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遂に完成間近。我が国最高峰となる広島市サッカースタジアム建設現場レポ(2023年6月)

 

エディオン命名権を取得する事が決まり、更に席種・価格も決まった広島市の新サッカースタジアム。

2024シーズン チケット販売席種・エリア・料金決定のお知らせ | サンフレッチェ広島 オフィシャルサイト

 

昨年に引き続き建設現場を見学を行ったので記録を残しておく。

 

アウェイ広島戦当日の朝、平和記念公園→おりづるタワー→中央公園の順に巡ろうと散策すると、公園へ向かう為に川を渡ろうとした処から、それはいきなり視界に飛び込んできた。

 

 

 

 

昨年までは見られなかった景色。壮観である。

 

 

余談だが、スタジアム建設現場を見学する際は4つのステップがあると個人的に思っている。

第一にまだ何もない現場を見る段階。脳内でエリア一帯へのイメージを膨らませることで興奮を得るのである。

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次に、本体工事に着手し形が出来上がっていく段階。少し見ない内にスクスクと育っていく為、この時期の伸び具合が一番見応えがある。設計上の特徴的な梁や屋根の構造など、各スタジアムのチャームポイントが図面やパースから現実世界にお出ましになる様子はなんとも言えない快感がある。

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3つ目にスタンド部分は完成し、観客席の設置などスタジアムとしての姿を見せ始める段階。長き旅の終着点を視界に捉え、待ち遠しくて衝動に駈られる。

 

4つ目に竣工し、人を出迎える段階。付帯設備や内装等細部を楽しむ。スタジアムは器であり、主役ではない。賑わいや歓声が生まれる事でようやく完成形となる。魂が宿ったその時、人は言葉を失うのだ。

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話を戻そう。

昨年は広島城から見学を行ったが、今年はもうスタンドがほぼ出来上がっている。広島城では高さが足りない。そこでより高い位置から眺める事のできる『おりづるタワー』へ登る事にした。(入場料は2200円とまあその…)

先日の報道ステーションにて、サッカー男子日本代表・森保監督がインタビューを受けていた場がこのタワーである。

 

 

最上階の展望フロアからは、手前に広がるのは旧市民球場跡地に整備されたイベント広場『広島ゲートパーク』。その奥に『グリーンアリーナ広島』と、更に左奥には建設中のスタジアムを眺める事ができる。(西側を見渡すと原爆ドーム平和記念公園を上から眺め下ろすことが可能)

なお、最上階の展望部分には侵入防止の為の網が張られている為、写真は下へと徒歩で降りるスロープの道中で撮影した方が良い。


既にスタンドがほぼ出来上がっているのがよくわかる。北側のアウェイスタンドから南のホームスタンドへ向けて工事が進捗している。なのでこの時は座席の設置は未着手。

 

 

タワーを降りて、スタジアム側へ近づく。

この新スタジアム『エディオンピースウイング広島』の最大の特徴は、今まで我が国にはなかった立地条件の良さ。

なので、原爆ドーム平和記念公園・おりづるタワー方面から、スタジアムのあるエリアへ大通りを北に渡る際には、エディオン本店だって見える。この大通りをエディオンを越えてなお東へ進めば、紙屋町・八丁堀・流川と繁華街へ辿り着ける。健脚なら徒歩でも移動が可能な範囲だ。

 

 

頭上から眺めて分かったように、旧市民球場跡地はすっかり整備が完了しており、この日は韓国料理のフードフェスが開かれていた。

中央公園までの道も綺麗に整備されていて、歩いている最中に北から南へと振り返ると、思わぬ風景が。

 

わざわざ舗装の色を変えて強調している南北に貫く縦の軸。これこそ"平和の軸線"。それは平和記念公園が整備される際に、故・丹下健三氏が込めたコンセプトである。

平和記念公園の南北軸、園外の建物にも 広島サミットまで【83日】 | 中国新聞デジタル

 

 

 

思えばこのスタジアム計画、一時は市中心部から離れた港湾エリアの宇品への建設が強引に進められた。が、サンフレッチェ広島自身が旧市民球場跡地への自己資金による建設案をぶち上げた事で、一気に捲り返した形。あのまま宇品案が進められていればそもそも建設すら途中でたち消えになっていただろう。強い信念と覚悟には改めて感服せざるを得ない。

願わくば市民球場跡地=慰霊碑と原爆ドームを南北に貫く"平和の軸"の直線上に整備されたならば良かったが、枠からはズレていない。

今までは広域公園まで交通費を払って足を運んでいたのが、通学・通勤の定期券内で、平日にだって足を運べる。広島市内で建設するならばこれ以上ない立地だ。

 

 

いよいよ中央公園へ到着。周囲をグルリと歩く。まずはスタジアムの南東部分から。眺めると、高さに圧倒される。新スタジアムは一番高い処で高さ42m。サンガスタジアムbyKYOCERAが27m。約4万人収容のパナソニックスタジアム吹田で40.33mなので、かなりの高さだ。

ちなみにフィールドサイズは121m×84mで、各スタンドからピッチまでの距離は一律8mの見込み。ゴール裏は吹田や京都よりも距離が短くなる。

 

コーナー部分に君臨する特徴的な梁。

 

 

続けて、川を挟んで西側(メインスタンド側)から観察。

 

このスタジアムは北側に基町団地が存在する。その為、騒音や日当たりの観点から、屋根が虹の様にアーチを描く形状になっている。また、コーナー部分も閉じられた形になる。

遮音性の高い金属屋根も使用しており、夏場やデーゲームのアウェイゴール裏側はかなり暑くなるかもしれない。

 

北東から眺めた様子。既に北側(アウェイ側)は外壁も露わになっている。




 

 

いよいよ来年春に開業を迎える広島市の新サッカースタジアム。

7月27日には、サンフレッチェ広島サンフレッチェ広島ジーナの選手たちも、建設現場の見学を行った様だ。こんなブログ記事よりも、遥かに興奮とスタジアムの大きさがよくわかる。

 

 

新スタジアムがクラブ経営およびチーム強化に与えるインパクトの大きさは先日書いた通り。

ホームスタジアムとして利用するサンフレッチェ広島にとって、大きな大きなアドバンテージが生まれることだろう。サンフレッチェ広島サポーターを含め、新スタジアム建設を進めているクラブのサポーターには参考にして貰いたい。

 

 

そんなスタジアムが全国各地に整備される様に協力することは、ある意味「敵に塩を送る行為」と言えるかもしれないが、素晴らしいスタジアムが整備される事で、サッカーそしてJリーグのプレゼンスが高まる事は、ひいては自分たちの為になる。

入場者数の増加や放映権料の増加による経済規模拡大。競技人口の増加。選手・クラブスタッフ・審判らの待遇向上とそれに伴うパフォーマンスの向上。そしてなにより、スタジアムを核とした地域の活性化はこの国の景色を変えていく可能性を持つ。

(しかし、スタジアムはあくまで器であり、地域密着型スポーツクラブの持つポテンシャルを引き出す事で効用をもたらす。その為、スタジアムの機能は勿論のこと、当該スタジアムを主として活用するスポーツクラブの経営状態に目を光らせなければならない。)

 

既に4億8500万を超える個人寄付金が集まっているが、9月末まで受付も続いている。

まだの方は検討してみてはいかがだろうか。

 

 

最後に。

このスタジアムの設計を担当したのは、サンガスタジアムbyKYOCERAを担当した東畑建築事務所であり、上羽一輝氏である。

来年、サンガスタジアムbyKYOCERAの"兄弟"とも言えるこのスタジアムにて、広島vs京都の対戦が見れる事を願うばかり。(その前に今年も広島で行われるであろう高円宮プレミア参入戦でもお目にかかりたい処)

 

スタジアムづくりはまちづくり。スタートラインまであともう少しだ。

 

See you soon…!

 

引用元:ギャラリー|HIROSHIMAスタジアムパーク|サンフレッチェ広島