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〜曺貴裁京都の傲慢〜 【2023 J1】第16節 サンフレッチェ広島 vs 京都サンガF.C. @エディオンスタジアム

 

 

 

人は時に過ちを犯してしまう生き物。

 

失敗は誰にでもある。最も大切なのは、失敗した後のこと。

失敗した後に、リカバーができるのかどうか。苦境の時こそ、その人の真価が問われる。

 

その点で、今週の霜降り明星ANNは最高であった。

先輩芸人であるオリエンタルラジオ中田に対して思わずSNS上にて「うんこ」呼ばわりしたことをオープニングから完璧に笑いに昇華して、数週前の放送をも伏線として活用し、これ以上ないアンサーを突きつけた。"エンドレスポケひみ"と云い、腹を抱えて爆笑できて、かつ凄みすら感じる放送回はまさに完璧なリカバーと言える。

 

しかし、リカバーが上手くいかない時もある。そんな時はリカバーの仕方に問題があるか(=技術的要因)、そもそもリカバーに着手したつもりができていないのかもしれない。

そう、思い上がりのせいで。

 

 

 

J1リーグ戦5連敗中で、15節終了時点で既に10敗を喫する京都。ある意味で失敗続きと言えるチームが乗り込んだのは敵地広島。

入替戦を制してJ1昇格を果たした地でもあり、決して縁起が悪い場所ではないが中々どうして勝てないスタジアムの一つ。(その一つ一つの数が多いのだが)

 

なお中央公園内に建設中の新スタジアムが今年度中に竣工予定であり、ここエディオンスタジアムをホームとするのは今年で最後。新スタジアムについてはまた後日記述する。

 

昨年度のものはこちら。

 

勝利でサヨナラしたいところであるが、広島は京都とは正反対の考えのチーム。相性は当然よろしくない。はてさて。

 

 

 

勘違いを続ける京都

スターティングメンバーは前節から若干の変化あり。GK太田はそのまま。

DFは右から白井・アピ・井上・麻田の4バック。契約の問題でイヨハを、そして何故かここ2試合ベンチ外の佐藤を欠いており、やや苦心が見られる。中盤は前節の組み合わせから谷内田がOUTで、川﨑・平戸・福岡の3センター。

前線もややテコ入れで右から豊川・一美・松田。やたらと前線を入れ替えるのだが、これは目先のコンディションなのか、シーズンを通じての個々のコンディションを勘案してなのか、はたまた他に理由があるのかはわからない。ルヴァン杯ではスタメンだった木下が選外なのは正直謎。

 

試合が始まると、予想通り広島が優位に試合を進めていく。ボールを大事にゲームを掌握する広島と、奪ってロングカウンターへ出たい京都の構図になる。

 

スキッベ監督のチームは、ポジショナルプレーの概念が植え付けられている。

良い攻撃と良い守備が上手く循環しており、ロングカウンターも上手くてDF背後へのボールを使った攻撃も良く訓練されている。洗練された攻撃は京都の選手達の奔走を生み、ダメージを蓄積させていく。

 

一方の京都は、広島とは既述の通り正反対の考えを持つチームである。

戦術が選手を守らないチームであり、選手各々の裁量が大きい。

 

先日の浦和戦で「京都のプレスはカバーシャドウができていて洗練されている」という評価を目にした。が、これは表面的には当たっていても実態としては全く当てはまらなくなる。なぜなら繰り返しになるが、京都は選手各々の裁量が大きいチームであり、選手が変われば、ピッチ上の事象には大きな揺らぎが生まれるからである。

日替わり定食なので、あの時の京都はたまたま上手くいっていたかもしれないが、人が変われば現象は大きく変わる。つまり再現性に乏しい。また結果に上手く作用しているかどうかは別物である。よって京都というチームの継続的な評価そのものにはなり得ない

 

例えば、前半2:42〜 の松田の単騎プレスのシーン。川﨑からのロングボールが転々と流れて広島ボールになった瞬間に、住吉そしてGK大迫へとボールを追って走るのだが、このプレーにどれほどの意味があるかは疑問符がつく。

確かに、右サイドの住吉にリターンされないように、パスコースを切りながらプレスを掛けてはいる。そして大迫はプレスから逃げるように前方へのロングボールを選択しており、相手の選択肢を削っていたかもしれない。

更に、浦和戦と同様で、ロングボールを蹴らせてDFラインで回収できた処で、京都には後方から前線へボールをクリーンに運ぶ術が乏しい。よって攻守の循環が上手くいかず袋小路に詰まる。

何もGKまで果敢にプレスを掛けて穴を作ったり、後方で回収せずとも、奪い処と奪ってからの展開を共有し、チームとして連動したプレッシングを行う事でより高い位置でボールを奪取できれば、ショートカウンターの試行回数が増えて得点機会も増加するはずなのである。

 

しかし、京都はポジショナルプレーと対極にあるチームであり、サッカーの原理原則や物理法則に逆って「自分達のやりたい事」だけに焦点を置いている。そしてそのやりたい事とは、何故かGKにまで突撃する異様なハイプレッシングであり、その為に生まれたひずみを、これまた運動量と気力でカバーする。

その為、対人プレーでのファウルが非常に多く、"走らされる"シーンが増える事でプレーの精度はますます低下していく。ファウルが多くて試合が良く止まり、セットプレーやスローインは整備不足と疲れから時間をより多く掛けて消化する。結果、正味の試合時間(=アクチュアリープレーイングタイム)はJ1最短となる。自明の理。

 

ゲームに勝つためにプレーするのではなく、やりたい事を優先してプレーをしている。それが京都。

これまでに何度か触れているが、秩序のあるカオスという考えは頷けるものはある。しかしあまりにも相手の存在や競技の原理原則を軽視した「自分達のサッカー」では、戦力差のあるJ2では勝ててもJ1では勝てない。

いや、J2でも強固なゾーンディフェンスや戦力的に拮抗する相手には勝てなかった。

2021年、伊藤監督の甲府。松田監督の長崎。そしてジュビロ磐田相手に計6戦0勝だった事を忘れる読者など居ないはずだ。

 

 

 

技術の軽視

札幌戦の振り返りや、昨年の振り返りにて記述した様に、京都はボールテクニックを軽視する傾向もある。

基本的に、京都はパスミスを恐れずにシンプルに縦方向へ手数をかけない攻撃を志向している。その中で、「受け手の体勢に関係なく、ボールをより前方に位置する選手の足元へ付ける」と云う規則性・プレー原則が確認できる。パスを受けた人間は、反転してドリブルまたはパスを選択するか、視野に捉えている味方へポストプレーやフリックをする。状況によって選択肢は異なるが、「ダイレクトプレー」が選択される事が多い(その分、ミスも多い)。

彼のボールホルダーへの果敢なアタック、プレスバック、カバーリングは素晴らしい。でもサッカーとはそういうスポーツか? 彼はアタッカーなのにゴールに背を向けた状態でボールを受けてしまう。受けてから前を向く。相手DFにとっては好都合だ

 

例えば前半9:54〜のシーン。自陣スローインからの流れで、テンポ良く当てて落とすが連続するが、ゴールに背を向けた状態の豊川が死角から入ってきた広島DFにパスカットされ、プレスバック時にファウルを犯しFKを与えた。この様なプレーは日常的に散見されるものであり、日々のトレーニングで「ボールを受ける為の良いポジショニング」に対する意識付けが弱いから起こるものであろう。

京都のトレーニングは、シーズン振り返りで語ったようないくつかの規則性や、「速いパス」「速いパスを収める又は叩く」「攻守の切替」「肉体的負荷のかかった中でのプレー」「スピードに乗った状態でのサイド攻撃」への意識は強く見られる。一方で、ポジション取りやコントロールオリエンタード的な要素は優先順位が低くなっている可能性がある。

 

 

 

また、今季初めて左CBに入った井上(右利き)のプレーも同様で、彼は右から来たボールを左足でトラップする度に自身のプレー選択肢を狭める角度・位置にボールと身体を置いてしまったので、広島の選手達からすれば次に起こり得る展開の選択肢が絞れて楽だった事だろう。

逆足でのプレーが不得手かつ不慣れなポジションで苦労したのは良くわかる。しかし、「成長」とはこうしたできない事や苦手な事をよりできる様に伸ばしてあげることである。

 

この現象自体は昨年の浦和戦(A)でも起きていたし、登場人物は異なるが開幕戦の福田と麻田が絡んだ2失点目も記憶に新しいところである。

 

 

選手の技量が未熟故ではあるが、それを指導し改善するのがコーチングスタッフの仕事。

異なる登場人物がそれぞれ同じような失敗を犯すのは偶然ではなく、日頃のトレーニングになんらかの問題点があると考えるのが自然ではないだろうか。

 

 

 

喉元過ぎれば

試合に戻る。豊川のファインゴールで追い付いた直後、セルフジャッジでプレーを止めて決勝点を献上。

この2失点目については、広島の選手のハンドか否かを主審にアピールする前に、まずプレーを続けなければならなかった。間違いなく。

 

この一連の流れに対してのコメントを含め、監督のコメントをチェックする。

ちょうど同じ時季だったと思うのですが、昨シーズンここに来た時に、スコアは1-3でしたが何もできない時間が90分続きました。今回も同じ1-3でしたが、今日の手応えと1年前の手応えは私の中ではまったく違います。1点先に取られた以外はほとんど相手にチャンスを与えず、その後も諦めずに1点を取り返すまでは、自分たちに勢いもあり、自分たちのサッカーができていました。2失点目を先ほど皆で振り返りましたが、技術や戦術ではなく、本当に自分たちは京都サンガF.C.としてJ1で勝っていくんだという気概と責任と自分に対する野心などすべてが揃っていれば、あのような練習でも起きたことがない失点は防げたと思います。相手のスローインになって各選手の集中力が途切れ、逆サイドのマークが遅れてしまいました。そのようにこれまで一度もなかったことが起こったということは、気の緩みと言われても仕方ありませんが、それを気の緩みだけで済ませてはいけないと思っています。いつまでも自分たちはJ2から昇格したチームで、「なんとかなるだろう、誰かがなんとかしてくれる。」というような気持ちが、もしかしたら他のチームより強いのかもしれません。この6試合の中でも内容的な進歩は私自身は感じているので、そこをなんとか勝ちに結びつけていくため、選手自身があと1段、2段、全体的にステップアップしてくれないとサンガの未来はないと思います。この試合で落ち込んで下を向いてしまうというより、選手と一緒に向き合って改善していこうという気持ちでいます。今日の試合は悪いところばかりでなく、むしろ良いところも出た試合だっただけに悔しく、残念に思います。

 

 

試合後の監督コメントほど当てにならないものはない。バカ正直に1から10まで真意を語る監督はまず居ない。居るとすれば余程の名監督か、愚将か。

だからピッチ内で起きている事象との照らし合わせで考えるべきなのだが、京都の場合はコメント内での不明瞭な部分と、ピッチ内での問題事象が残念ながらリンクしてしまっている。

 

 

ついぞ先日の鳥栖戦でも、

選手たちには「小野裕二選手が決めたようなシュートは練習でも練習試合でも見たことがない」と言いました。ああいう失点があったということは、そこに間違いなく気の緩みがあったと言われても仕方がありません。その後、自分たちがもう1点取るために何をしなければならないかを共有しているつもりなのですが、あまりにもノーピンチで自分たちのやりたいことができて点が入ったことで、少し安心してしまったような状態でした。自分たちで解決すべき問題が原因で取られた3失点だと思っています。

と語ったにも関わらず(この時点で意味不明だったが)、さも広島戦の2失点で初めて出会った様な語り口調なのは、只の強がりやチームを前向きに引っ張る為のマネジメント手段ではないだろう。はたまた記憶が飛んだわけでもなかろう。これは明らかに思い上がりである。

 

何度も同じ失敗を繰り返している事にいい加減疑問を持つべきである。しかし、いつまでもいつまでも実態のない「成長」とやらを主張し、これまた抽象的な「地力」の無さを問題に挙げる監督。

 

 

なぜこんな失点が起きるのか。

それは規律が乏しい故にピッチ上で個人がその場その場の対応を迫られる上に、運動量が要求される為肉体的な負担も大きく、かつ戦術面の歪みも運動量でカバーしなければならないチームとしての「成長のなさ」も要因の1つと考えられるだろう。

 

広島相手に開始早々からボールを握られ続け、観ていて熱中症になりそうな強烈な日差しと高い気温・湿度の中で終始走り続けた選手たちが、あの場面で思わず足が止まってしまった事は同情に値する。普段ファウルやセットプレーで騙し騙し休んでるチームなんだから、本能的にファウルアピールして楽な方向へ逃げるのは自然な成り行き。

プロとしてやり続けなければならなかった。甘かった。それは事実。だが、彼らは人間であり、プレーをする上で授けられるべき知恵がこの京都ではあまりにも少なすぎる。

実際にプレーするのは選手たちだが、監督以下コーチングスタッフはあらゆる面において職責を全うできていないと言わざるを得ない。

 

 

 

繰り返される空虚な「成長」。

しかしながら京都新聞には好意的な記事しか並ばず、かつての様な切れ味はない。

 

果たして権限が彼にあるのかどうかすら不明だが、安藤強化部長"代理"をはじめとする強化編成側が何を考えて、どう行動しているのかも未だにわからない。

選手引退から2年と少し。そして強化部長"代理"に就任して1年も経っていない彼にそもそも良い仕事を期待する方がおかしい。

 

そして私はブーイングを促進させたいつもりは一切ない。しかし、監督に謎の理論を振りかざされた事で自由に意思表示することすらなんだか抑制されたサポーター。

 

 

先日「負の連帯感」と書いたのはチームだけの話ではない。

ステークホルダーを含めて物言えぬ環境と、自分自身の指導はアップデートさせない傲慢さに、気味の悪さを強く感じる。ここは戦時中の大日本帝国か。布部・小島政権と何ら変わりないではないか。

 

 

Jリーグは不真面目なクラブが多すぎる。せめて我がクラブだけは、「真摯」に向き合い続けて欲しい。そう願ったが。。やはり改善はされない。不真面目である。

 

 

傲慢さとサヨナラして、健全な成長へ繋げるか。それとも曺貴裁監督とサヨナラするか。

どちらかが達成できなければ京都がJ1リーグからサヨナラを告げられることだろう。

って全く同じ事を昨年末に書いて、未だ直ってない時点で如何にこのクラブに「成長」が無いかがよくわかる。

 

 

 

最後に。

せいやがつい怒ってしまったのも理解できる程、オリラジ中田の発言内容や発言方法は正しくなかったと思う。というか普段からYoutubeチャンネルが好きではない。

しかし天下の松本人志にすら噛み付く彼の姿勢は、京都が今最も見習うべきものだろう。

 

そして自分自身にベクトルを向けられない指揮官が、パワハラのレッテルを剥がす完璧なリカバーを遂行できるはずがない。

 

 

See you soon…!