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【新型コロナ】プロスポーツ等文化イベントのチケットを払戻せず寄付すると税金が還ってくるお話

 

新型コロナ関連感染症の影響でJリーグをはじめ各スポーツ・文化イベントの延期・中止が相次いでいます。

 

週末や余暇の楽しみが数多く奪われ、少しずつストレスが蓄積されるような日々を送る人も多いかと思います。

 

 

しかしながら、我々観る側以上に苦しいのが、プロスポーツクラブやアーティスト、様々な興行団体です。

SSAでの格闘技イベントに賛否両論渦巻いたことなどもはや一昔前の話で、催事・イベントが完全に止まっている今、興行収入が得られず資金面で苦心する団体が多数存在することは報道にもある通り。

更に既に中止を決めたイベント、延期対応のイベント共に、チケットを払戻すとなると日銭が入ってこない上に、既に手元にあるキャッシュを返還しなければなりません。

 

かかる中、各関連団体を資金面で支援する為の方策として、中止となったスポーツの試合や音楽ライブ・コンサートなど文化イベントのチケット料金を払戻請求しなかった場合にそれを「寄付」とみなし、購入者が税控除を受けられる制度が正式に創設されました。

https://www.mext.go.jp/sports/content/20200409-mxt_sports1-000006401_1.pdf

 

今回はその制度について。

 

 

 

本制度の仕組み

結論から言うと、「チケットを払戻しなければそのチケット代分損するけど、確定申告で一部税金が還ってくるよ」というもの。

 

通常、イベントが中止になった際にイベント主催者は返金(もしくは振替など)対応を執り行います。

今回、新型コロナ対策支援の1つとして、チケット購入者が払戻請求をせず権利を放棄した場合に、"チケットの代金分だけイベント主催者に寄付した"とみなして寄付金控除が受けられるようになりました。

 

もう少し具体的に見ていきましょう。

 

 

①独身で会社員のNさん(仮名)は、新スタジアムへの期待を胸に、Jリーグ 京都サンガF.C.の年間チケットを27,000円で購入しました。これ1枚で2020年シーズンの試合は全て観戦できます。

チケットを買う人のイラスト(男性)

 

②しかし、新型コロナの影響を受けてリーグ戦が長期間中断。遂に再開日程が決定するも、各入場者間の距離を確保するために入場者数制限が設けられることになり、年間チケットが払戻されることに。

間隔を空けて座る人たちのイラスト(映画館・マスクあり)

 

③様々な報道を見て、応援するチームの資金繰りを心配に思ったNさん。ちょっとした大金を惜しみつつも、都度チケットを買いなおさないといけないのかとも思いつつも、あえてチケットの払戻をしないことを決めました。

ケチのイラスト

 

④「去年、払戻ししなかった分のサンガのチケット代金は寄付金控除の対象になるよ」と教えられたNさんは、税控除を受ける為に2021年に確定申告を行いました。

27,000円丸々損したと思っていましたが、京都サンガの試合が文科省の認定対象となったことで4月からの新年度で支払う予定だった税金が12,500円分減ることになりました。実質14,500円の負担で京都サンガに27,000円寄付した構図になりました(※1)。

確定申告に来た人のイラスト

※1=27,000円から自己負担分2,000円を差し引いた25,000円が控除対象となるので、所得税(25千円×40%=10,000円)+住民税(25千円×10%=2,500円)で12,500円の減税に。

 

 

という訳で、払戻ししなかったチケットの合計金額等条件によって異なりますが、基本的にチケット購入代金の4割は実質戻ってきます。(自治体の認定もあれば5割に)

チケットの払戻しをするか否かは個人の自由ですが、もしも応援する団体の為に払戻しを放棄する事を選んだならばこの寄付金控除を使わない手はないです

また、応援する団体に何かできないかという想いを持ちつつも、そもそもこの制度を認知しておらず…というのも勿体なく感じます。是非とも判断材料の1つとして噛み砕いていただければなと思います。

 

注意点としては3つ。

・確定申告を行う為に、認定を受けたイベント主催者から後ほど送付される"指定行事証明書"と"払戻請求権放棄証明書"の2つを手元でしっかり保管しておきましょう。

 

・年末調整と異なり、自分できちんと申告しなければなりません。申告漏れに気をつけましょう。

 

・自分の購入したチケットが該当するのか、主催者からの連絡/報告を待ちましょう。

 

 

 

 

 

学生の場合

上記のケースのNさん(仮名)は会社員として一定の給与所得を得ており、所得税と住民税を納めている為減税メリットがあります。

では、学生の場合はどうでしょうか。学生の中で所得税がかかってしまうようなケースは基本ないでしょう。

 

文科省的には以下の見解だそうなのでうまいことやってください。

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https://www.mext.go.jp/sports/content/20200430-spt_sseisaku01-000006401_3.pdf

 

個人的には学生だったら他人様の資金繰りなんぞ考えずに普通に払戻して自由に使うなり、友人を誘う用に使った方が良いんじゃないかと思いますが。知らんけど。

 

 

 

ふるさと納税について

自治体への寄付に該当するふるさと納税。正確には節税対策にはなり得ませんが、一定の税控除を受けられるほか自治体から返礼品というリターンを得ることができる為、活用している人は多い事かと思います。

筆者も京都スタジアム建設事業に対する寄付でここ2年間連続でふるさと納税を行いました。現在も京都スタジアムに対する寄付は受け付けられているほか、セレッソ大阪サンフレッチェ広島に関わるスタジアム建設事業において寄付金の募集が行われています。スタジアム建設には貴方の支援が必要です。是非ともご協力のほどよろしくお願い致します。

 

 

話が少し逸れました。

繰り返しになりますが、ふるさと納税も寄付行為に当たります。ふるさと納税の場合は特例控除が認められるので、今回の払戻放棄による寄付金控除より税制面でのメリットはもっと大きいです。

 

例えば、独身・年収約400万円のNさん(仮名)の場合、総務省HPのシミュレーション概算案では42,000円までならば実質負担2千円で寄付が可能と掲示されています。(あくまで一例です)

払戻放棄による寄付は別枠でカウントされること無く、この42,000円の枠内に入ってくるので、ふるさと納税と併用する場合は控除枠をきちんと考えて行わなければ「あれ?例年よりあまり得してない?」となる可能性もあるので気をつけましょう。

 

◎R2/5/24/0:00追記

ふるさと納税との併用についてスポーツ庁担当者に伺ってみました。

ふるさと納税制度は前述の通り特例控除であり、別枠でカウントされるので特段考慮する必要性はないとのこと。(ただしケースバイケース)

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よって、基本的にはふるさと納税利用時のデメリットはなさそう。

何度も言いますがケースバイケースではありますが。

 

 

 

 

以上ご参考までに。