2月9日に行われた京都ハンナリーズvs新潟アルビレックスBBの「前座」として、Bリーグチェアマン大河氏によるトークショーが行われたので拝聴してきました。(もちろん観戦も)
今回はそこで感じた事をば。
前座・トークショー
スポーツビジネス講座と銘打ってあったものでしたが、そこまで専門的な話はせず。個人的にもそれで良かったと思います。参加者層がわからないし。
最初にBリーグから昨年10月にやって来たというハンナリーズの安田さんから、「今日の事をSNSで発信してほしい」「インターン生募集中です」と二点伝達があったあと、大河氏に安田氏がインタビューする形式で展開。
以下はトークショーの中身です。ツイートを貼る形で。
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座①】
— n (@nks137) 2018年2月10日
昨日の講座でのトーク内容をツイート。最初に簡単に経歴紹介
「三菱銀行から1995年にJリーグへ出向」「スポーツ団体の一番の弱みはガバナンス。大相撲の話ではないよ笑」「クラブライセンス制度は『こういう運営をしてくださいね』というもの」#ハンナリーズ pic.twitter.com/8hD9ySTX6z
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座②】
— n (@nks137) 2018年2月10日
「最初飛ばされたのかと思った笑」「スポーツビジネスはサービス業。こんなにお客さんの喜怒哀楽を感じられる仕事はない。良さを知った」「川淵さんから電話をもらって、川淵さんとバスケに恩返しする意味でもBリーグに転職」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座③】
— n (@nks137) 2018年2月10日
Bリーグ創設について
「Bリーグの仕事で一番しんどかった事はB1~B3の振り分け。振り分けそのものは簡単。財務諸表・アリーナ、なにより経営者の顔や喋り。経営者の能力がわかれば振り分けられる。だから簡単。でも体力的にしんどい」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座④】
— n (@nks137) 2018年2月10日
「ハンナリーズは京都市長がハンナリーズアリーナを8割貸出すことを認めたのでB1」
リーグ開幕戦について
「LEDコートは若い人のアイデア。考えるのは現場の人でも、リスクと責任を負うのは私。現場を回らない上の人間ほど使えない奴はいない笑」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座⑤】
— n (@nks137) 2018年2月10日
「Bリーグ主催試合は『なんかやるぞ』というイメージが浸透してきた。日々の試合はローカルコンテンツ、オールスターやCSはナショナルコンテンツへ」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座⑥】
— n (@nks137) 2018年2月10日
Q.スポーツの場で働くには
「OJTが整っていない。トップリーグ機構で採用して3年程修行を積ませた後に『サッカーで!』と行きたい所に行けるよう…とか考えている。私のように社会に出て経験を積んでから飛び込む事は良いと思う」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座⑦】
— n (@nks137) 2018年2月10日
Q.夢と志が重要と仰ったが、昔からか?
「学生の頃ではなく社会人になってから笑。スポーツの地位を向上させたいと思っている。Bリーグに転職したのもバスケに恩返しする為」#ハンナリーズ
【2/9 Bリーグ大河チェアマン講座⑧】
— n (@nks137) 2018年2月10日
Q.Jリーグのクラブライセンスは緩和すべきか?
「スタジアムや施設は緩めると自治体は最低限のモノしか作らなくなる。緩める必要はない。財務はステージに合わせて変化しても良い」
「ダメなクラブ程、『赤字で選手が雇えない』とか言う笑」#ハンナリーズ
少し押して、一時間強でトークは終了しました。
ハンナリーズvsアルビレックス
そのまま招待券をいただき観戦へ。
Bリーグ統一後はじめてハンナリーズの試合観戦となりましたが、bjリーグの頃と比べてかなり進化している印象を受けました。
特に変わったように感じた点はこの2つ。①ホームアリーナ感向上への打ち手と②特徴を活かした演出です。
「ホームアリーナ感向上への打ち手」
まずハンナリーズはハンナリーズアリーナをメイン会場として使用していますが、アリーナとは名ばかりでどこにでもある「市民体育館」です。
サッカースタジアムと国体仕様陸上競技場との差を比べると、屋内なので雨に濡れる事も無いし、選手までの距離も近い(この日も五十嵐圭の顔が識別できるほどだったし)。けれども、興行と競技運営の両面において"構造上できない"が故の困難は多数あるでしょう。そしてその困難の中から最も大きな困難をどれか1つ挙げるならば、私は「ワクワク感の欠如」だと思います。
優れたハコは入場時から興奮を増幅させますが、ダメなハコではそうはならない。「スポーツビジネスはサービス業」。目に見えない価値を提供して対価を得る以上、スタジアムやアリーナによる物理的なエンターテイメント性の欠如はプロスポーツクラブにとって大きなハンディとなります。
(写真上:市立吹田サッカースタジアム・写真下:西京極陸上競技場)
だからこそ、プロスポーツクラブには顧客の高揚感を高める仕組み作りが求められます。例えるならばディズニーランドが夢の国であるように、一貫したコンセプトを会場の至る所に息づかせることが必要です。
この点において、ハンナリーズが単なる市民体育館をハンナリーズのホームに染める努力を行っていたのは、決して無駄な努力ではないと思います。もちろん、本当に顧客満足度の向上に繋がっているか更なる精査が必要だとも思いますが、市民体育館の無機質さが目立つようでは「ハレ」の場にはなれないのですから。
(写真:ハンナリーズ試合会場)
(写真:京都サンガ試合会場)
(ウィルコムっていつの時代だよ!)
「特徴を活かした演出」
バスケットボールはアメリカンスポーツ。アメリカンスポーツと言えば…?
そう、所々に「間が空く」のが特徴です。
サッカーやラグビーはハーフタイムにしか間が空きませんが、バスケはクォーター制。更にタイムアウトも存在します。そういえばバレーボールもアメリカ発祥ですね。アメリカンスポーツではプレーが一定期間途切れる間があり、その間にチアリーダーをはじめとする演出を打ち出す事でエンタメ空間を作り出すことができます。野球が顕著ですが、ビールやフードを調達しに行く時間にもなるでしょう。この日は飲み放題サービスも行っていました。
またバスケは屋内競技ですから、光や音による演出が容易というアリーナスポーツの特徴も持っています。ハンナリーズは以前に訪れた時も間が空いた時に演出を行っていましたが、bjの頃より洗練された印象を受けました。特徴を活かした演出は非常に良かったと思います。(ハーフタイムライブを聞く限り音響設備はダメっぽかったですが、これは先述した「アリーナの物理的な問題」かな。)
なにより、観客参加型のイベントが複数あったのはナイスな打ち手でしょう。
(ブーイングの表示に変化があったのも良い打ち手だと思います)
こうした打ち手を繰り出せるのは、自分たちの商品の特徴をきちんと把握しており、やりたい事とやるべき事が明確になっているからこそ。一方で、厳しい事を言うと"ハンナリーズである意味"が欲しかったかなとも。
スポーツの場に人を呼ぼうとなると「エンタメ性の向上だ!」となりがちですが、エンタメ性を向上させてディズニーランドやUSJと競うのであれば厳しい戦いになるでしょう。エンタメ性の向上は必須ではあるのですが、+独自性がないと厳しい。まあ私はまた見に行きますが。
(ハンナリーズに限った話ではなく、日本のどのスポーツクラブも基本的にこの課題を解決できていないと思います)
入り口自体はイベントでもマスコットでもグルメでもなんでもいい。広ければ広いほど可能性は高い。けれども、愛着を持たせるには着地点が無ければいけない。
地方のJリーグクラブやBリーグクラブなら競合相手もないから容易でしょうが、都市部のクラブはクラブへの強い愛着を持つまでのルート整備がより重要。その点、バスケは応援スタイルや観客参加型イベントの強化を通じて一体感を作り出すことが容易なので、得かもしれません。
最後に
ハンナリーズは「勝ち負けに左右されない観戦体験」と「勝利時の価値最大化」ができている様子。当たり前の話ですが、勝ち負けを完全にコントロールすることは不可能です。なのでスポーツ興行をする上では、リスクを軽減し価値を最大化することが求められます。ほんとに重要です。
ハンナリーズは今後はこの両軸をより確かなものにしていく事が必要でしょう。
一方、京都サンガはどちらもできていません。型無し状態です。
なので、今年は勝った試合も負け試合もgdgdと挨拶だけして終わりじゃないですよね?今年もプログラムをきちんと組めないなんてことはないですよね?J1・J2で勝ち試合の後にスタジアムに残っているファンが1000人を切っている寂しいスタジアムって西京極だけだと思いますよ~~改善しないと~~
2018年にもなってこんな簡単な事すらできなかったら末期だからね。
ではまた