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記事[スタジアム論一吹田スタジアムでの出来事]のプチ炎上に覚える違和感

 

サンフレッチェ広島の担当記者として有名な中野氏の記事が、少しばかり"ボヤ騒ぎ"を起こしている。

www.targma.jp

内容だが、明治安田生命J1 ガンバ大阪の本拠地である市立吹田サッカースタジアム(以下:吹田スタ)での試合の帰りにあったトラブルが描かれている。

題材に加え、中野氏らしい主観的な文体も災いしたのだろうか。

 

 ●ホームゲームの宣伝

4/15(土) 15:00 京都サンガF.C.愛媛FC@西京極

4/22(土) 15:00 京都サンガF.C.松本山雅@西京極

www.jleague-ticket.jp

4/22は関西圏でJリーグの試合があるのは西京極だけ。桜はほぼ間違いなく散っていると思うが、是非ご来場を!

 

 

●否定的な投稿

吹田スタが話の題材なだけあって、Twitterで検索したところガンバ大阪サポーターの反応がやはり顕著であった。

こんな感じ。

 

 

●肯定的な投稿

一方、記事の内容に追随するような反応を見せたユーザーは、ガンバサポ以外が目立った。

 

 

●勘違い

このようにスタンスが異なったのに2つの理由が考えられる。

 

1つ目が『所有者意識』。

吹田スタといえば、建設資金を個人・法人の寄付金および助成金にて賄い整備したスタジアム。"市立"というのは、整備後に募金団体から吹田市へとスタジアムが寄付されたからであり(※1)、吹田市はスタジアムを受けとった後にガンバ大阪を約50年近い長期間の指定管理者に任命。

建てたのはガンバ大阪サポーターを中心とする"みんな"であり、実際にいま管理を行っているのは"自分達"のガンバ大阪

そんなバックボーンがある中で、自慢のおらがスタジアムにまつわる批判が聞こえてきたら…? 我が子をかばうかのように拒絶反応を見せるのも納得はできる。

(※1)=個人・法人からの寄付金をふるさと納税のような形で扱う為&整備後の固定資産税負担対策

 

2つ目が『勘違い』

これが今回の問題の肝である。

先述した通り、ガンバ大阪サポーターには本拠地に想いを抱く背景がある。その為に感情的な意見が目立ったのであろう。(と予測する)

しかし、この記事の主眼は「市立吹田サッカースタジアムのダメな所」ではなく、「スタジアムに必要なもの」に置かれている事を見落としてはいけない

 

もっと簡単に表すと、

A市立吹田サッカースタジアムでの試合の帰りに困った体験をした話」

B「スタジアムを整備する上で必要なものはなにかを考える話」

 

この2つで、前者のように捉えているの否定的な反応を見せた人達であり、後者のように捉えているのが中野氏に追随した肯定的な人達なのだ。

 

 

●記事の趣旨

そこでもう一度記事を確認してみると、確かに文中には「アクセスが困難」「坂がある」「照明がなく道が暗い」などと市立吹田サッカースタジアムの周辺環境にまつわる難点が挙げられている。

しかしながらこの記事の真の主張は、

今回はいろいろと学んだ。特に大切なことは、スタジアムへのアクセス。最寄り駅までどれほどかかるのか、だけではない。灯りはあるのか、人は通っているのか、お店はあるのか、にぎやかなのか。歩いて楽しい道だったら、辛くはないのだ。

もちろん、サポーターが家路につくピークの時であれば、寂しくないかもしれない。だが現実に、僕らと同じ時間帯に帰っていたサポーターも少なからず、いたのである。例えば、日産スタジアムから新横浜駅に戻ろうとすれば途中で様々なお店があり、寄り道がたくさんできる。人間、寄り道ができるってことは必要だし、それが楽しさを増幅させるものだ。

考えたいのは、スタジアムとはただ、スポーツをやるだけの場所ではないということである。

日本ではこれまで、スタジアムとはプレーヤーだけのものだった。見る側は添えものにすぎない。日本のスタジアムやアリーナ環境は国体をきっかけに整備されたものがほとんどだが、20世紀につくられた設備のほとんどは、見る人のための環境は全くといっていいほど考えられていない。

スタンドは雨が濡れたら座るのも難しくなる芝生だったり、炎天下だと熱くなるコンクリートの階段だけだったり。風雨を避けるための屋根もなく、ベンチが壊れても修復されない。アクセスにしても、見る人が行きやすく、楽しんで帰ることができるような仕掛けがほとんどない。

この部分にあるのだ。

 

「見る者の為になるスタジアムが必要」。市立吹田サッカースタジアムに関する記述のあれこれは、これを説く為の材料すなわちエピソード。

だからこそ、具体的かつその時の心情が少し過剰気味に盛り込まれているのである。

そこに食いついてしまう気持ちもわからなくはないが、少々読解力と冷静さが足らないのではないだろうか。

 

その証拠に、中野氏は市立吹田サッカースタジアムを"ハコ"としては高く評価している。

吹田スタジアムは、サッカーを観るという環境であるならば、本当に素晴らしい。ただ、まだ完成したばかりだし、周辺の整備はこれからの課題。スタジアムとしての成長をこれからも見守っていきたい。

 

一方の広島といえば、アクセスが悪い上に観戦環境すら整っていないエディオンスタジアム広島が本拠地。長くサンフレッチェ広島を見守り、以前にこんな連載記事を書いた中野氏が吹田スタの価値をわかっていない訳がない。

www.soccer-king.jp

だからこそ、スタジアムの持つ機能を十二分に発揮する為のモノを盛り込む必要があるのだと訴えているだけであり、吹田スタへの批判記事ではないのだ。

 

 

 ●最後に

一番多かったであろう、「オフィシャルライターなんだったら下調べぐらいしろ!お前の問題だ!」の意見にも一言言っておこう。

確かに、中野氏のような立場の人間ならばしっかり調べてから行くようにすればいいじゃないかとは私も思う。ましてや、スタジアムがオープンしたての2016中にリーグとルヴァン杯で対戦済であり、今回の試合は吹田でのサンフレッチェ広島戦としては通算3試合目であった。

 

ただし、この指摘を"初めてサッカー観戦をしに吹田スタへ訪れた人"にもできるのだろうか?

「出口がわからない」。「駅までの正しいルートがわからない」。顧客にそのような問題が生じている時点で問題があるとは考えられないのだろうか?

 

日本人ではなく外国人の来場者だっている。

数十kgまではいかないと思うが、旅行で重たい荷物を持ってきた客や幼い子供を連れた客だっている。

そういった顧客にも対応していかなければならないし、幸いにもデジタルサイネージなどは既に整備済みだ。


パナソニック スタジアム設備ソリューション

 

「公共の場であるスタジアムは、どんな客人にも対応できる設備(ハード面)とオペレーション(ソフト面)が備わっていなければならない」。

まだまだ"すっぴん状態"のスタジアムなのだから、もう少し謙虚な態度になられてはいかがでしょうか。

 

 

※ただまあリサーチ不足だとは思うよ!?

 

ではまた

 

 

 【4/12追記 続編書いたよ】

naoki-ks13-7.hatenablog.com

 

 

【参考までに】

スタジアム・アリーナ改革指針の公表について:スポーツ庁

 

吹田市議録

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 以前に吹田スタを使用した機会があり、「あまり稼働率が高くないのでこれからもっと上げていく予定です」とガンバの社員さんからお聞きしました。

管理するガンバをはじめ吹田市など関係先が色々改善しようとしているのだから、意見を述べるのならばクラブや行政やエキスポシティに向けましょう