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「落ちひん」のその先に ~2018シーズン振り返り~

 

一難去ってまた一難。

 

2018年、戦前の予想通りに低空飛行を続けた京都。

シーズン途中に退任した布部陽功元監督は柏レイソルの新GMに就任し、混沌の元凶こと小島卓強化部長はクラブを去った。一方、inの方。新監督には小島卓の置き土産として、FC.ISE-SHIMAの総監督であった中田一三氏が就任。新たな『共創者』となることとなった。既にSNS上で話題を振りまいている新監督だが、布部氏同様にJリーグでの指揮経験は無く、手腕については未知数。強烈なキャラクターのみが先行している状態だ。

 

なんとか落ちひん!は有限実行できたものの、先行き不透明な中、次から次へと押し寄せる笑いの波。「良い波乗ってんね」とは言えないのが現状である。

 

 

そんな辛い今季をざっくり振り返ると共に、クラブに関わる各関係者に思う事を書いておきたい。

 

 

 

 

必然の低迷

布部元監督の留任に際し、「シーズン終盤の好調ぶり」を判断材料に決めたと語った前フロント。あのサッカーを見て、積み上げがあったと思えるその神経が未だに理解できないが、これに関しては"お友達人事"としか言えない小島-布部ラインが原因なのでもう語っても無駄。放っておくしかない。

だがこのお友達人事による惨事以外で、シンプルに見る目がないことによる悲劇は多かった。

 

例えば、ボランチの目玉として獲得してきたマティアス・カセラス。

「他J2強豪クラブと競合したが勝てた。代理人を介さず自分も交渉に乗り出して商談し、年俸を安く抑えて獲得できた」と、とある人は豪語したが、微妙なプレー集そのまま、私の期待通りのパフォーマンスに終わり、たったの出場2試合で今季途中に契約解除となった。ちなみにそんな獲得秘話を豪語していた当人だが、サポーターズカンファレンス開催の約束は反故にし、その理由に「説明ができない」と語っていた。サカつく話は豪語できるのに経営者としての説明責任は果たさない。2017年の現状説明会の議事録には「分かりました。全然難しいことではございませんので、それはやらせていただきます。」という当人の回答が載っている。

"ホラ吹き"というあだ名がサポーター間に浸透していったのも、そんな人がリーダーを務めていた組織が機能不全に陥ったのも、必然だろう。

 

少し話が逸れたので本筋に戻す。

シーズンインの時点で26名体制と少人数体制だったが、怪我人と歪な編成、そして前述のカセラスと同様に計算の立たない選手の出現で何もかもが狂っていく。

 

「第3GKに外国籍選手枠を使ってしまう」「育成枠として20歳のブラジル人アタッカーを呼んだは良いけど余裕が無くなって契約解除」「と思いきやJ未デビューの19歳中国人DFを清水から獲得」「闘莉王をCBとして計算もコンディション不良でFWへ再配置転換」「結果、CBが3人のみ」「カセラスの計算外と宮城の負傷離脱で守備的なボランチ不在」などなど…

結果的には夏のパニックバイで無理やり解決できたのだが、京セラがお財布の紐を緩めてくれなかったら、讃岐と熊本に大差をつけられてJ3へ降格していた。

新体制記者会見での布部・小島・山中の三者の発言や編成から、「何とか残留はできるだろう」という思いはスケスケだったが、当然ながらJ2はそんな甘いリーグではなかった。コーチから昇格したボスコジュロブスキー前監督の采配然り、乱暴だが一言で括ってしまえばJ2を舐めていた。バチが当たるのは必然だった。

 

 

 

コンディション重視の指揮官

残留に導いたとは言え、各所で既に書かれている通り、布部の後を継いだ、いや実際には今季当初からチームの骨格を作りあげていったボスコのトレーニング方法には問題がなかった訳ではない。

居残り練習を嫌い、過度な接触等は避けるような雰囲気が形成されていったという。

 

居残り練習を嫌う事自体は決して珍しいものではなく、エリク・モンバエルツ横浜FM監督や、水曜日にオフを設定するヤン・ヨンソン清水監督など、欧州系の監督はそうした傾向にあるし、というよりもサッカー界・スポーツ界自体がそういう潮流にある。

長時間のトレーニングではどうしてもペース配分してしまうのが人間の性。短時間の方が密度や強度、集中力を高く維持したままトレーニングを積むことができ、フィジカル的にも追い込める部分がある。

もちろん、2部練習や3部練習を活用したアプローチもあるし、ユンジョンファン前C大阪監督や我々の"元憧れの人"チョウキジェ湘南監督は実際にそれで成功を収めている。他競技になるが、エディージョーンズも短く質の高いトレーニングセッションを4部5部と積み重ねてラグビー日本代表の強化に繋げた。ケースバイケースである。

 

しかし、時間は短く、質も低い。これでは伸びシロは埋まらない。

 

思えば、名古屋グランパスも2008年は華麗なサッカーで質・結果共に充実していたが、やがては高身長選手が沢山並んで力で押し切るサッカーに変化していったような。

結局、ボスコが志向するサッカーはなんだったのか。わからずじまいのまま、彼もまたクラブを去ることとなった。残留という貴重な手土産だけを残して。

 

 

 

スーパーハードワークの幻影

そんなだらしのないトップチームとは対照的に、代名詞となった「スーパーハードワーク」で京都サンガU18は高円宮プレミアリーグで優勝争いを演じた。

 

とはいえである。ここで私は文句を言いたい。

よく、「アカデミーがスーパーハードワークを謳っているのだからトップももっと走れ」だの、「アカデミー出身選手を中心にチームづくりをしていくべき」だのという意見をSNS掲示板で見かける。

また、「森岡隆三を監督にしろ」「岸本さんをトップの監督に」といった意見もここ3年間で何度見たことだろうか。

 

あのさあ、お前ら、それちゃんと現場見て言ってるの???????

 

 私だって恥ずかしながらそんなにアカデミーの試合を観戦できている訳では無い。特に2018年はめっきり観戦数が減ってしまった。

とはいえ、見ていて感じるものはあるし。アカデミーの試合を見れなくとも、トップに昇格したユースっ子とガイナーレ鳥取のここ数年を見るだけで察しがつくと思うのだが?

 

「スーパーハードワーク」という単語1つで勝手に快楽を感じている場合では全くない。

確かにU18は良く戦った。昨年はJユース杯で優勝を飾ったし、優勝メンバーの中心が2年生だったこともあって今季はプレミア初優勝まであと少しのところまで戦えた。でも最終的に負けてしまったのはその「スーパーハードワーク」が原因だろう。

アカデミーの成績が良いのは、J2 9年目を迎えるトップとは違って戦力を集められるだけの立ち位置にあり、世代別代表クラスのタレントを毎年保有できているからである。

試合を見れば、主導権を握って、再現性のある崩しで得点を量産しているわけではないのは丸わかりである。わかりやすく言えば2016年の石丸体制と一緒だ。運動量を武器にタフにポイントを得る。ソリッドかもしれないが、攻撃面で物足りない。硬直性を感じる。戦術的バリエーションに乏しい。

言い方は悪いが「うまく誤魔化せている」だけで、少なくとも外野がそんなに偉ぶったり誇ったりするものではない。サッカーは運動量を競う競技ではない、スコアを競う競技だ。

そしてこれはカテゴリーが上がれば上がるほど感じる。U18ともなるとまずはプレミア残留が目標であって、今年の様に優勝争いを演じることは中々無い。中々ボールを前身させれないし、押し込んでも最後の一手が無い。どのカテゴリーも、アタッキングサードで戦術的に優位性を発揮してゴールする姿はさほど見られない。フィジカル面や個の能力で解決する姿は見かけるが。

 

今年は本当に惜しかった。惜しかったけれど、最後の最後に名古屋と広島に力負けを喫してしまったのは、上記の部分で、戦術面で伸びシロを埋めきれなかったからだろう。

「アカデミーからトップまで一貫したサッカーを!」という主張はごもっともであり、私も何度も主張してきたが、アカデミーもトップも能動的にボールを繋ぐことができず前線へのロングボールを多用する・個々のクオリティの高さで勝ち点を稼ぐという点では既に一貫したものがある。というのが個人的所感。

 

 

 

 

 

 

結局のところ、クラブもスポンサーもサポーターも皆おかしな方向を向いているのではという気持ちがますます強くなったシーズンであった。

 

的外れというか、リテラシーが低いというか、染谷が泣いた後に布部・小島に拍手沸いてた風景なんぞまさにそれで。犯人捜ししても意味はないんだけど、もうちょっとサポーターも考えるべきだと思うよ。うん。

布部小島体制のキープとか、人の気持ちが離れる瞬間って「コイツにはもうついていけんわ」という瞬間じゃないですか。クラブ側が数年定期でそんな馬鹿をやらかすっつーのが京都サンガの伝統芸であり、J加盟時と入場者数が変わらないどころか減ってしまっている数少ないお荷物クラブである最大の原因な訳ですが、それがサポーター間でも起きてしまうのは一番悲しいので。

高尚なことを言えって訳では無く、負傷者に対するブーイング等と一緒で見当違いの事を発信するのは考え直してほしいわけです。運動量が多かったら勝つわけじゃないし。闘莉王の功罪はもっと適正に見積もるべきだし。もうちょっと真実に目を向けてほしいというか。なんというか。表現に困るけれど。

 

そういう点で、新監督はおもしろい人なのは間違いないので、采配は正直期待してないし不明点多すぎてわからないけど、フロント的発想に関しては少し期待している。

自身の手腕で改善できるかどうかはさておき、問題点を探れる人であり、その点においては細川らと全然違う。ただ、前体制が引っ張ってきた監督な訳だし、SNSの感じから言っても開幕前に京セラにクビ切られそう感あるけど。

 

 

まったくまとまらない内容になってしまったけど、改善策を羅列する気力も文章を校正する気力が一切わかないのでこんなところで。

とりあえずさ、まともなこと、面白いこと、やろうよ。もう言うてる間に新スタですよ。。。