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辿り着いて、辿り着けず。【2024高円宮プレミアPO】浦和ユース vs 京都サンガU-18

 

現実は残酷である。プレミアリーグプレーオフ決勝に3年連続で駒を進めた京都だが、またも敗戦を喫して昇格とはならなかった。試合後のピッチからは、歓喜の声ではなく嗚咽が漏れ聞こえてきた。

 

浦和レッズユース 1-1(PK4-3)京都サンガU-18

 

 

ベガルタ仙台ユースを下した京都は、決勝で関東地区第3代表の浦和ユースと対戦。勝てば4年ぶりのプレミアリーグ復帰となる。

 

 

前半早々から風上の浦和優勢で試合は進む。京都はビルドアップがまたもできない。

U-15も、U-18も、トップチームも、残念ながら能動的にDFラインから前線へボールを繋ぐことができないのが悲しいかな京都サンガである。理解ができないのだが、相手の2トップに対してろくずっぽボールを前進させられない時が多々ある。4-4-2で(相対的に)ソリッドに守られると、途端に何もできなくなってしまう。これは昨年の東海大仰星戦やPO決勝:岡山ユース戦や、今年の阪南大高戦やガンバ大阪ユース戦でも、あるいは他の勝利した試合含めて常に付き纏ってきた問題である。

(なぜ育成に力を入れているはずのJクラブの育成組織で、10年間ずっと同じ問題が起こり続けているのだろうか?と首を捻らざるを得ないのだが…クラブ首脳陣は1mmも疑問に思わないのだろう)

 

この試合も後ろに数をかけなくて良いのに重たくなり、なのにピーキーなパス回しから浦和の選手にボールを引っ掛けてしまいリズムが生まれない。浦和は俄然元気が出る。浦和の時間帯が続いてしまう。

 

17分、浦和CKの流れから二次攻撃。ヘディングで合わせられて失点。

失点後もバタつく京都。ビルドアップで奪われてあわやのシーンは、GK本多が何とかセーブ。高いDFライン裏へのロングボールを駆使し、立川と西岡を走らせて個人技主体でチャンスも作る事で徐々に落ち着きを取り戻す。

しかしながら根本的な問題は改善できずに前半終了。このまま2点目を奪われると万事休す。

 

 

しかし、後半に入って京都の選手たちが急変する。

ポジショニングが改善されて、SBが相手のSHより前方でボールを受ける様に。特に左サイドの小林-酒井の関係が改善されたことは非常に大きかった。そこに立川や中盤の尹星俊と昌山が絡み、大きく空いた右サイドへ展開する事で左右両サイドで攻撃機会が作れるようになる。

ビルドアップは得点を取る為に機能していなければならない。「擬似カウンター」なんて言葉もあるが、無理に引きつけ過ぎたりして苦しくなり、相手にチャンスをプレゼントするくらいならセーフティにまずは相手の陣地へボールを運ぶことを優先すれば良い。決め打ちの得点チャンスを作りたいが為に、失点のリスクだけを高めていては勝利は遠のく。相手陣地へ運んで息ができるようになれば、自ずとゲームは落ち着くのだから。

 

相手を見て、運べる場面ではドリブルで運ぶ。叩く場面はシンプルに叩く。足元だけでなく裏のスペースへのボールも使う。京都が相手と味方の状況を良く見てプレーできるようになると、浦和は後手後手の対応を迫られる。

 

しかし、ここで次の壁が立ちはだかる。相手陣地奥深くで守備ブロックを崩すことほど、サッカーで難しいことはない。運べる様になったからこそ出てくる課題。京都はゲームを掌握しながらも、シュートまで辿りつけないやきもきした展開が続く。

それでも焦れることなく、尹星俊とCBの神田・三宮中心にボールを回収し浦和の攻撃機会の芽を摘み、再度ゴールへ迫っていく。前線の選手たちも、奪われた途端にプレッシングあるいは自陣へ素早く戻る。サイドの柴田・小林・松本(悠)・酒井は上下動で体力的にも厳しいが、対面の相手に負けない。

 

不用意なプレッシングやパスは鳴りをひそめ、適切な距離間と角度で互いにサポートし合う京都。まさに1人は皆の為に、皆は1人の為に。これこそがチームスポーツであり、これこそがサッカーである。

怪我人多数で助け合ったという加点要素のあった仰星戦の時と違い、プレーのクオリティ自体がより洗練されていた。町田や神戸の様な只単に武骨なサッカーではなく、しっかりとパスを繋ぎ合いながら美しく闘っている。まさかここで今季の京都サンガの試合(全カテゴリの中で)最も素晴らしく美しいサッカーを見せてくれるとは。

 

徐々に、徐々に得点へ迫っていく京都。

 

何度も何度も跳ね返されるが、後半32分にスコアが動く。

丁寧に丁寧に繋いで、最後はPA右方の西岡の足元へ。難しいGKとの1vs1をねじ込みきって同点!!

 

こうなると完全に京都モードのゲーム。

すると後半38分、京都ボールのスローインで再開する前のアウトオブプレー中に、浦和15番が酒井の胸を両手で突き飛ばし故意に転倒させる。一発退場モノの悪質なプレーだが、主審と副審はスローインへ向けて目を切っており、逆サイド(メイン側)の副審と第四審からもレコメンドなし。警告すらなく再開。

結果論、負け惜しみとも言えるが、この時にきちんとレッドカードが提示されていれば最終スコアは変わっていたかもしれない。その点で受け入れ難いものはある。

なお、サポーターに落ち着いてとなだめる京都の立川と、まずは15番を諫めた後にこちらへ頭を下げて来た浦和の主将:阿部慎太朗の振る舞いは見事であった。ゲームに集中できている。

 

そのまま攻め続けるも後半終了の笛。10分ハーフの延長戦へと突入。

 

 

後半途中から次々交代カードを切る浦和に対し、京都はスタートから変わらないメンバーで延長戦も戦うが、明らかに運動量でも勝っていた。ブレイク明け以降も流れを引き離さず、浦和ゴールへ迫る。

 

延長後半4分、左サイド酒井の切り込みからのシュートはポスト直撃。続く後半6分、CKから神田のヘディングはこれまたポスト直撃。もう1点が中々入らない。

 

 

スコアは動かずPK方式の決定戦(PK戦)へ。先攻は浦和。

互いに2人ずつ決めて、浦和3人目のキックは左ポストに弾かれ失敗。対する京都3人目酒井のシュートは浦和GKがセーブ。

互いに4人目は成功し、迎えた5人目。浦和は成功し、京都は三宮のシュートがゴール右上に外れて4-3。浦和ユースがプレミアリーグ復帰を決めた瞬間であった。

 

 

PK戦で敗れた事は事実だが、完全に京都が支配したゲームになっていただけに、PK戦に至るまでに追加点を取れなかった事を悔やむべきだろう。最後のキッカーとなってしまった三宮や、GK本多は泣き崩れていたが、1人の責任ではない。サッカーはチームスポーツなので。

 

 

その点で、本当に後半からは素晴らしいゲームだった。よくぞこの境地に辿り着いた。ゾーンとでも言うべきか。

あれこそがサッカーであり、ヒリヒリしながらも皆も楽しんでプレーできていたのではないだろうか?簡単に長いボールを蹴ってしまったりしなくても、攻守共に落ち着いて相手を良く見てプレーを選択できれば、サッカーは楽しく美しいのだよ。あれだけ素晴らしいゲームができるんだこのチームは。(そしてだからこそ、"トップチームのあの醜悪たる球蹴り"も改めて、このクラブのサッカーをもっと高い次元に引っ張り上げ続けないといけない)

そこからの最後の崩しの部分は、これを練習含め通年で高い次元でやり続ける事で磨かれるものだし、プレミアリーグ昇格を実現するにはやはり長年の根本的な課題をクリアせねばならんと言う事なんでしょう。

 

負けて終わって、涙して去る風景が3年連続してしまっている事はとても残念。だが、本当に素晴らしいサッカーだった。今季の京都サンガで最も美しいゴールだった。

1〜2年生はどうかあのサッカーを忘れず、スタンダードにしてこれからの日々を有意義に過ごして欲しい。3年生は怪我等もありメンバーから漏れた選手を含め、あんな素晴らしいサッカーができるチームを作り上げた事を誇りに、これからの新しい道で頑張って欲しい。

 

 

素晴らしいサッカーだっただけに、勝たせてあげたかった。悔しい。