+1 プラスワン

-オーナーシップ-【2024J1】第24節 ジュビロ磐田-京都サンガF.C.

 

殊勲の逆転勝利

 

 

 

まず語るべきは、加入後初先発となった米本拓司のパフォーマンスだろう。

持ち場や見ておくべきを選手を放棄して、意味不明なプレス…というより自傷行為に走ることの多い曺貴裁京都。しかしながら、米本はその様な無謀な振る舞いは見せずに、より優先すべきエリア・コースを切りつつ、自身が担当すべきボールホルダーへ圧を掛ける。

 

「圧を掛ける」というのが重要で、京都はボールを奪う為のプレッシングを強調しすぎて勢いだけで突っ込む愚かなプレーが多い。故に簡単なワンツーで剥がされて置き去りにされたり、危険なレイトタックル含めファウルが増える。犬じゃないんだから。

その点、米本は人だった。巧みに相手へ迫り、奪える間合いで狩りに行く。さすがはリーグ屈指のボールハンターであり、その道で生きてきた高い技術と、矜持と、自分の持ち場で相手に好きにさせないという強烈なオーナーシップを見せてもらった。

あれだけでチケット代の値打ちが有ったと思う。彼のプレーはチケットを買う価値がある。まさしくプロだ。

 

 

で、オーナーシップと言えばTwitterでは何度か触れている宮本である。福田が怪我で不在なこともあり、本職の右SBに入ったが……この日は、はっきり言って好きな振る舞いではなかった。

極端な話、京都のSBは守備の能力よりも単騎突破できる能力が求められる。宮本は福田と比べるとスピードや馬力の要素では見劣りしており、単純かつ強引な縦への突破で対面をちぎれるほどの突破力は無い。それ自体は仕方がない。

ただ、CB起用時にも再三見せてきたフリーダムな動きが目立ち過ぎた。流石にこの日も左のハーフレーンまで出てきた時はビックリしたが、ちょっとどうなんだ。収支がプラスに転じるとは思えない。

 

しかし、背景には「選手任せすぎる」曺貴裁監督のやり方があり、それ故のフリーダムなので宮本だけを責めることはできない。

組織として全体最適かどうか?適切なリスクコントロールを放棄し続けている監督たちコーチングスタッフの責任であり、結局米本の起用でプレッシングが改善されるのも「選手任せ」だからなのである。

 

 

 

最後に。

オーナーシップという観点で見た時に、試合中に凄く違和感を覚えていた。

 

湘南・福岡と、先制する展開が続いていたからこそ隠せていたが、この日は先制を許して後半を迎えた訳である。負けている以上、更に盛り返さないといけない中で、なしてトーンダウンしてしまうのか?

 

勿論、終盤になるにつれ体力的にはしんどい。この日のヤマハも暑く、屋根はないものの湿気もこもり、汗も止まらない。席の前後の間隔は狭く、飛び跳ねるのも苦労する。

だからこその手拍子の意識付けであり、声量だろう。

 

スコアを動かせるのはピッチに立つ選手であり、監督でもサポーターでもない。サポーターは勝敗に対して直接的に作用することはできない。

 

でも、やるのである。

 

ましてや磐田戦が終わればリーグ戦は中断する。2週間休めるのに、残り20分〜30分出し惜しんでどうする?ファン感で勝ち点は積めんぞ?倒れるくらい出し尽くせよ

と、思いながら発破かけたら、オウンゴールからのラファエルよ。ほら見てみい。言うたやろ。

「自分が勝たせる」という強い気持ちでやるからこうなる。あのオウンゴールは俺のゴールよ。

 

良い時だけワーワー言うて、勝って最後に飛び跳ねて、そんな美味しいとこどりしてもつまらない。遮二無二働いた後のビールが旨い様に、泥水啜りながらやってやってやり続けて得られるからこそ甘美なのである。

 

 

 

 

まあ、半分本気、半分ジョーク。

良くも悪くもゴールへ一直線に原の抜け出せるボールを蹴った金子と、平時よりスピードに陰りを見せつつも最後までスプリントし続けた原の頑張りが、あのオウンゴールを呼び込んでくれた。

そして1つのゴールで生まれた両者のテンションの差が、金子・平戸・原の技術によって昇華されて、マルコ→ラファエルの見事なホットライン開通に行き着いた。

 

 

 

本当に、選手は無茶なオーダーの中で良くやってくれていると思う。ベンチは嫌いだが、選手達の頑張りには応えてやりたい。一時の空中分解から立て直し、そう思わせるだけの凄まじいパフォーマンスを見せてくれている。

 

ならば今よりもっとサポーターが応えてやるべきではないか。期待を込めて言う。己を含めた全員が更にできるはずである。

知性を保ちながら勘違いするのが、生き方というものであろう。

 

 

See you soon…!