横浜・ニッパツ三ツ沢球技場の改修の件で動きがありました。
市は屋根付きの球技場への建て替えや、現在の建物に屋根を増設する案などを検討してきた。しかし屋根を設けることで芝生の日照時間が減少するほか、生育のために稼働日数も減らさざるを得ないとなると市民とプロスポーツ両者の利用枠の確保が困難になるとして、新球技場の整備方針を打ち出した。
元々この話は、1964年東京五輪でも使用された三ツ沢球技場の老朽化が進む中で、横浜市長にキングカズこと三浦知良選手(当時横浜FC所属)が直談判をしたのが大きな契機。
>2019年12月3日13時6分
カズは林文子市長に、本拠地の三ツ沢球技場に触れ「屋根がね…。雨の日はサポーターがぬれてしまう。そこも協力していただけたら」と、横浜市が所有するスタジアムに屋根の設置の要望を出した。
>2021/3/4 11:30(最終更新 3/4 11:30)
市はスタンド屋根の設置を含む大規模改修に向けた検討を本格化する。全面的な建て替えなどを選択肢とし、2021年度に具体的な改修方法を調査して早期の着手を目指す
20年度の調査で既存メインスタンドへの屋根架設は困難との結果が出ている。メインスタンドやスタジアム全体の建て替えを視野に入れた検討になる見通し。21年度予算案に約1000万円を計上した
そこで横浜市が6月6日に公表した資料を見てみると、三ツ沢公園内に別途新たな球技場設備を検討するという構想に至った経緯が解説されていました。
この案のメリットは以下の2点に尽きるでしょう。
①既存施設の改修ではないので球技場が1つ増える(しかも同程度もしくはより安価な費用で)
②最新のスタジアムができる
一方でデメリットが複数散見されます。例えば以下の要素。
①三ツ沢公園のスポーツを「する」場としての機能が低下する恐れが高い
②その他公園としての機能が低下する可能性が高い
③全く同じ場所に似た施設が2つできる可能性があり、ある手の二重行政的行為になる恐れがある
④新スタジアムに対する多方面からの検討が不足している
①と②については、今の構想では代わりに姿を消す施設が出るのは必須。代々木公園・織田フィールド内のスタジアム建設議論と一緒。
③については同じ公園内にプロスペックの同じような機能を有した施設が2つできる事になりますので、市民サービスとしてどうなのか。スタジアムという特殊な施設とは言え横浜市ってかなり広いし。もしくは新スタジアム建設後に現・三ツ沢球技場をダウンサイジングで「する」場としての意味合いを強くさせるのか。
④については、仮に3万人規模のスタジアムを建設するとしましょう。
(無いでしょうが)Jリーグやトップリーグなどが同日開催されて最大5万人弱の来場者が集まった際にスムーズに人流は捌けますか?
先日のマリノス戦含め2回しか三ツ沢には行った事がありませんが疑問でしかない。横浜駅からも近いが住宅街すぎるのでは。
公益性・収益性の観点でも三ツ沢という立地では疑問符が付きます。そもそも横浜はJリーグクラブだけで3つも存在する為、利害関係者の立ち位置の整理は必須です。
「三ツ沢球技場の改修を検討した結果、費用対効果などから新設が相応しいと判断」はわかります。
ならば次は「新設するスタジアムの費用・効果・規模の検討」と「それを三ツ沢に新設するべきか否か」を議論するステップに移るべきです。
スタジアムは建てる場所や規模が先行して決まるものではありません。
「なぜ建てるのか?(=目的)」が先行し、「誰が(建設主体・運営主体)、何処に(場所)、どんなスタジアムを(機能)、いつまでに(時間軸)、どのように(資金調達手法・運営手法)、建設・運営することで達成するのか?」を議論して決まるものです。
大都市ゆえに建設用地・開発の余地が無いのはわかりますが、スタジアムプロジェクトの進め方としても血税の利用法としても非常に稚拙な構想でしょう。
まずはスタジアムを新設する事について予算が付けられて、ゼロベースで検討が進められることを望みます。
「ニッパツ三ツ沢球技場の改修(屋根)・全面建替ではなく新設すべき理由」であって、「三ツ沢公園にニッパツ三ツ沢球技場とは別に新たな球技場を建てる理由」にはなっていない。一言で言えば意味がわからない https://t.co/qPdVy5CNZw
— n (@nks137) 2022年6月8日