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完成すれば日本屈指のスタジアム―― 広島市サッカースタジアム建設地見学

 

 

スタジアム建設現場まで

今回は5月21日のアウェイ広島戦前後に新スタジアム建設現場の見学へ行ったお話。9時に広島駅に着いてそこからシェアサイクルを利用した。繁華街を駆け抜けて10分ほどで原爆ドーム前駅に到着。

京都同様に紆余曲折あった広島のスタジアム計画も、最終的には市内中心部に位置する中央公園案に落ち着いた(今回は言及を避ける)。


地図を見ればわかるが、ここならば繁華街や平和記念公園からもすぐである。改めてアクセスの良さを実感。

 

まずは市電の最寄り駅となる原爆ドーム前駅からのルートを確認する。

将来的には旧広島市民球場跡地からのアプローチも整備されるが、その球場跡地も今まさに再整備中なので画像2枚目にある一番左大外から北上するルートを行く。

 

いやー近い。ペデストリアンデッキ整備後は徒歩6分程度でスタジアムまで行けるのではなかろうか。

 

 

 

着々と進む基礎工事

現場を散策すると周囲を囲む壁達にはこんな掲示物が。

これを見て興奮を覚える人種は間違いなくマイノリティだろうが、何といっても設計担当が上羽氏なのだ。思わず声が漏れてしまった。

サンガスタジアムbyKYOCERA産みの親の1人であり、個人で寄付もしてくださった東畑建築事務所のエキスパートその人である。

なかでも「スタッド・ドゥ・スイス・バンクドルフ」は、上羽さんがそのデザインに憧れ、長年行きたいと思っていたスタジアムだという。その直線的なデザインの美しさをサンガスタジアムの観客席に取り入れた。

J2京都、"新スタジアム"をお披露目! 建築家、選手、サポーターが語る魅力とは? | フットボールゾーン

 

今回のスタジアム案は4つの候補が競ったコンペの中で採択された設計プラン。

 

当時のツイートにも残しているが外観の意匠性だけを見た時に、個人的評価では1番手ではなかったのが本音。

一方で、プレミアリーグMLSで見られるような選手入場口に位置するガラス張りのVIPゾーンや、安っぽさが漂うサンガスタジアムとは異なりラグジュアリー感のあるラウンジ、そして公園ゾーンとの繋がりを生かした諸機能の配置とトータルの満足感が高いプランであったことは記憶に新しい。明言はしていないが、あのロッカーとラウンジのパースでNo.2評価は与えていた。(サンガスタジアムはサンガの立ち位置が低すぎた故にVIPゾーン・ロッカー・ベンチが本場と比較してあまりにもチープすぎる)

 

以下、https://www.sanfrecce.co.jp/stadiumpark/gallery/ より引用。

(「The Tunnel Club」などで検索すると素敵な高級サービスが沢山出てくる)

 

 

サンガスタジアムと兄弟的存在になる訳だな〜〜〜

などと思いながら引き続き散策を進める。

 

地図上の数字順に見ていく。

 

 

①の場所から北向きに撮影したのが下の2枚。メインスタンド部分はまだ基礎工事中だった。

 

 

②の位置から西向きに。バックスタンド側は鉄筋が見えている。この状態から骨格が出来上がって行くのは驚くほど早い(経験上)。やはり上へ伸びていくのが楽しいので、広島サポはここから注視した方がいい。

 

③から西を向く。南北通路の真ん中の位置。

公園ゾーンが整備される東側(右側)はまだ工事関係者の駐車場として更地のままであった。



 

 

④は広島城天守閣から。

若干遠く、基町アパートが視界に被ってくるが、俯瞰で見ることができる。様々な場所から見学が可能なのは周囲に建物がない亀岡とは異なるところ。



 

なお⑤のパセーラ空中庭園からだと満足に確認できないので注意。



 

もし最も俯瞰で綺麗に見たければリーガロイヤルを利用するべきだろう。来年は泊まって見ようか…

 

 

 


稀に「理想のスタジアムは?」と聞かれる事があるが、「サッカーが見易い」のは前提条件であり当たり前の話。よって陸上トラックと屋根の有無なんて論点はそもそも争点ではない。そんな低次元の話はする意味がない。

 

優れた観戦機能に加え、収益性と公益性のベストミックスが図られて、地域の社会課題解決に資する持続可能なフットボールスタジアムこそが完全体。プラス意匠性などの個人のこだわりを加味して判別すべきだろう。

なので、理想的なスタジアムは増加しつつあるが、悲しいかな究極の理想形は未だ我が国に存在はしていないというのが正直なアンサーだと思う。

 

その点において、広島も決して完全無欠ではないが、国内随一の好立地にこのスペックで完成して順調に稼働すれば、長崎新スタジアム計画と並んで最も理想的なスタジアムとなるのは間違いない。

あとは建てる事が優先されて、何をテーマとするのかがややボケている(完全無欠と言えない部分。というかそもそも致命的では…)ので、広島市策定の基本計画では『地域活性化・にぎわいの創出の起爆剤』『地域の誇り・アイデンティティの醸成』と書かれているが、「基町エリアの活性化・イメージアップ」なのか「昼間人口の増加」なのか、定量・定性的な目標設定と達成状況のチェックは必須。どうなるか見てみたい。

 

 

なお、現在も広島市ではスタジアム建設に対するふるさと納税を活用した寄付を受け付けている。

まだの方は是非。