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【2023高円宮プリンス関西】14節 興国高校 vs 京都サンガU-18@J-GREEN堺

 

高円宮U-18プリンスリーグ関西 第14節

興国高校 1-3 京都サンガU-18 @J-GREEN堺 S3コート

【得点者】(京都のみ)

5'三宮 60'兎澤 69'熊谷

【U-18】「高円宮杯 JFA U-18 サッカープリンスリーグ 2023 関西1部 第14節」試合結果のお知らせ | 京都サンガF.C.|オフィシャルサイト

 

 

 

天候に関係なく急遽延期となった2試合の内の1試合。会場も万博からJグリーンへ変更に。京都はリーグ戦再開以降4試合連続で先制点を献上しており、戦績も1勝2分1敗と調子が上がらない。なんとか1か月ぶりの勝利を手にしたい処である。

 

順延によって国体期間と被ってしまい、尹星俊や立川ら16歳以下の国体選出メンバーが不在。その為、メンバー構成に大きく変化が見られ、ベンチにはU-15所属の中学3年生が3名(山本琉惺・山本怜央・古田快斗)エントリー。

スタートポジションもいつもの4-1-2-3ではなく、ノーマルな4-4-2で臨む。GK三反畑。DF右から三宮・神田・喜多・飯田。ここまではいつもの並び。2列目サイドハーフに右の兎澤と左に吉田で逆足配置。ドイスボランチは1列下がった安藤と住のコンビ。2トップは熊谷と2年生西岡の組み合わせとなった。

 

 

試合開始。4-4-2がどう転ぶかと思っていた矢先、5分に左SB飯田のクロスを受けた右SB三宮が冷静にゴールネットを揺らし5試合ぶりの先制!

喜多がしっかり拾った事でカウンターを防ぎ、二次攻撃できたことで前残り状態の三宮がファーで浮いた。良い得点。

 

アシストを記録した飯田陸斗(3年)

 

 

しかし、その後は興国のボール保持を前に幾度とピンチを迎える京都。興国の選手達の方がボールを持っていて焦りもなく、対面の相手を見ながら運ぶ・かわす・キャンセルボタンを押すことができる。

一方の京都は4-4-2の基本布陣ながら、いつものプレッシング志向・人を基準とした守備は変わらない。

その為、2トップ・両SH・安藤がプレッシングに出て捕まえきれずにむしろ相手の前進を促進してしまう。あるいは相手のビルドアップ時にSHがワイドに張った相手選手を気にして外を切る動きを見せるのだが、横圧縮が足りないので中央を使われてしまう。

自陣ディフェンシブサードにまで押し下げられ、PA内でキックフェイントで交わされることも多々…それでも最後まで身体を張った守備と、三反畑のファインセーブ(何とか触れたシュートがクロスバー直撃でCKに逃れる事も)で凌ぎ続ける。

 

ゴールキックからのビルドアップがことごとく通用していなかったのも痛かった。SBに出た処で狙いどころにされて詰まる。また内→外→内と中央のボランチに戻した際に狙われてピンチを招く。所謂引きつけるプレーとパススピード、出口の設計、危険な時に飛ばしてしまって回避する判断…いずれも京都は不足していた。

逆に、無鉄砲なプレスは避けて、パスが出た後にホルダーへ鋭く寄せる事で京都の混乱を生んでいた興国イレブンのプレスの質と判断は賞賛に値するだろう。

 

今年度途中より興国高校を率いる六車拓也監督(2003-2005京都所属)

 

 

なんとか凌ぎ続けていたが、前半41分に興国・直接FKを三反畑が横っ飛びでセーブしたこぼれ球を詰められて失点。1-1で前半を終える。

 

後半も前半ほどではないにせよ、興国ゴールへと迫るシーンを作り出せない。そんな中でも三宮・飯田の両SBが守備時のマッチアップでほぼ全勝。安藤と住の2ボランチも奮闘を見せ、後ろの踏ん張りでゲームを作る。両CBとGKも我慢を続け失点を許さない。持ち堪えることは大事。

 

難しい展開の中、後半15分、相手の攻撃を凌いだ処からカウンター。中盤で安藤が長めに運んで相手PAへ迫ると、中央から右方で浮いている兎澤へとパス。受けた兎澤はファーサイドへ利き足の左足で巻いてゴール!京都が勝ち越しに成功する。

 

 

この2点目のちょっと前から興国がややトーンダウン。京都も慣れない4-4-2と人に食いついてしまう守備+上下動の多さで疲労が蓄積している。こうなると勢いのある方が有利。

後半24分、再びアタッキングサード中央で安藤がゆっくり運ぶ。左の吉田に散らして、吉田は何度か見せてきたカットインではなく縦へ勝負を選択。抉りすぎずにクロスをあげるとボールはシュート気味にゴールマウスへ。興国GKがニアサイドでなんとか弾いたボールは後方へ反れていく。熊谷が相手DFと競り合いながら先にヘディングでプッシュし追加点!これで安全圏か。

 

その後は脚を攣って交代した西岡をはじめ、三宮・安藤・熊谷・住と多くの選手が足を攣る素振りを見せ、文字通り全てを出し尽くす死闘っぷり。興国も同様で疲労の蓄積が見られ、それ故に互いにオープン気味になり、単純な個人突破で何度か決定機を迎えるも、疲労でフィニッシュの質が伴わない。

 

京都は、トップチームもユースも、ボールを前へ前へ運ぶあまり、ボールが選手を追い越していくので、どんどんとボールに関与できる自チームの選手の数が減っていく。

なので前線の選手が単騎突破で運ぶ(例:豊川のドリブル)か、ポストプレーで時間を作って走力で追い越さないと攻撃の厚みが生まれない。ユースでも起点役に使われがちな熊谷と兎澤のポストプレー・単騎突破は素晴らしいものがあるが、もっと得点を奪う為のフリーランにパワーを注げる様にしてあげれば…単に前に送る・当てるのはピンボール。ではなくて、レンジをできるだけ保ったまま全体で押し上げなければ。

 

 

だから前線の選手は得点を獲る仕事以外に非常に体力を含めリソースを割かれるし、選手間の距離が空くから奪われた後の即時奪回が難しい⇒相手のカウンターを誘発しやすい⇒全体的に縦に激しく上下動する展開となり、無駄な運動量が増える⇒疲労でプレーの質が落ちやすくなる。仕組み上自ずと得点数も伸びない。

この問題点はこのクラブがここ数年志向しており、かつ何もかも盲目的に肯定されているサッカースタイルの最大の癌である。(「同じ列車ではなく同じ車両で旅をする」とは言い得て妙だ。)

それ故に、1点目の連続攻撃による厚みのあるチャンスクリエイト。また、2点目・3点目共に安藤がボールを自分で運んで相手を釘指しながらゴール前に押し上げていけたプレーは本当に素晴らしかった。

 

 

話を戻す。後半44分、京都は中学3年生のボランチ・山本琉惺(京都サンガU-15)を投入。プリンスリーグデビューを飾る。

 

先日観戦した際には名前を明記しなかったが、代表選出歴もあるだけに明らかに「持て余していた」選手。技術云々以前に、公称175cm70kgとがっしりした体つきで、サンライズリーグではフィジカルで勝ててしまう。相手選手との差の度合いで言えば、福岡や江川よりも大きかった。なので飛び級で公式戦に絡んだ事は、意識の面で良い影響があるのではないかと思う。惜しいミドルシュートも1本有った(GKにセーブされCKに)。

 

サンガでは珍しい京都市内出身選手で、小1からサンガのスクールに通う生粋の経歴を持つだけに今後ますますの成長に期待したい。しかし、水本が移籍してくる1週間前に生まれてるんだなあ。笑

京都サンガF.C.U-15所属、山本琉惺選手『U-15日本代表』メンバー選出のお知らせ | 京都サンガF.C.|オフィシャルサイト

 

 

試合はこのまま3-1で京都が逃げ切りに成功。前半は特に苦しんだが、1人1人が勝利に飢えたハイパフォーマンスで全力を出し切った。1か月ぶりの勝利で、1試合未消化ながら暫定首位に浮上!

 

 

ボールフィーリングと相手の矢印を折るプレーに長けた興国のサッカーの方が、Jリーグクラブのアカデミーらしかった。

しかしながら、本当に全員が全力を出し切って、勝ち点3をもぎ取ったのは大きい。

 

次の試合はガンバ大阪ユースとの関西Jクラブ勢対決。

湘南戦が行われる10月14日、サンガタウンにて10時試合開始である。



 

 

See you soon…!