述べましたが、Jリーグのホームスタジアムにおいて、今日まで大規模商業施設を併設した複合型スタジアムが無いことを考えると、この計画の大きさと先進性がわかるかと思います。そもそも複合型と言えるスタジアムが神戸とカシマしかないですしね。
(複合型の定義が曖昧という話をしましたが、私はスタジアム本体に欠けている機能を補う付帯施設との一体化=複合型スタジアムだと思います。神戸はスタジアム内にて大規模なスポーツクラブとレストランが運営されており挙式披露宴も開催可能。カシマは大規模なスポーツクラブと診療所が運営されています。ただし、MICE施設のようなスタジアム本体と機能が若干被る場合でも複合型だと思いますし、逆に豊田スタジアムは「複合型なのか…?」と思ってしまうので、規模も影響してくると思います。スポーツを観る場であるスタジアムの中にジムを置く・社交場にレストランを置く。ただのその程度ならば当然じゃないかと。)


言ってみれば、エキスポシティと市立吹田サッカースタジアムが一体化運営されているよう施設と考えればよいかもしれません。

「日本のサッカースタジアム 今日そして明日」内に掲載された各社広告を見ればわかるのですが、実は日本にも昔からサッカースタジアムをより有効活用する発想はあったんです。佐藤工業やCHIYODAの広告で謳われている文句は、まさに現在のスタジアム・アリーナ改革そのもの!
バブル経済の崩壊と同時に淘汰されてしまったが故に停滞が起きてしまったのか。


話を戻します。浜北市自体がJR東海道線からかなり北部側へ位置しており、軌道系アクセスの面では難がありますが、東名高速道路からの近さと比較的車社会である静岡の特性+大規模商業施設による滞留時間の長期化。また、よくある郊外型ショッピングモールとして、車での来場が考えられていたのでしょう。
2010年代現在においては陸の孤島的扱いを受けそうな立地ですが、当時は問題なかったのかもしれません。


しかし、壮大な計画を推進していた市長の贈賄容疑→逮捕により、このスタジアムも幻のスタジアムの仲間入りなってしまいました。

計画凍結/縮小までの詳細については、この方が大変丁寧にまとめられていますので、私が何か言う必要はないでしょう。
1つだけ述べておくと、スタジアム本体のイメージ図等が見つからないので、おそらく設計段階までには至らなかったものと思われます。ジュビロ磐田の移転ありきの話ですし。
matinote.me



予定地のいま

実際にスタジアム予定地となった地区に訪れてみました。

スタジアム計画は幻と化したものの、商業施設は当初より規模を縮小して完成。サンストリート浜北という名のショッピングモールが存在します。
スーパー部分には西友が入っており、シネコンも存在します。The郊外型ショッピングモールといった感じで、実際に買い物してみると規模縮小という割には大きい。かなり見て回るだけで時間が潰れました。
サンストリート浜北|浜松市浜北区の大型ショッピングセンター

川を渡ると公園部分に。スタジアム整備はなくなりましたが、浜北平口サッカー場というグラウンドが整備されています。
ジュビロの育成組織もかなりの頻度で利用しているようです
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もしここに複合型スタジアムが整備されていたら。ジュビロ磐田が移転していれば。
ifの世界に浸るのはあまりよろしくないかもしれませんが、たられば話ほど面白いモノはない。
また、この計画がポシャったから、日本初の大規模な複合型スタジアム整備は今治か長崎のどちらかになりそうな訳で。面白いですねえ。






追伸
HONDA FCの拠点である都田サッカー場から比較的近く、都田やヤマハスタジアムへ車で遠征される際に寄ってみてはいかがだろうか。目の前にはさわやか浜北店もあるし。

ではまた

*1:1996年発刊「日本のサッカースタジアム 今日そして明日」参照

2018シーズン 京都サンガU13・U15 リーグ戦日程

 

今季のヤマトタケルリーグ(U13)とサンライズリーグ(U15)の日程です。サンライズの方は既にスタートしています。

太字は京都での開催。U13は8試合、U15は10試合あります。地理的には今季はかなり観戦しやすい年では?

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会場という点で見ると、貴重な天然芝環境の洛西浄化センター開催がなくなってしまいました。夏場とか関係なく、天然芝でもっとプレーした方が良いと思うのですが…

代わりに今季からは吉祥院開催がいくつかあります。吉祥院はこれまで土のグラウンドでしたが、京都FAが寄付をする形で人工芝ピッチに生まれ変わります。この影響もあって今季から数試合発生。

京都市:吉祥院公園球技場の人工芝化等に関する京都市と京都府サッカー協会との協定締結式について

 

京都スタジアムの建設と水垂運動公園の整備もありますし、環境整備が進んでいるのは良いことなのですが、もう少し天然芝を重視してほしい。私立校の人工芝ピッチで世代別代表チームがキャンプ張ったなんてほんとに恥なんですから。

あと見てる方も暑いのよね、人工芝は。

 

 

 

 

【振り返り】2018 明治安田生命J2 1節 京都-町田 ~ボランチの選出について~

 

「やっぱりな」と、ため息漏れる結果となったJ2開幕戦。昨年同様、振り返るだけ労力の無駄のような試合でしたが、ふと気になったことがあったのでその点だけメモ。

 

 

気になった事というのは、「ボランチの起用法がおかしい」という意見を目にしたからである。

確かに起用法がおかしかったとは思うし、結論自体は同意する。しかし、過程に少しばかり疑問を持った。

というのも、監督の仕事とは端的に表すと『効率的に現有戦力を組み合わせる事で成果を残すこと』である。

現有戦力とは戦力であり、成果は勝ち点や順位。また、成果の方は可視化しづらい個人やチームの成長度合いも該当するかもしれない。例えば、徳島ヴォルティスでは強化部長と監督間において「選手個人の価値増大」も成果の範疇に入ることが共有されているようだ。

だが、ややこしくなるので今回は"成果=勝ち点等成績"として話を進める。

 

そして資本主義社会のサッカー界において、お金のないチームはお金のあるチームと比べて戦力面で劣りがちである。そして弱者は強者とまともに戦っても勝てない。戦力の差を、資源の差をひっくり返す術が要る。それこそが戦略と戦術。

 

なので、ここで先ほど述べた『監督の仕事=効率的に現有戦力を組み合わせる事で成果を残す』を更に明確化すると、『監督の仕事=戦略そして戦術を駆使する事で、現有戦力によって得られる成果(成績)の最大化』と言えることがわかるのではないだろうか。もちろん戦略と戦術以外にも監督に求められるものはあるが、人心掌握術などは戦力差を直接的にひっくり返すスキルではないのでこれまた除外して話を進める。

 

 

 

チームとしての狙いと最適解→配置

ここからは2/25の京都サンガ-町田ゼルビアそのものの話に入っていく。この試合、京都はスタートの布陣に4-4-2を採用。望月と仙頭が2ボランチを組むこととなった。

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この状況を見て、「望月と仙頭は共にオフェンシブな選手であり、ボランチで併用するのはセオリーから外れている!」という指摘は間違いではないと私は思う。私自身、この2ボランチ(とCB)でどうやってゴールを守り、ボールを奪うのか困惑した。

だが、屁理屈のようになってしまうが、大事なのは「セオリーから外れているかどうか」よりも「最適解かどうか」ではないだろうか?

 

一見セオリーから外れているようで理にかなっていた大木武監督のサッカー同様に、常識が常識とも、非常識が非常識とも限らない。各選手に与えられる役割も絶えず変化し、伴って各ポジションの概念も変わりつつある。

何度も言うが、監督の仕事は『現有戦力で得られる成果を最大化すること』。布陣に関して言えば、各選手の能力を最大限引き上げ、対戦相手の強みを消せる布陣こそが理想の布陣と言える。

故に「ボランチを2枚置く場合は片方に守備的な選手を、片方に攻撃的な選手を」という考え方を"押し当てる"行為はセオリーであっても、チームにとって正解とは限らない。

なので布部監督の執る策が最適解かどうか?策に適した選手起用ができているか?という観点で考えるべきではないかということ。

 

なお、この観点から見た場合、「1年以上指揮しているのに未だに監督の意図するサッカーが明確ではなく戦術が落とし込めていない」+「バランスの悪い選手編成」という諸悪の根源にたどり着く。(※要するに早く強化部長もろとも更迭してほしい)

 

勝手な思い込みかもしれないが、京都サポーターはすぐに「あの選手が欲しい」と思い付きの言う悪い傾向にあると思っている(一つの楽しみ方ではあるのだが)。

「そのピースはどう考えてもそこにハマんないだろう~」とか、「あの選手が欲しい~」とか言う以前に、そもそもどんなパズルを組み立てるか、完成に向けどんなピースが必要か、正解の基準やパズルの全容が見当たらないのが京都サンガである。(故にセオリーを押し当てたくなったり兎に角欲しがるのだろうか) (かくいう私にもその節があるし)

 

 

 

京都の平均身長とセットプレーの守備

1点だけ、私が「このボランチの組み合わせは無いわ」と試合前に思った理由を挙げておく。それが2失点を喫した自陣セットプレーでの守備だ。

 

 

セットプレーに限った話ではないが、守備のやり方はざっくり大きく2つの方法に分ける事ができる。ゾーンを守る方法とマンマークする方法だ。

超ざっくり説明すると、ゾーンディフェンスは担当の持ち場を各自守るやり方。

対するはマンマークは持ち場は放棄し、人に着くことで対応するやり方。一人一殺的。

京都は昨年度からセットプレーの守備にゾーンディフェンスを採用しており、この試合でも同様であった。

 

ゾーンディフェンスは持ち場を守る為、勢いよく落下地点に入ってくる攻撃側と異なり助走を取る事は難しい。攻撃側は、持ち場と持ち場の間で合わせる・直接蹴らず変化をつける事で混乱を生むなどして攻略を図る。

 

一方、マンツーマンディフェンスはマークが外れてしまうと大ピンチとなる。攻撃側はスクリーンのような形でマークを外したりし、フリーの状況を作りだす。人vs人の分、体格差による影響はより出やすい。

動画はパトリックの得点をチョイスしたが、千代反田のあのヘディングを思い浮かべる人も多いだろう。

 

 

この試合、京都は180cm越えのフィールドプレーヤーがスタメンに3人しかおらず、165~175cmと低身長の選手が多かった。10人の平均身長は175.0cmである。

そこで2トップを大野とロペスにする事でカバーする選択肢もあるが、無難にボランチの片方を179cmの宮城にする事で身長の低さをなんとかしなければならないと思ったのだ。これが「この組み合わせは無いわ」と思った理由。

で、対する町田のデータをちゃんと見てみると、実は180cm台の選手が2人のみ。10人の平均身長は174.9cmと京都よりごくわずかに劣っている。

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昨年の流れを汲んで今季もゾーンを継続しているのかもしれないが、この試合に関して言えば体格的にはイーブン。ボランチにCBの経験もある179cmの宮城を起用し、マンマークを採用する事で失点を防ぐことはできたのではないだろうか。(ものすごい結果論であることは勿論承知)

 

開始5分でああもズラされて失点したのを見ると、セットプレーの練習すらロクにやってこなかったんじゃねえのと、つい疑ってしまうんだよねえ。

 

 

 

 

 

 

2018年シーズン J2・J3予想

J1より簡単だと思うJ2予想(昨年はJ1より誤差が無かった)と当たる気のしないJ3予想。

 

J2

1位 大宮アルディージャ(降格組)

大本命。戦力はJ2随一で、指揮を執る石井監督もハズレな人ではない。

もう少し「J2を知っている人」がいるといいが、覚えている選手は何人もいるからマイナス材料では無いかな。まとめ役大事。また、ルヴァン免除も大きい。自動昇格がノルマ。

 
2位 ジェフ千葉(PO敗退組)

2位の本命が不在とも言えそうな今年のJ2で、エスナイデル千葉がここに割って入る可能性は高いと思う。少しトリッキーなチームではあるけど。(逆に言えば、大きく体制が変わる事も無く補強にも成功した感のある今シーズンで上がれなければ…)

ラリベイが得点王争いに絡めると、このポジションはキープできると見た。離脱すると…

やはり千葉ってだけでこの予想が当たるかどうか不安になる。

 

====自動昇格圏====

 

3位 徳島ヴォルティス

昨年旋風を巻き起こした徳島だが、東京V・千葉と異なりプレーオフを逃してしまったのも事実。名古屋や福岡といった資金面で上回るチーム相手から勝ち点を積み上げた一方、京都や松本のようなチームに屈してしまった"ひ弱さ"を脱ぎ捨てられるかどうか。

その点で、オフシーズンの出入りが同タイプの選手の入れ替えに終わった感があるのはもどかしい。大木武率いる甲府や京都がそうであったように異物感のあるゴリゴリ系外国人助っ人が共存できると面白そうなのだが、同タイプのアタッカーが多い事がどう出るか。

コスタリカ代表GKカルバハルが何をもたらすかには期待したい。W杯あるのにJ2来るって、シンプルにすごいよね。

 
4位 アビスパ福岡(PO敗退組)

PO決勝で敗退し、惜しくも1年でのJ1復帰とはならなかった福岡。井原体制も4年目となる。正直、リソース切れというか、井原さんで苦しいところもあるのだが、変えるだけの人を持ってくるのも難しいか。

オフシーズンは出入りが激しく、冨安・ウェリントン・亀川ら主力選手が流出した一方で、期限付き移籍からの復帰組も含めJ2ではトップ級の戦力が加入。昇格の本命とは言えないが、個々の能力は高く、勝ち点を着実に拾っていければ自動昇格も当然有り得るチーム。PO圏内には入らなければならないチームの1つである。

 

5位 松本山雅

一昨年のまさかの自動昇格逸から下り坂の反町山雅だが、今オフは前目のタレントを中心に補強が進んだ。前田大然と前田直輝の復帰組に、永井龍特別指定選手ながら評価の高かった下川らに期待がかかる。松本らしいサッカーを取り戻すと共に、今年もまた繋ぐサッカーだのなんだのを目指すのだろう。それがコケても元のプランAで勝ち点稼ぐの巧いからなあ。

やり手の反町監督だけに、自動昇格圏は厳しいと思うがしぶとくPO圏内には入ってきそう。

 
6位 アルビレックス新潟(降格組)

久々のJ2。見ない間にかなりJ〇Pに首根っこ掴まれている感のある新潟さんだが、降格に伴って主力選手が多数流出。1年でのJ1復帰に黄色信号が点っている。そしてホニはどうなる。

とはいえJ2基準で見るとそれなりの戦力は揃っており、監督もあの鈴木政一氏ということで大崩れはないだろう。ターレス・矢野ら前線の仕事ぶり次第では自動昇格も考えられるが…といったところ。J1復帰に向け、PO圏内入りはノルマ。

 

====PO圏内====

 

7位 東京ヴェルディ(PO敗退組)

ロティーナ監督とイバンコーチに導かれ復活を遂げたヴェルディ。5位でPO出場を果たしたのは見事であったと言える。また、夏には「トッティ来るかもよ」騒動でひと騒ぎ起こしてくれた。なあなあ、カサ坊まだやる気やで

しかしオフの出入りは微妙で、ライバルと比べて「お財布事情」感が透けて見えるか。良いサッカーしてて、東京のクラブで、J2では出せる方だと思うので、リヨンジらプレーモデルに合った選手のみに絞ったのかもしれないが。でももう少し札束は叩いた方が良いような気がしてならないのだ。

是非ともこんなちんけな予想を上回るサッカーを体現してもらいたい。7位予想としたが、PO圏内が目標であり、十分に達成できるチームである。

 

8位 大分トリニータ

「チームの寿命は3年」なんて3年周期説がささやかれるが、大分は今季片野坂体制3年目にあたる。1つの節目を迎える今年こそはPO圏内に食い込みたいところだ。

今年もミシャ監督同様に後ろから繋ぐ意識の高いサッカーを展開するであろうが、勝ち点積み上げには失点減がマスト。2016年の浦和がそうであったように、ボールをより高い位置で奪取できるかどうかで目標達成が見えてくるのでは。

 

9位 ヴァンフォーレ甲府(降格組)

J1で耐えていたが、久々にJ2での戦いを強いられることに。吉田達磨監督を招聘しポゼッション路線に舵を切った昨年は結果が伴なわず降格となったが、今年も吉田監督で理想を追うらしい。大まかな方向性としては合ってると思うけど、なんかボタンを掛け違っているような気が。アカデミーには外国人指導者呼んだりしているのに。

昨年の得点数はJ1ワーストの23点(34試合)。前線のリンス・ジネイ・堀米らが得点を量産できると、甲府スタイルの再構築と1年でのJ1復帰の両立も見えてくるが……専用球技場建設に向けて楽しいサッカーは演じてもらいたい。

 

10位 モンテディオ山形

一昨年オフに愛媛からの大量補強で話題をさらったが、蓋を開ければ11位と木山監督初年度は物足りないシーズンに。更にこのオフはDFの要であった菅沼や佐藤・鈴木らが流出するなど、スカッドに不安が残る形に。人件費を考えるとPO圏内に食い込めるかどうか。

こちらもサッカースタジアム建設に向けて、ピッチ内での奮闘にも期待したい。

 

11位 ファジアーノ岡山

岩政・矢島・中林らが流出し、赤嶺が負傷で離脱を強いられる中でもPO出場権争いには噛んでいた岡山。だが今オフも出入りが非常に激しく、厳しいシーズンになりそう。

ただその中でも、上田康太・イヨンジェ・仲間・末吉ら実力者を取りそろえられた事はポジティブ材料であり、岡山らしく大崩れはないだろう。PO圏内に絡めるかどうか微妙なところではあるが、成績が一時期より振るわなくとも1万人が詰め掛けるスタジアムへ。

 

12位 横浜FC

「中田監督で良かったではないか」の一言に尽きるこのチーム。相変わらず京都同様によくわからん。せっかく変わりつつあったのに。

しかし、イバの残留は大きく、前目のタレントはなんか無駄にネームバリューがある。勝ち点に繋がるかどうかは知らんけど。PO圏内に入れれば御の字だろうが、中位をさまようのでは。京都と同様に小金持ちであり、タヴァレス監督はクビレース最右翼とも言えるか。

 

13位 町田ゼルビアFC

相馬監督率いる良いチーム。人件費は下から数えた方が早いのに、ほんと良いチーム。今オフはロメロフランクや酒井隆介、杉森らを補強。鈴木も復帰し、一昨年並みの躍進へ期待がかかる。

とはいえ、やはり貧乏クラブらしくリソース不足には悩みそう。本拠地野津田陸上競技場の入場可能者数不足だけではなく、クラブハウスの欠如や人工芝ピッチの影響でJ1ライセンス取得に至ってないのが現状だ。そのような状況下で一定の成績を残すプロフェッショナルっぷりには頭が下がるが、ディティールの部分で尾を引くのは避けられないだろう。外部環境を改善する為にも、なんとか一桁順位・PO圏内へ食い込みたい。

 
14位 京都サンガF.C.

J1昇格を目標に掲げながら11位フィニッシュもまさかの布部体制続行。テコ入れとして元名古屋監督のボスココーチと、柏で分析を担当していた経歴を持つ前嶋コーチを招聘。布部&ボスコの二頭体制で行くとのこと。

報道によると、4-4-2を基本に守備時はリトリート気味、攻撃時は後ろから繋いでいくらしい。それで行くのであれば、昨年の様子を見る限りボスコが指揮を執らないとままならないと思うので、恐らくかなりボスコの手が加えられていると推測される(というか既にそうらしいが…)。指揮命令系統が機能するのかどうか。戦力も、資金的に若手選手中心にかなりお安いスカッドを組まざるを得ず、またSB・CB・ボランチの薄さが目立つ。

一番早くに首を切られそうな監督と言えるだろうが、監督と旧知の仲の強化部長は昨年の低迷をしても尚「布部しかいなかった」などと言っている。どうなるかが全く読めないが、布部監督の権限・立ち位置・斬り時次第で更なる低迷=J3降格も十分有り得る。最悪の結末が訪れても、それは決してサプライズではない(期待を良い方に裏切ってくれるのであれば、私は喜んで土下座をする)。

 

15位 ツエーゲン金沢

柳下体制で再建に成功した昨年から更なる発展を遂げたい。中美の流出は痛いが、勝手知ったる清原が復帰。脱・残留争いを目指しつつ、15位程度がノルマか。

また昨年はマスコット関連の話題が多かったような気もするが…ピッチ内の選手達も負けていられない。金沢市民サッカー場の改修が終わるころには今より倍の観客が集まるようレッツゴー。今年も躍動感ある画像を待っておるぞ。

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16位 FC岐阜

庄司・大本・シシーニョの流出ら、懸念材料の多い今シーズン。残留争いからは抜け出せそうだが、戦力的に厳しい戦いになることが予想される。

しかし、ボールを奪う守備が徹底できれば、自然と得点と勝ち点が積みあがっていくはず。大木武イズム溢れるサッカーを新加入選手が体現できるかどうかがカギを握りそう。ライアンの実力や如何に?

チケット単価を下げて入場者数増加に成功したが、大木監督のチームなのだから「このチケット料金では安すぎて申し訳ない」と思わせるほどのサッカーを展開したいところ。

 

17位 ロアッソ熊本

昨年はJ2ライセンスのない秋田・沼津が躍進した恩恵を受けてギリギリJ2残留。生き字引とも言える池谷氏がクラブを離れた。

代わりに、GMオリタンこと織田氏を、監督には渋谷監督を招聘。戦力面でも青木・皆川ら実力者を獲得。クラブ力・チーム力強化に向けて、これ以上ない体制が整ったと言えよう。残留は堅いと見る。

元々ポテンシャルはあるクラブ。熊本の街と共に成長曲線を描いていきたい。

 

18位 栃木SC(昇格組)

J3から何とか復帰に成功。戦力は元々整っており、躍進もあり得なくはない。大黒とペチュニクの2トップは想像つかないが…個人的に温井に期待しているので、ホットラインが形成されると面白い。

社長交代以降、着実にクラブとして成長しているだけに、J3へ逆戻りだけは何としてでも避けたい1年だ。

 

19位 愛媛FC

降格も予想された中で、間瀬監督の手腕も光り15位フィニッシュ。しかし、後半戦は負けが目立ったほか、今オフはまたもや流出が相次いだ。エルゴラ名鑑の予想スタメンで3バックの中央が安藤淳になっているのは何かの間違いだと思うが…安藤・野澤・神谷そして前野らが実力者は間瀬サッカーに合ってそう。小島や白井らの穴を補って余るほどの活躍に期待がかかる。また、GKに岡本を獲得できたのは勝ち点積み上げにおいて大きい。

今季はより一層難しい戦いになるだろう。

 

20位 水戸ホーリーホック

日に日にスコアラーが減っていった水戸ちゃん。前田大然のレンタルバックに林の東京V移籍は痛い痛い。西ヶ谷監督の後を継ぐこととなった長谷部新監督にとってはかなりやりづらい環境。昨年までと同様、堅守を武器に勝ち点を着実に積み上げていきたい。

新外国人FWジェフェルソンバイアーノは気になる存在だが、誰か1人だけがスーパーな活躍を見せても残留争いは避けられないだろう。

 
21位 レノファ山口

功労者であった上野監督を下ろさざるを得なくなり、J2で20位でギリギリ残留と苦しんだ1年。再建に向けて招聘されたのはJFA強化スタッフとして有名になった霜田氏。監督1年目であり、その手腕には期待と不安の眼差しが注がれる。

戦力面では坪井・丸岡満大崎淳矢・オナイウ・高木大輔らネームバリューのある選手を続々獲得。一方で小塚が流出したのは痛手。

恐らくポゼッション系のレノファ山口らしいサッカーを展開するものと思われるが、そのクオリティーが低ければ、降格となってしまう可能性は高い。霜田監督の手腕に全てがかかっている。

 

22位 カマタマーレ讃岐

21位の熊本と勝ち点差1での19位フィニッシュで見事残留を遂げた讃岐であったが、今オフは主力が多数流出。麻田・佐々木渉・佐々木匠らポテンシャルのある若手が集まったが、どこまでやれるかは未知数。厳しいと言わざるを得ない。

9年目となる北野体制の前に立ちはだかる壁はJ昇格以降で最も高い壁かもしれないが、ここを乗り越えることで、練習環境の充実など「真のプロサッカークラブ」と言えるフェーズへと進みたい。

 

 

 

J3

1位 AC長野パルセイロ
2位 ギラヴァンツ北九州
3位 ブラウブリッツ秋田
4位 鹿児島ユナイテッド
5位 ザスパクサツ群馬
6位 アスルクラロ沼津
7位 FC琉球
8位 藤枝MYFC
9位 カターレ富山
10位 SC相模原
11位 福島ユナイテッド
12位 FC東京U23
13位 セレッソ大阪U23
14位 グルージャ盛岡
15位 Y.S.C.C.横浜
16位 ガイナーレ鳥取
17位 ガンバ大阪U23

一言:当たる気がしない。でも今年はパルセイロと北九州に頑張ってもらいたいので願望込みで予想。

 

 

 

順位予想って、1年追いかける楽しみにもなるし、totoでやってくれれば良いのに(コストが凄そう)。

年末の答え合わせをお楽しみに。

 

2018シーズン J1順位予想

J1編

1位 川崎フロンターレ

公式戦3連敗とつまづくも、戦力が減ってる訳でもなく。昨年はACLと並行してリーグ戦を取った訳で。2連覇に値するチームか疑問符はつくが消去法的にこのポジション。セレッソにも言えるけど、1つ勝つともう止まらないと思う。

2位 鹿島アントラーズ

内田の復帰、安西や犬飼の獲得らテコ入れはあったが、前線は不安。それでも昨年は川崎と同じ勝ち点72を積み上げたチームであり、良くも悪くもACLで調子を崩すこともないと踏んで2位予想。中位に沈みそうな気もするけど、鹿島だし。

3位 FC東京

PSMで好調なチーム。長谷川新監督就任ということもあり、人件費相応の順位には収まるだろう。代表や海外に取られる選手もいそうでいないし。FWの駒不足感は不安である。

4位 横浜Fマリノス

ポステコグルー新監督が就任したマリノス。戦力はむしろ乏しくなった感もあるが、クラブとしてトライしている方向性自体は間違っておらず、Jリーグのためにも成功して欲しいなという贔屓目込みの予想。FC東京同様に前線の駒不足感がなあ〜

5位 柏レイソル

ACLに力を注いでリーグ戦で停滞しそうな柏。しかし補強も順調で大崩れする事はないと思うのでこの順位。良いなあ下平さんは←

6位 サガン鳥栖

フィッカデンティ体制3年目。11位→8位と順位を上げており、原川ら主力の残留に成功した今季はダークホース的存在。
ここもFWが少し物足りないというか、イバルボの決定力が…。今年も原川がチームトップスコアラーになるようでは一桁キープも難しくなる。

7位 セレッソ大阪

間違いなく優勝もあり得る。が、代表や海外ににもって行かれる選手が多いのがダメージとして蓄積されそうなので本命とは思えない。
ターンオーバーを駆使してルヴァンと天皇杯のダブルを達成したチーム力はJ屈指と言っても過言ではないが、杉本山口清武がW杯〜夏にグイッと落ちそうな気がする(移籍の可能性も含め)のよね。大久保がそうだったけど、W杯ってやっぱり色んな影響が大きいと思うのよね。

8位 ガンバ大阪

まさかのクルピ招聘で迎える新スタジアム3年目。
色んな意味で勝たないとマズいシーズンなのだが、セレッソ同様扱いに困るチーム状況。それでもクルピはガンバとハマる監督ではあると思うので、後半戦に捲り上げての上位進出も全然あり得ると思う。前半戦は知らん。
でも、やっぱり補強が寂しいよね〜 菅沼は頑張ってね。

9位 浦和

まさかの堀さん続投。シーズン最初から指揮を取るのは初めて。
「4-1-4-1ではない。4-1-2-3だ!」とか言ってるけど、SBとアンカーの薄さは不安で、昨年序盤の快進撃を支えたラファエルシルバも中国へ電撃移籍。一昨年・昨年と浦和をかなり見てきたが、今年は良いチームではあるのだけどタイトル争いに絡むとは思えないのでこの順位。
新加入組のフィット具合と、今年も興梠が満身創痍になりながら引っ張ってくれるかどうかが上位進出へのカギ

10位 ジュビロ磐田

昨年は6位と躍進を遂げた磐田。川辺が広島へレンタルバックも、田口を名古屋から引き抜くなど相変わらずストーブリーグは強い。
懸念材料は高齢化が進むDFラインとセンターラインの実力者たちの離脱のみであり、2年連続の一桁順位も十分あり得る。

11位 名古屋グランパス

POで昇格を成し遂げ、なんとか1年でJ1に復帰。昨年途中に加入のシャビエルだけでも凄かったのに、今オフは元ブラジル代表FWジョーを移籍金15億円で獲得。っょぃ。
とはいえJ2でも失点を重ねた守備へのテコ入れは人材の入れ替え程度。ボールを奪わないことには自慢のボールコントロールも発揮されない。失点を減らすってところでは新加入の豪代表GKランゲラックに期待がかかるが、はてさて。残留争いから抜け出し、人件費に比例した成績まで近づけるかどうか。

12位 ベガルタ仙台

「堅守賢攻」を着実に体現しつつある渡邉監督にとって5シーズン目となる今年。上位進出に期待がかかるが、ストーブリーグでは低調。やはり人件費の壁が立ちはだかるか。しかし石原や野津田ら残留した主力が実力を発揮すれば残留争いには足を突っ込まないはず。
クリスランの抜けた穴を補って余るほどの選手が現れれば、12位の壁も打ち破れるか。

13位 清水エスパルス

昨年はギリギリでJ1残留を成し遂げた清水。今年は小林監督からヨンソン監督へ体制変更するも、戦力的に今年も残留争いに巻き込まれそう。強化費の割には戦力がなあ〜
ヨンソン監督のサッカーが体現できるかどうかが脱・残留争いのカギ

14位 北海道コンサドーレ札幌

J1昇格&残留を成し遂げた四方田監督をヘッドコーチに"配置転換"し、まさかのミシャ招聘。
練習試合の様子などを見る限りロマンに殉じてしまいそう感が半端ないが、一先ず駒井善成にあの役割を任せるのは止めよう…戦術が浸透すれば試合運びもスムーズになるであろうから、序盤に捨て試合が増えないことを祈るしかない。判断を間違うと、せっかく死守したJ1での挑戦権も危うい。
キーマンはシャドーに入りそうな三好と宮吉。ミヤよ、本来君は2トップのチームに行くべきだと思うよ。

15位 湘南ベルマーレ

2015年と違い、戦力・勢い共に物足りない湘南だが、チーム力は確か。新加入の前線のタレントが勝ち点をいくつもたらすかどうかで残留とその先が見えてくる

16位 サンフレッチェ広島

PSMを見る限りヤバそう。守備が怖い。どうなるかはわからないが、このままでは昨年の成績を下回ってもおかしくないと思う。残留に向けたライバルとの直接対決で勝ち点を落とさないようにしたい。

17位 ヴィッセル神戸

かなり歪めの編成となった神戸。前線は豪華だがそれで良いのか。
またコーチングスタッフについても、ゲルトエンゲルスらが補佐に入るも吉田体制で続行。それで良いのか(他人事ではない…!)。
力のあるチームではあるが、バランスの崩れが成績に表れそうな1年。

18位 V・ファーレン長崎

J2時代にガンバ大阪らJ1級のクラブを破ったことは何度もあった。しかし初のJ1で戦い抜けるかどうかについては疑問符が付く。このスカッドで乗り切れるかどうか…
ただ、チーム力は他の残留争い候補と比べても随一。開幕ダッシュに成功できれば、J1残留への確かな航路が見えてくる。

大河正明Bリーグチェアマンによる講座と感銘を受けたハンナリーズの演出

 

2月9日に行われた京都ハンナリーズvs新潟アルビレックスBBの「前座」として、Bリーグチェアマン大河氏によるトークショーが行われたので拝聴してきました。(もちろん観戦も)

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今回はそこで感じた事をば。

 

 

前座・トークショー

スポーツビジネス講座と銘打ってあったものでしたが、そこまで専門的な話はせず。個人的にもそれで良かったと思います。参加者層がわからないし。

最初にBリーグから昨年10月にやって来たというハンナリーズの安田さんから、「今日の事をSNSで発信してほしい」「インターン生募集中です」と二点伝達があったあと、大河氏に安田氏がインタビューする形式で展開。

以下はトークショーの中身です。ツイートを貼る形で。

 

少し押して、一時間強でトークは終了しました。

 

 

ハンナリーズvsアルビレックス

そのまま招待券をいただき観戦へ。

Bリーグ統一後はじめてハンナリーズの試合観戦となりましたが、bjリーグの頃と比べてかなり進化している印象を受けました。

特に変わったように感じた点はこの2つ。①ホームアリーナ感向上への打ち手②特徴を活かした演出です。

 

「ホームアリーナ感向上への打ち手」

まずハンナリーズハンナリーズアリーナをメイン会場として使用していますが、アリーナとは名ばかりでどこにでもある「市民体育館」です。

サッカースタジアムと国体仕様陸上競技場との差を比べると、屋内なので雨に濡れる事も無いし、選手までの距離も近い(この日も五十嵐圭の顔が識別できるほどだったし)。けれども、興行と競技運営の両面において"構造上できない"が故の困難は多数あるでしょう。そしてその困難の中から最も大きな困難をどれか1つ挙げるならば、私は「ワクワク感の欠如」だと思います

優れたハコは入場時から興奮を増幅させますが、ダメなハコではそうはならない。「スポーツビジネスはサービス業」。目に見えない価値を提供して対価を得る以上、スタジアムやアリーナによる物理的なエンターテイメント性の欠如はプロスポーツクラブにとって大きなハンディとなります。

(写真上:市立吹田サッカースタジアム・写真下:西京極陸上競技場)

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だからこそ、プロスポーツクラブには顧客の高揚感を高める仕組み作りが求められます。例えるならばディズニーランドが夢の国であるように、一貫したコンセプトを会場の至る所に息づかせることが必要です。

この点において、ハンナリーズが単なる市民体育館をハンナリーズのホームに染める努力を行っていたのは、決して無駄な努力ではないと思います。もちろん、本当に顧客満足度の向上に繋がっているか更なる精査が必要だとも思いますが、市民体育館の無機質さが目立つようでは「ハレ」の場にはなれないのですから。

(写真:ハンナリーズ試合会場)

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(写真:京都サンガ試合会場)

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(ウィルコムっていつの時代だよ!)

 

 

「特徴を活かした演出」

バスケットボールはアメリカンスポーツ。アメリカンスポーツと言えば…?

そう、所々に「間が空く」のが特徴です。

サッカーやラグビーはハーフタイムにしか間が空きませんが、バスケはクォーター制。更にタイムアウトも存在します。そういえばバレーボールもアメリカ発祥ですね。アメリカンスポーツではプレーが一定期間途切れる間があり、その間にチアリーダーをはじめとする演出を打ち出す事でエンタメ空間を作り出すことができます。野球が顕著ですが、ビールやフードを調達しに行く時間にもなるでしょう。この日は飲み放題サービスも行っていました。

 

またバスケは屋内競技ですから、光や音による演出が容易というアリーナスポーツの特徴も持っています。ハンナリーズは以前に訪れた時も間が空いた時に演出を行っていましたが、bjの頃より洗練された印象を受けました。特徴を活かした演出は非常に良かったと思います。(ハーフタイムライブを聞く限り音響設備はダメっぽかったですが、これは先述した「アリーナの物理的な問題」かな。)

なにより、観客参加型のイベントが複数あったのはナイスな打ち手でしょう。

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(ブーイングの表示に変化があったのも良い打ち手だと思います)

こうした打ち手を繰り出せるのは、自分たちの商品の特徴をきちんと把握しており、やりたい事とやるべき事が明確になっているからこそ。一方で、厳しい事を言うと"ハンナリーズである意味"が欲しかったかなとも。

スポーツの場に人を呼ぼうとなると「エンタメ性の向上だ!」となりがちですが、エンタメ性を向上させてディズニーランドやUSJと競うのであれば厳しい戦いになるでしょう。エンタメ性の向上は必須ではあるのですが、+独自性がないと厳しい。まあ私はまた見に行きますが。

(ハンナリーズに限った話ではなく、日本のどのスポーツクラブも基本的にこの課題を解決できていないと思います)

 

入り口自体はイベントでもマスコットでもグルメでもなんでもいい。広ければ広いほど可能性は高い。けれども、愛着を持たせるには着地点が無ければいけない。

地方のJリーグクラブやBリーグクラブなら競合相手もないから容易でしょうが、都市部のクラブはクラブへの強い愛着を持つまでのルート整備がより重要。その点、バスケは応援スタイルや観客参加型イベントの強化を通じて一体感を作り出すことが容易なので、得かもしれません。

 

 

 

最後に

ハンナリーズは「勝ち負けに左右されない観戦体験」と「勝利時の価値最大化」ができている様子。当たり前の話ですが、勝ち負けを完全にコントロールすることは不可能です。なのでスポーツ興行をする上では、リスクを軽減し価値を最大化することが求められます。ほんとに重要です。

ハンナリーズは今後はこの両軸をより確かなものにしていく事が必要でしょう。

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一方、京都サンガはどちらもできていません。型無し状態です。

なので、今年は勝った試合も負け試合もgdgdと挨拶だけして終わりじゃないですよね?今年もプログラムをきちんと組めないなんてことはないですよね?J1・J2で勝ち試合の後にスタジアムに残っているファンが1000人を切っている寂しいスタジアムって西京極だけだと思いますよ~~改善しないと~~

2018年にもなってこんな簡単な事すらできなかったら末期だからね。

 

 

 

ではまた

 

 

京都サンガよ、無意味にSNSを乱用しないで

最近の京都サンガ公式SNSに対する感想をそのまんま形にした記事を発見した。

オリ「耳が痛い」、球団SNSに学生がダメだし:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASL1J5S99L1JPTQP00Y.htmlwww.asahi.com

関大は球団の公式インスタグラムについて提言。11月のある週の1日の平均投稿数をみたところ、オリックスは10・5。阪神の2・4、ソフトバンクの0・2と比べて圧倒的に多かった。

 一見、「マメな」投稿に見える。ところが学生らは「多く投稿されると、友達の投稿にたどりつくまでに時間がかかる。結果フォローを外すことにもなる」とダメだし。「投稿こそ一球入魂」とまとめた。

ぐうの音も出ない正論とはこのこと。ズバリである。




そもそもSNSは、ネットワーク上で「自らの手によって」、「(概ね)リアルタイムに」、「全世界へ発信できる」、「(基本)双方向型」の交流ツールである。

youtuberやインスタグラマーといった用語が定着したように、いまや一億総メディア時代。「報道量が少ない」などと言われるJリーグクラブには持ってこいのオウンドメディアと言えるかもしれない。活用しない手はないだろう。
実際、2017年度のJリーグ観戦者調査結果が公表された際に、SNSを活用したプロモーションが入場者数の年齢層等に好影響を与えたとの見解をJリーグも示している。
www.footballchannel.jp



だが、(概ね)などと付け加えたように、SNSは各ツール間でそれぞれ特徴が異なる。

例えばLINE。
LINEは立ち位置的には連絡ツールのような存在であり、双方向性はあまり無い。公式アカウントを所有しているJリーグクラブも、試合結果やチケット情報などを直接伝達する手段として活用しているケースが多い。
キャリアメールより断然利用頻度が高く、通知が来てから既読するまでの間や既読率そのものもメールマガジンより高いと推測されるから、見てほしいお知らせを届けるのに一番適したツールとして使われているのだろう。

当たり前の話ではあるが、SNSはこうしたツール単体の特徴と自らの狙いを適合させる事ではじめてうまく活用することができる。




話を元に戻す。
京都サンガ公式instagramの投稿が、新チーム始動そして沖縄キャンプ突入に伴って非常に増えている。「投稿が多すぎて邪魔」という感想を抱くほどに。

Repost(Retweetと同じく他者の投稿を自分のTLに引用する行為)を除いた、1月1日からのサンガ公式アカウントの投稿を数えてみると、

1月2日=1投稿(本多誕生日)
1月10日=3投稿(指名練習開始)
1月11日=3投稿(指名練習2日目)
1月15日=5投稿(始動日)
1月17日=9投稿(新体制記者会見)
1月18日=1投稿(望月誕生日)
1月19日=1投稿(宮城誕生日)
1月21日=9投稿(初の練習試合)
1月22日=4投稿(練習試合翌日でレクリエーションメニュー)
1月25日=1投稿(集合写真撮影)
1月26日〜1月31日=開幕戦カウントダウン写真×1
2月1日=10投稿(カウントダウン+キャンプ初日分×9)
2月2日=1投稿(カウントダウン)
2月3日=10投稿(カウントダウン+キャンプ2月2日分×9)
2月4日=8投稿(カウントダウン+キャンプ2月3日分×6)
2月5日=5投稿(カウントダウン+キャンプ2月4日分×4)

重い……。


もはや説明不要なくらいだが、instagramは写真共有型のSNS
他のSNSと違い、写真・動画がメインで文字は補足でしかない。また、2016年からは24時間すると投稿が消滅する「ストーリー機能」も追加されている(もちろん写真・動画がメイン)。
写真なメインなSNSであることもあってか、基本的にユーザーはtwitterほど投稿頻度は高くなく、ストーリー機能へ1日複数回投稿することはあっても、通常の投稿を1日に何度も何度も分けて投稿するのは希である。
特に、1投稿につき最大10枚の画像を添付することができるようになってからは、旅行の思い出もスポットスポットではなく1日単位で区切って投稿したりするケースが多いと感じる(個人の感想です)

そんな投稿の頻度が高くないツールで、いきなりバーっと投稿されてもオリックスバファローズが指摘を受けたのと全く同じ感想を抱かざるを得ない
公式戦ならわかる。しかし、たかだか練習や練習試合でただ写真だけを複数に分けて投稿しても、「別にインスタじゃなくてよくね?」という気持ちにしかならない
Login • Instagram

少し擁護するならば、現在のinstagramは時系列で表示される訳ではないので目に止まるようにプッシュしているのか。はたまたフォロワー数にノルマが課せられて、投稿数を増やしているのか。狙いがあっての行動ならまだ理屈自体はわかる。
それでも昨年のトップチームの攻撃同様に利口とも再現性が高いとも思えないし、instagramは拡散性が高いツールではないのでプッシュ型のサービスではない。


ちなみに、「日記」的な要素が強いfacebookの投稿は1月17日以来ない。元々facebookは力を回す余裕もないのだろうが。
だが写真を複数枚UPしてレポートするのであれば、Facebookやサンガ日記(公式HP内の1コーナー)の方が適している。
(もっと言うと、検索に引っ掛かるようにせめて名前を「京都サンガF.C. / KYOTO SANGA F.C.」としてほしい。youtubeの動画タイトルもそうだが、少しでもリーチ数や登録者数を増やすための単純な努力が足りなさすぎる)
また、拡散性のあるtwitterならば、数打ちゃ当たれの精神も決して悪くはないし、RTを介して他サポに広まる可能性も考えられるから、新加入選手を推して「お、元気にやってるな」と思わせてフォロワーを増加させるのも1つの手である。しかし、こちらもinstagramと比べて投稿数そのものが少なく、特筆すべき投稿もない。
なぜinstagramなのだろうか?




例えば他クラブのinstagramだと、マリノスや名古屋といった広報活動に力を入れているクラブだけでなく、柏や横浜FCのように「京都と体質が似ているダメな所」もinstagram仕様に合わせて活用している。
名古屋は加工こそ少ないが、オフの様子など選手の素の部分をPRしているのがわかる。



(なお、ガンバみたいに元々のサポの母数が多いからフォロワーも多いだけで酷いところも勿論存在する)


横浜FCでできるのであれば京都もできるだろ」と思ってしまうのは私だけではないはず。




サンガと他クラブでこうした差が出る理由は2つある

1つ目は「絵が描けているかいないか」の違い
KGIだとかKPIなんて言葉があるが、"入場料収入を増やす"といった目標から逆算して手段が練られていないから、ただこなしているだけ状態に陥ってしまう。
何の為にSNSを活用するのか?最適な手段・手法は? 根本から見直さなければいつまで経っても今の低レベルなままだろう。京都サンガとはいったいなにをする集団なのか?京セラ子会社なのにフィロソフィーがなってない。

USJ再建の森岡毅が語る、マーケティング下手な企業に足りない3つの視点 | マーケティングが「機能する会社」と「機能しない会社」は何が違うのか? | ダイヤモンド・オンライン
diamond.jp


2つ目は「スタッフへの負担」が大きい
これは京都サンガ以外のJリーグクラブにも言えることなのだが、「降格や低迷を恐れてチーム強化費に真っ先にお金を回す→残ったお金でやりくりする→収入が伸び悩む→強化費が増えない・・・」というの負のスパイラルのしわ寄せがスタッフにいっていてつらい。夜中遅くの更新を見て「良いね!」という気持ちにはならない。一応押すには押すが、もはや「お疲れ様…」という意思表示のいいねである。
余裕があれば、個人でベンチマークして改善する事だってできる可能性はあるし、そもそもエキスパートや簡略化するハードに投資すれば解決する話。(結局1つ目に行き着くが)

スタッフより、来年にはもうチームからいないかもしれない選手の方ばかりに金注ぎ込んで何が得られるのか?
理想像が描けない。自分達の問題点を認識していない。認識していても改善する為のリソースが割けないから直らない…そんなクラブ、もう止めたらよろしいやん。






結論としては、まず現在のinstagramの活用方法を即見直すべきである。
もっとinstagramに適した投稿をinstagramに適したペースで投稿しなければならない。私がターゲット外なだけで、狙いと勝算があって確実に結果が出ているのであれば大幅に変える必要性はないが、そうであるとは思えない。ニーズから外れすぎ。もっと絞って、公式SNSだからこそ&instagramだからこその打ち手がいる。

また、J2下位のように予算がカツカツで、人件費自体も限られながら必死にやっているクラブならまだしも、年間10数億収入があって『昇格は難しい。若手を鍛えて躍進する』クラブなら組織の建て直しに回せる金は当然出てくるはず。
収益に結び付きづらい「instagramにリソースを割け!」なんて馬鹿なことはいわないが、マネジメントできる人材・スポーツビジネスなどの専門知識を持った人材・営業の登用やハードへの投資を経営者が行う必要がある。
"我々は、チームが強くなればフロントはいつかは大きくなるだろうと思って必死でチーム、チーム、チームでやってます。でもそこは、やはり少し違うんじゃないかなっていうのは思います"と、「おいおいおいおい、1990年代か?」とツッコミたくなるような事を言ってしまう人材が事業本部長を務めてなにができるのか。



Jリーグ加盟数年のクラブならまだしも、20年経ってこれではJリーグのお荷物でしかない。