+1 プラスワン

京都スタジアム(仮)計画へ反対する為に嘘をつく共産党京都府議団

 

第2弾といえばよいでしょうか。

以前に京都スタジアムについて書きましたが、今回も京都スタジアム(仮)について。

 

以前の記事はこちらです。あらかじめこの記事に目を通して戴いてから本記事を読んでいただくとより理解が深まると思います。

 

※以下、紫字の部分はリンクが貼ってあります

今回のテーマ

そもそも『京都スタジアム計画』とは、1995年から検討され続けてきた"府内に球技専用スタジアムを整備する計画"のこと。

数えること22年。幾度もの頓挫を経ながら(後述)、2011年に『京都・サッカースタジアムを推進する会』が提出した47万9601筆もの署名*1、同じく2011年に京都府の『京都府におけるスポーツ施設のあり方懇話会』内で取りまとめられた提言*2基に現行の計画が進められ、遂に実施設計完了寸前というところまで来ました。

 

一方、この計画に対して反対の立場を貫くのが共産党府議団です。

 

別に反対する事自体では悪い事ではありませんので、その点に関してはなんとも思わないのですが、、

これまで散々嘘の情報を流して世論を誘導しようとし、また新たにこのようなサイトを活用し、反対運動を超えて妨害運動の域に達していると感じる場面が多々あります

そこで、このサイトで挙げられている事項について正しい情報を説明していき、この記事を契機に京都スタジアム計画を正しく認知していただけると幸いです。

f:id:naoki_ks13_7:20170810151924p:plain

 

 

「3つの問題がある」と主張する共産党

f:id:naoki_ks13_7:20170810152220p:plain

共産党府議団は、現行の亀岡に球技専用スタジアムを建設しようとする『京都スタジアム(仮)計画』について『水害対策』『税金負担』『アユモドキ』の3つの観点から問題があると主張しています。

 

 

 

水害対策

まず1点目は『水害対策』

建設地周辺は駅の真裏にも関わらず、ずっと一面に民間人所有の田んぼが広がっていました。(※なおこの土地に関する私見は後述します)

共産党府議団は2013年の台風による洪水*3などとも絡め、「元々建設地周辺は遊水地であり、これまで同様に開発はせず遊水地として置いておくべき」と主張しています。

f:id:naoki_ks13_7:20170810193104j:plain

亀岡駅より建設地を望む

 

f:id:naoki_ks13_7:20170810193113j:plain

公道より旧建設地を望む

 

f:id:naoki_ks13_7:20170810193122j:plain

 立て看板

f:id:naoki_ks13_7:20170810153055j:plain

 

しかし、浸水しない程度の洪水被害地帯で、治水上問題がない事を確認されながら整備されてきた区画整理事業地に予定地が変更されたことによって、遊水機能の低下を避けることができたほか(黒丸=旧予定地,青丸=新予定地)

f:id:naoki_ks13_7:20170810154712p:plain

 一級河川桂川(亀岡工区)広域河川改修事業による周辺一帯の改修、下流側に位置する嵐山周辺の治水計画も進められています。

また、これらと併せて、「桂川の高水敷掘削土約34万㎥のうち約30万㎥を盛土に流用することにより、平成25年台風18号の浸水位以上の高さまで造成を行い洪水に対する安全性を確保するとともに、洪水の貯留機能を河川内に確保することで、治水への影響を軽減・緩和」するようしています。

f:id:naoki_ks13_7:20170810171123p:plain

 

残念ながら門外漢ですので、この水害対策に関して確証を持って結論づける事はできません。(※私個人としてはなんら問題ないと思います。認知バイアスかもしれませんが)

しかし、これら現行の治水対策について一切触れることなく世論を誘導せんとする行為はいかがなものでしょうか?

「安全だが安心ではない」のような不安を不必要に駆り立てて世論を誘導する行為ではなく、エビデンスに基づいた議論こそが市民・府民の為になるのではないでしょうか?

f:id:naoki_ks13_7:20170810163409p:plain

 

 

 

天然記念物アユモドキの保護

2点目に『アユモドキ』について。アユモドキは鮎ではなくドジョウの仲間で、国の天然記念物や絶滅危惧種として指定されている淡水魚です。

現在日本にあるアユモドキの生息域は岡山と亀岡のみであり、スタジアムが持ち上がる以前から地元住民や行政による保護が行われてきました。

 

決して「清流でないと住めない」とかではなく、「台風時の洪水などで一時的にできた水たまりで産卵をする」という我々人間からすると非常に謎めいた繁殖条件が必要な魚で、また密漁や外来魚等による捕食も相まって数を減らし、現在に至ります

 

前述した通り、建設地周辺は"田んぼが広がる上に保津川(桂川)が台風で氾濫した際に水が溜まる場所"となっている事から、アユモドキが生息できる場所となっているのです。

 

こうした状況を踏まえて、予防原則が必要だと共産党府議団は訴えています。また共産党府議団のみならず、様々な環境保護団体などが計画の凍結などを訴えてきました。

f:id:naoki_ks13_7:20170810200906p:plain

 

この主張自体は決して突飛でもなく、至極正論であると私は思います。

 

しかし、この亀岡市議さんのブログ記事を読んでわかる通り、地元住民に犠牲を強いてアユモドキを保護するやり方は限界に来ていました。

亀岡のアユモドキについて

駅から3分のこの場所はこれからの保津町のまちづくりとしての夢を持っていただけに、天然記念物か何か知らないが、たかが魚であるアユモドキのためにまちづくりをしょうとする我々の構想に水を差され、制限を加えられることを恐れて協力できないと当初はお断りした経緯がある。

地権者の多くが後継者不足と機械が動く間だけとか、自分の体が動く間だけは農業できるが、今後の農業については難しいという回答

地元はアユモドキとまちづくりが共生するための保全というなら考えてもよいが、アユモドキだけを守れ、というのは完全にお断り

亀岡のアユモドキが産卵する近くにスタジアムが決定されてから、急に学者らが反対の声をあげてきた。今までたくさんの地域で絶滅してきたのに何も言わず、なぜ亀岡に今その責任を押し付けるのか、というのが地元の声である。学者ら反対しているもので守れるこのなら守ってくれたらよい。地元はいつでも手をひく

各地で絶滅しているにも関わらず、何の手立てもすることなく、今となって亀岡にだけその責任を負わせるということはおかしいではないか。それとアユモドキも守れなかったら文化レベルが低いとまで言い切った。これに地元は大変な怒りを持って抗議した。地元は怒っている。どうぞ反対されているあなた方で守ってください

予防原則を守って保護しなければならない」。しかし田んぼを維持していく事は難しく、「スタジアム建設と併せたプロジェクトとして税金を引っ張って積極的保護策に出ないと限界は近い」という、綱渡り状態に陥っている事を認識しなければなりません。

種の保存法などの観点から言ってアユモドキを保護する必要性、努力義務はある。その努力義務において攻めの保全に出たのが京都府亀岡市・地元住民という訳です。

 

このやり方に反対の声が上がるのは決しておかしな事ではなく、予防原則から外れている事からリスクの高い手法であるには間違いありません。

 

ただ、①スタジアム計画によってアユモドキの調査が進み謎に満ちた生態が明らかになりつつある事。②保全に向けて官が積極的に環境を整えようとしている事。③スタジアム建設地を専門家会議の提言に従って生息地から変更した事。④専門家会議等での了承を得てからでなければ着工できない事を無視しているのはいかがなものでしょうか?

「拙速だ」と声を上げる建設的な活動とアンフェアな多数派工作、この2つは別物でしょう。

それから、「何がなんでも工事着工という姿勢」という主張。第三者委員会開催のスピードや、保護の確証を得られたとは100%言い切れない(100%言い切れる日なんてこないでようけど…)中で予算を計上する事に対する批判精神の現れなのかなと思いますが、元々スタジアム整備は府知事・亀岡市長両者の掲げる公約であり、旧予定地の建設に関する予算案も一度府議会で賛成多数で可決されています。必要なステップを踏みつつもこれまでの遅れを取り戻すスピーディーな対応とも言えます。石橋を叩いて渡るがごとく慎重性は大事ですが、だからこそこれまで着工を数年も遅らせた挙句、予定地をも変更する柔軟な対応があった訳で…

"アユモドキが倒れるor地元が倒れる"。そうならない為にも不必要に不安を煽るのではなく、客観的事実を基に進めていく必要があります。街づくりとの両立という観点から見ればこれ以上の遅れは致命的です。着工自体への反対よりも検査体制の構築に関してもっと建設的に言及すべきでは?

 

結果的に第三者委員会で条件付きの着工を認められている事から、私個人的には最低限の適正なステップを踏んでの予算計上であり問題ないと感じます。今後はこれまで以上に広く支持を得られるよう、これまで以上に専門家の指導を仰ぎながら慎重に進め、そしてその事を広く周知してもらいたいですね。

 

WWFは建設地変更についてこのような声明を発しています。

 

なお、旧予定地は活用法が確定するまで水田として維持し、アユモドキ保護に役立てます。

http://www.pref.kyoto.jp/spo-syo/news/documents/senmonka8-siryou2.pdf

 

この件に関してアユモドキ保護の委員会等に加わり、スタジアム建設そのものに批判的な立場で提言などをなさっている京都大学大学院の渡辺勝敏准教授が論文等を残されております。

 

 

 

税金投入について

3点目に税金について。ここはもう酷いです。嘘ばっかり。

 

【1.行政負担についての嘘】

f:id:naoki_ks13_7:20170812183051p:plain

はい、嘘が出ました。

まず、スポーツくじtotoの売上から30億円の助成金*4が支給されますので全額税金は真っ赤な嘘。

更に法人個人から寄付金等を募って行政負担を少しでも軽減する方向である事が報道されています。

 

【2.総工費についての嘘】

f:id:naoki_ks13_7:20170812194520p:plain

次いでその総工費200億円とやらの内訳に「"旧予定地14億円と新予定地分43億円が含まれている」としています。

旧予定地を「総事業費」ではなく「総工費」に含むのも疑問に思いますが、まあここは共産党府議団同様に込みで計算して比較しましょう。

 

実際に見てみると、

①:亀岡市の旧予定地購入額=14.7億円

②:旧予定地取得に対する国庫から補助金(当時、取得額の1/3助成)=4.9億円

③:亀岡市の新予定地取得負担額=20.5億円

④:京都府亀岡市に対する新予定地取得援助額=13.7億円

すなわち、各行政の負担額は亀岡市29.8億円+国4.9億円+京都府13.7億円=48.9億円。なのでこの時点で土地取得にかかる「57億円」という額そのものと「市と府」とする主張の2点にそれぞれ追加の嘘発見

なお、旧予定地はスタジアムの為の用地にプラスしてアユモドキ保護の為のエリア購入費用も込みでの14億円。

f:id:naoki_ks13_7:20170812213224j:plain

 

この土地代合計額47億円にプラスされるのが本体工事費や設計関連の費用です。アユモドキ関連への費用も含め、『専用球技場整備費』とされているものを並べていきます。(誘致活動に係る費用は除外)

平成24年度0.17億円平成25年度0.6億円0.02億円0.1億円平成26年度0.12億円基本設計最大1億円*5平成27年度0.12億円実施設計最大2億円*6平成28年度0.16億円平成29年度19.95億円

うち、平成29年度当初予算の19.95億円は先述した亀岡市の土地取得に対する援助額13.7億円を含み、6.2億円が基礎工事代となります。

これに債務負担行為(解説記事)としてスタジアム本体工事費見込み額125.2億円が計上されています。

 

よって府の設計等合計額4.29億円+府の都市取得援助と基礎工事代合計19.95億円+本体工事費125.2億円=府の支出額149.44億円。(内、最低でも30億円は民間資金援助アリ)

それと亀岡市の土地取得代29.4億円国からの補助金4.6億円34億円

すなわち、『旧予定地取得費用も含んだ総工費』は183億円であり、200億円を超えるとする表現はまたまた嘘。

これ以外にどこのお金を別途カウントしてるのでしょうか?ちゃんと説明してもらいたいものです。

 

更に、現予定地に限ると土地代と基礎代の40億円+設計等4.29億円+本体工事費125.2億円で169.29億円。うち30億円が先述のtoto助成で浮きますので、新予定地でのスタジアムそのものの市と府の「実質負担額」は139.29億円です。

 

 

なお、「土地の無償提供を条件を無視していてアンフェア」という主張は同意できる点であり、一概に嘘と間違いだらけの主張だとは私も思いません。用地取得が可能なのであれば、各自治体提案の候補地以外にも候補地はあったはずですから。(なお京都府議会平成29年2月定例会中の府知事発言によると、この事に関して落選した各自治体から了承は得ているとの事)

 

ただ、それ以前に旧予定地の用地取得を無駄使いと切り捨てる点に恐怖を感じます。

『水害対策』で挙げたように、本来旧予定地は民間人所有の田んぼでした。

その民間人の田んぼが台風による被害を受けるなどしているにも関わらず、アユモドキ保護の為&遊水機能確保の為に「田んぼのまま維持してくれ」と言っているような異常な状態が、亀岡市が土地を取得する事でようやく正常化されたのです。

それに対して「トップダウンで予定地を決めた挙句」とはどういう神経をしているのでしょうか?どちらにせよアユモドキ保護を考えるのならば買い取りないし積極的介入があってしかるべきだったと思うのですが。

 

本当にこの人たちはアユモドキを守りたいのでしょうか?地元の住民に寄り添うつもりがあるのでしょうか?

私にはスタジアムに反対したいが為に無理やり理屈を作り、それがこうして地元住民たちを舐めたようなふざけた主張に繋がっているとしか思えません。台風の被害にあいながら稲作を続けてきた方に本当に失礼な発言で腹が立ちます。「公共の福祉の為に開発をするな」といっておきながらこの点を無視するだなんて。

 

【3.運営についての嘘】

f:id:naoki_ks13_7:20170814192814p:plain

更に更に更に、現在実現可能性を調査中の『コンセッション方式』にケチをつけ、「市民利用が困難である」と言わんばかりの主張を行っております。一方、京都府は先日行われた説明会*7で市民利用についてこのように答弁しています。

f:id:naoki_ks13_7:20170814211708p:plain

 

コンセッション方式とは、公共施設の所有権は自治体・行政などに残したまま、運営権を民間に移すシステム。自治体は運営権売却による収入、運営する民間企業は管理を通じた収入やサービス向上、住民はサービスの向上や負担の軽減。というメリットを享受できます。

このシステムは日本では関西空港など数例で適用中。またコンセッション方式以外の民間企業が関わる公共マネジメントシステム(いわゆるNPM)だと、指定管理者制度が有名です。

f:id:naoki_ks13_7:20170814194304p:plain

現在の京都スタジアム(仮)計画では内閣府からの助成を受けながらコンセッション方式導入の実現可能性を調査している段階であり、「予定」という既定路線であるかのように謳う表現には語弊があるのではないでしょうか。

 

府議会ではこのような答弁を残されてますが

f:id:naoki_ks13_7:20170814201203p:plain

確かに、コンセッション方式は運営者の権限が指定管理者制度より大きく、利用料金を運営者が設定できる事から利用料金がより高額に設定される可能性は考えられます。しかしその分収益性が高まるので「税金をつぎ込むな」という主張と相反する部分もあるのですが…その辺りは当然承知してるんでしょうね?政権批判したいだけじゃあないですよね?

 

 

最後に

このように、この特設サイトだけで「全額税金」や「総工費200億円越え」等のいくつもの嘘、また都合の悪い情報を隠しまくって世論を誘導するような行為も散見されました。わざわざ作ってコレですから、本当に恐ろしい。

 

スタジアム建設は自治体が主体となって建設するケースが多く、大きなプロジェクトだけに費用の問題で紛糾するのは当然の事です。

たとえその計画によって生まれる公益が費用より大きくとも、「他の事業を優先せよ」などと反対意見が出ても仕方ないとも思います。

 

しかし、京都の場合はメインスポンサーである京セラ創業主稲盛氏らが資金提供(当時の報道で65億円)を宣言するも議員の反発を喰らい撤回→結局京都市のやる気も無くてまとまらず建たないという歴史もあり…

f:id:naoki_ks13_7:20170814203157p:plain

f:id:naoki_ks13_7:20170814203044p:plain

その気になればスタジアムなんていくらでも民間で金だして建てられるのに、20年間後回しにされてきて今に至っているのです。

http://www.kyoto-np.co.jp/kp/sport/mandara/c_inoue/inoue.php

https://www.kyo.or.jp/kyoto/pdf/j27_161025_kaiken.pdf

http://www.kyodoyukai.or.jp/essay/%E3%82%B5%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%E3%81%A8%E7%A7%81

 

冒頭で述べた通り、そうした中で府が脆弱なスポーツ施設環境をこれ以上ほったらかしにはできないと改善を図る策の1つで専用球技場整備に動いています。

木津川や横大路といった頓挫したかつてのスタジアム計画にも関わり、スタジアム建設を公約に知事選に当選した山田府知事。またスタジアム建設推進を公約に当選した桂川 亀岡市長。ワンイシューの選挙ではないにせよ、政財界も望むスタジアム計画に「建設反対の声が多数」とは一体どういう事でしょうか?声の大きさでは賛成派の方が明らかに多数派です。(※もちろん多数派だから絶対に正しいという訳ではありませんが)

 

 亀岡駅前の土地では難がある」「土地を買い取れるのなら他があっただろう」「科学的見地からこの場所では…」などと主張し、正しい方向に導くような建設的意見なら大歓迎です。私も府のスタジアム建設の進め方には何点かの不満があります。

しかし、共産党府議団のやり口というものは、実情を無視した主張や嘘で世論を誘導するような行為ばかりではありませんか。

"足りないから整備する"という当たり前の行動を根底から否定する前に、「反対ありき」のその主張を改めるべきなのではないでしょうか。

 

 

 

P.S. 現職の京都府議任期満了日は平成31年4月29日です。