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【検証】サンガスタジアム by KYOCERA へ大阪・神戸方面から安く行くには

 

竣工式も終わり、2月9日にセレッソ大阪とのこけら落とし試合を迎えるサンガスタジアム by KYOCERA(京都府立京都スタジアム)。

 

京都サンガF.C.は、Jリーグ加盟以降これまで、阪急京都線西京極駅より徒歩5分の西京極陸上競技場をホームスタジアムとして使用してきたが、サンガスタジアム(以下新スタ)は、JR嵯峨野線亀岡駅徒歩3分という立地。

阪急沿線からJR沿線への移転という大きな変化がある

 

そこで今回は関西人にとって馴染み深く(≒利便性が高い上に安い)、かつてのスタジアムまでの経路である阪急と、新スタジアムへ唯一の軌道系アクセスであるJR嵯峨野線間の導線についてコストの面からまとめておく。

※2020年1月時点

 

 

 
 ◯高槻乗り換え (阪急高槻市駅→JR高槻市駅)

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【神戸三宮発】阪急400円+JR770円=片道1170円(520円お得)

【大阪梅田発】阪急280円+JR770円=片道1050円(120円お得)

 

大阪府内での乗り換え。高槻市駅は特急停車駅であり、高槻駅は新快速停車駅。徒歩600mと歩く距離も長くはなく、しかも道中は栄えており悪くはない。商店街の中なら傘要らずで歩ける。

ただ、見ての通り金銭的なメリットは薄い為、安上がりにする為の乗換スポットとしては不適合か。

ただ、ラーメン店は多いですね!

メリット:特急から新快速への乗り換え可・街が栄えてる・歩く距離短

デメリット:お得感が薄い

 

 

 

 ◯洛西口乗り換え(阪急洛西口駅→JR桂川駅)

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【神戸三宮発】阪急530円+JR510円=片道1040円(650円得)

【大阪梅田発】阪急380円+JR510円=片道890円(270円得)

 

西京極から最も近い乗り換えスポット。共に新快速や特急は当然のごとくスルー。一部快速列車や準急なら止まる。

関西の中でもかなり大きい部類のイオンモールは買い物スポットとしてだけでなく雨風をしのぐ意味でも優秀。嵯峨野線の運航状況を見て、阪急桂駅からのバス乗車に切り替える事も可能。ただし高槻乗り換え同様に梅田発換算だと金銭的メリットはまだ薄い。

ラーメン的には「たけ井」が洛西口駅高架下すぐにあります。

メリット:イオンモールに寄れる・歩く距離短

デメリット:準急/普通での乗り換えに・お得感薄い

 

 

 

◯大宮乗り換え (阪急大宮駅→JR二条駅)

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【神戸三宮発】阪急630円+JR330円=片道960円(730円得)

【大阪梅田発】阪急400円+JR330円=片道730円(380円得)

 

京都市内中心部での乗り換え。歩く距離は1km超となってしまう。個人的にもこの乗り換えは少し「歩くなあ」という感覚を否定できない。

しかし、安く済ませるという目的においてはかなり適合する選択肢。また、二条駅は快速停車駅であり、快速急行→快速の乗り換えは可能。雨の日にこの距離は面倒くさいが晴れの日ならベストでは。

ラーメン的にはレ空・洛中その咲・セアブラノ神などがありますね。

メリット:お得感あり・立ち寄れるスポットも多し・快速急行→快速の乗り換え可

デメリット:歩く距離長・雨の日でも屋外を歩き続けるほかない

 

 

 

◯嵐山乗り換え (阪急嵐山駅→JR嵯峨嵐山駅)

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【神戸三宮発】阪急630円+JR200円=片道830円(860円得)

【大阪梅田発】阪急400円+JR200円=片道600円(570円得)

 

亀岡到達前最後の乗り換えスポット。金銭的メリットは大きく、片道で片道分が浮く計算に。なお阪急嵐山線へは桂駅で乗り換えが必要。

安さの代わりに歩く距離は長く、国内屈指の観光スポットなだけに渡月橋あたりからは人通りもかなり多い。元地元民としては自転車ナシでこの乗り換えは距離的に「ナシ」であるが、普段来ない人ならプチ観光的な意味で一度は良いのかもしれない。時間に余裕のある方はどうぞお試しを

ラーメン的には…中村屋のコロッケをオススメします。あと若者に人気の映え系喫茶店多し。嵯峨野湯とかえらい人気ですね…

メリット:一番安い・ついでに嵐山観光も?

デメリット:散歩の域を超えた移動距離・人手の多さ

 

 

 

 

ということで阪急ユーザーがサンガスタジアムへ向かうにあたり金銭的に一番お得なのはやはり嵐山乗り換え。

であるが、総合的には大宮→二条での乗り換えをお薦めしたい。どれだけ安上がりにしたくとも、あの距離はしんどいのでは…

 

あくまで個人的な意見ですので参考までに。

 

 

 

 

 

10046日。京都スタジアム竣工によせて

 

お待たせしました。

お待たせしすぎたかもしれません。 

10046日。27年と6か月。途方もない年月。

  

2020年1月11日、京都スタジアムはようやく竣工の日を迎える事ができました。

wikiが充実しているので振り返るまでもないのですが、この記念すべき日に改めてその軌跡を少しだけ振り返ってみたいと思います。

 

 

 

〇1992年~2002年 第1期京都スタジアム計画(城陽

1992年7月10日、荒巻京都府知事(当時)により2002年サッカーW杯開催地へ立候補することが宣言され、京都スタジアム計画が始動しました。

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2002年のサッカーワールドカップ"日本大会"招致に向け、既に17の自治体が準備を進めている中での立候補に。

この後、府内の候補地選定において、宇治を押しのけた城陽が京都会場に内定。第二名神高速道路開通が予定されている城陽の丘陵地に4万人のサッカースタジアムを含む木津川右岸運動公園を整備する計画が始動する事となります。

この計画こそが第1期京都スタジアム計画と言えるでしょう。

 

しかし、ご承知の通り、2002年大会は"日韓共催"大会。史上初の共催方式に伴い国内の会場数が予定より削られる事となり、関西の立候補都市では唯一京都が選に漏れる事に…

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幸いにも、2008年大阪五輪招致活動において京都スタジアム(と西京極も)がサッカー競技会場の1つとして計画されていた為、想定規模を3万人規模に縮小して再度プロジェクトは動き始めましたが…

こちらもご承知の通り、2008年夏季五輪は北京開催に決定。伴って、第1期京都スタジアム計画は頓挫となってしまいました。

 

なお、現在のスタジアム予定地付近には、京都初のアウトレットモール建設が予定されています。

新名神沿いアウトレット、24年春開業へ 150店舗、駐車場4000台 京都・城陽|社会|地域のニュース|京都新聞

 

 

〇2003年~2010年 第2期京都スタジアム計画(横大路)

第1期計画が完全に潰える少し前、2003年1月1日の京都新聞1面に歴史的ニュースが掲載されます。

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京都市の南のはずれは横大路に、官民連携でサッカースタジアムを整備するというもの。前年から始まった35万筆にも及ぶサッカースタジアム署名活動の流れから、大きく話が動いた瞬間でした。

しかしその後、「カテゴリーに関係なく整備へ費用を負担する」と、メインスポンサーでクラブ運営会社名誉会長である稲盛氏が京都経済界によるバックアップで100億円(当時)といわれるスタジアム整備費のうち65億円を負担することで基本合意に至るなど大きな期待を抱かせたものの、費用負担や軌道系アクセスの面などで議会との折衝が難航。2005年12月に一時頓挫。

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梅小路公園や植物園への建設、西京極の改修なども並行して検討されたものの、費用・土地・代替会場等の問題をクリアするには至らず、最終的には京都市が2010年9月に整備は難しいとの声明を発し、第二期計画も立ち消えとなってしまいました。

YAJINスタジアムパナソニックスタジアム吹田など、昨今の「寄付」を用いたスタジアム計画の先駆となる非常に先進的でチャレンジングな計画ではありましたが……

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〇2010年~2019年 第3期京都スタジアム計画(亀岡)

京都市によるギブアップ宣言と、48万筆に及んだ2度目のスタジアム建設要望署名を受け、府が動きます。

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府内各自治体に公募をかけ、選ばれた土地に府が上物を建てる形で再度スタジアム計画が再始動。かつて立ち消えた横大路(京都市)・長池(城陽)、そして亀岡の3か所が最終選定に残り、最後は山田府知事(当時)の決断もあり亀岡に決定。

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その後、希少生物の保護問題等もあり着工に至るまでなんやかんやあったのですが、予定地を変更し、土地の再買付や設計見直し、なにより保護対策へのお墨付きが得られ、ようやく夢の実現を迎えました。

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「京都スタジアム パース」の画像検索結果

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〇勝負の1年

竣工はゴールではありません。スタートです。

遂に手にした『マイホーム』を、如何様に活用するか。この1年は常に課題が付きまとう事でしょう。

 

当然、色んな不満が出てくることかと思います。阪急沿線からJR沿線への移転ということで、動員面で読めないところもあります。

以前に断念した横大路と長池との競争となれば、亀岡に落ち着くのは必然の流れでした。出てきた土地の中から選んだだけで、また京都におけるサンガのプレゼンスでは、サンフレッチェのように梅小路という最後の一等地をテーブルに上げる事すら不可能でした。

現実を見据えつつ理想を貫いたが故の「ベター」。それでも、ようやく手にした夢の劇場なのです。

 

かつて、西京極には「西京極球技場」という名の球技場が存在していました。(現在の補助競技場あたりに)

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この球技場が無くなった頃から、不遇の時代を過ごしてきたのかもしれません。

2015年には、U22サッカー日本代表が京都合宿を行うもグラウンドがなさすぎて私立東山高校の人工芝グラウンドで1日目のトレーニングを行うなんてこともありました。

 

でも、そんな事も過去の話です。2023年には30年の時を超えてワールドカップが京都にやってくるかもしれません。

待望の新スタジアムが、多くの人に利益をもたらし、そして多くの人に愛され続ける事を祈ります。

 

 

最後に、署名活動・寄付金募集においてご協力いただいた皆様、政財界やみやびの杜委員会等スタジアム整備に向け邁進してくださった皆様に心より感謝申し上げます。本当に本当にありがとう。

いま、京都に続けと、セレッソ広島相模原ではそれぞれスタジアム建設に関わる寄付・署名を受け付けています。京都も寄付受付期間を少しばかり延長しています。ゆくゆくは、長崎・今治・秋田・鹿児島あたりでも寄付がはじまるかと思います。ぜひ、我々に手を貸して下さったように、何卒ご協力いただきますようお願い致します。

 

 











 

 

京都サンガと新スタジアムとお金の話

 

今年は創作意欲(?)があるのでシーズンの振り返りを書こうと思うのだが、

振り返る前に、整理の為にも語っておくべきことがある。

それが今回のテーマ。

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失われた10年

サッカー界は資本主義社会。

日本のプロ野球のように、球団側に絶対的な権限があって、ドラフト制度のように戦力均衡の為の閉鎖的社会があえて築かれている訳ではありません。ましてや、国外を含めプレーする場の選択肢は星の数ほど。

 

選手が選ばれる側ではなく選ぶ側に立つことができ、流動的である以上、金銭による引き抜き=移籍市場は活気を増す。最近ではトップオブトップのプレーヤーでなくとも100億円を超す移籍金が発生するようになり、馬鹿げたディールの数々に呆れ声も聞こえますが、収束の気配はありません。

いつかバブルが弾ける時が来るのかもしれない。けれども今はまだ、世界のサッカー界はビッグバン真っ只中。膨らみ続けています。

 

これは日本においても同様で、更に今、明らかに陰りが見えつつあった中で2ステージ制の導入と引き換えに資本を得たJリーグは、その危機を見事に乗り越えました。DAZNやIT系企業の参入など資本が集まりつつあり、各クラブ共に財政基盤を確固たるものにしようと奮闘しています。今後より一層マネーゲームは激化し、格差は拡大するでしょう。

現に、持たざるものが格好の餌食と化すのは、ここ1~2年間の移籍市場にも現れています。シーズンオフを待たずとも、夏のウィンドーでJ2の有力株がJ1強豪クラブに引き抜かれていく姿は、間違いなくその表れ。

 

そんなJリーグにおいて、残念ながら京都サンガは「負け組」に位置します。 

近年Jリーグに加盟したクラブは勿論のこと、ほぼ全てのクラブが収入を伸ばす中、上記の通り京都は極めて数少ない『右肩下がり』のクラブ。

名だたるスポンサーがついていながらJ2に留まるとは情けない…とはよく言われるものの、そもそもその名だたるスポンサーの割には貧乏なのが実情。

 

メインスポンサーである京セラをはじめ、任天堂日本電産村田製作所と1兆円企業が4社存在する京都ですが、この内スポンサーを務めるのは3社。日本電産には18年限りでスポンサーを下りられてしまう始末。

その他にも、au大和証券JAL・ワコール・オムロンローム堀場製作所島津製作所…挙げればキリがないくらい著名な大企業が多数スポンサーに名を連ねるにも関わらず、近年は広告料収入は11~12億円程度。

今季、最終戦で対戦した柏レイソルはメインスポンサーである日立製作所からのスポンサードだけで推定13億円を誇っており、日立製作所1社>京都企業総勢というのが悲しい現実てす。

(「今の京都サンガが現状のスポンサー料に見合う価値を提供しているのか?」と聞かれると答えに窮するのですが……)

「30億のうち13億は日立からいただいているスポンサー料です。その他6億は日立グループが主な相手先となるスポンサーで」

『2017柏レイソル意見交換会』第1回議事録|Reysol News

 

 

今季最終節、13-1の記録的大敗の後、中田監督は「クラブ総合力と個の能力の違いがしっかりハマった」と振り返ったが、事実、資金力において柏と京都、もといJ2他上位クラブと京都との差は歴然でした。 

(J1復帰を決め、13-1で大勝した試合後にも関わらず社長に大ブーイングが飛ぶくらい柏は柏で問題を抱えているのだがスルーします)

 

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  ※2019年度J2加盟クラブの2018年度チーム人件費をランク付けしたもの。単位百万円

 

 

 

そこで今回は、お遊びとサポカン(するのか知らんけど)対策を兼ね、視点を戦力強化のみに絞って京都サンガは今後どうお金を集めるかというお話。

 

 

 

 新スタジアムとお金

  Jリーグクラブの収入源は大きく分けて主に5つです。

①入場料収入

②広告料収入

③分配金

④物販収入

⑤スクール収入

の5つ。

 

一応補足をすると、①はチケット代から得られる収入。②はスポンサー企業などから得られる収入。③はJリーグから得られる分配金のことで、放映権をリーグが一括管理しているJリーグにおいては放映権料収入が分配金の主な原資。④はグッズ販売で得られる収入。⑤は運営するサッカースクール事業で得られる収入。

この他に、賞金や移籍金、独自の事業展開によって別途収入源を確保しているクラブもありますが、ベーシックな収入源としてはこの5つが挙げられます。

 

この5つの内で最も重要なのは①の入場料収入であり、理由としてはファンが多ければ多いほど広告価値が生まれ、物販収入の伸びが期待でき、かつ愛着あるファンを増やすことは企業スポンサーと異なりどんな状況でも支えてくれる小口の支援者となり、収入とブランド価値の源泉であるからです。ここを伸ばせると他も伸びてくる。

 

で、京都の収入源の特徴としては、伸び悩みが酷いとは言え広告料収入が占める割合が高いこと。

合計収入が 18億円~20億円に対し、11~12億円計上しているので約60%を占めます。その代わりに収入の源泉である入場料収入の比率は上記の通り少ない。理想形の逆。

こうした事から、『親方日の丸体質』クラブの1つとして挙げられることが多いのが実情です。

 

 

この状況を打破する最大のチャンスこそが、来季からホームスタジアムとして使用する"サンガスタジアム by Kyocera"。

駅から徒歩3分の全席屋根付きのフットボールスタジアムは観戦環境としては抜群。

西京極のアクセスが大変優れている事と路線が全く異なる(阪急→JR嵯峨野線)為、従来の新スタジアム移転パターンと異なり「アクセス改善」というメリットがないのは読めない材料ですが…

前例では、新スタジアム移転に伴い各クラブ共に入場者数が150%ほど増加しており、伴って収入の源泉である入場料収入の増加が見込めます。

 

ここでガンバ大阪の事例を。

周知の通り、ガンバ大阪は新スタジアム計画を遂行し、2016年より4万人のサッカースタジアムへ移転を果たしました。以下の表は移転直前直後のガンバ大阪の収入・支出の一部のみを抜粋したもの。

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※2015~2016年度ガンバ大阪の収入・支出項目の一部。単位百万円

入場料収入が大きく伸びを見せ、前年度比6億円増。営業収益50億円の大台に乗せました。

一方で支出の部分、試合関連経費が4億7千5百万円増。これは2万人の陸上競技場から4万人のサッカースタジアムへ移転した事で増加した運営スタッフ等試合開催にかかる経費の増大と、自ら指定管理者として運営を担う新スタジアムの維持費約5億円が影響しているものと思われます。

ただ単に客を増やして入場料収入を増やそうとしても、かかる経費も比例して増加するので利ざやは大きくはありません。現に、この2年だけを見ると、入場料収入の増加でチーム人件費への投資が増やせたかというと答えはNO。

 

京都の場合、2万人の陸上競技場から2万人のフットボールスタジアムへの移転なので大規模な経費の増加は考えられにくいですが、それでも1試合の使用料は現本拠地の1.5倍程度であり一定程度負担は増加することは間違いありません。(個人的には箱に見合ったお金を支払うのは当然だと思います。)

 

ではただ単なる収入増だけではなく、より収益を生むにはどうすればいいのか。

答えは簡単。客単価を上げることです。

 

 

大幅なチケット値上げの断行を

客単価を上げることで上がる変動費も当然あるかとは思いますが、かかる経費をそのままに収益を伸ばすには、まずはチケット値上げです。

新スタジアム移転はチケット価格見直しの最大のチャンス。観戦環境が整っていなかった今までは一般前売チケットの最安値で1500円という価格でしたが新スタジアムの観戦環境を考えれば私は2500円の値を付けていいと思います。

 

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もっと言うと、西京極においてSB自由席に当たるバックスタンドの自由席、こちらを2500円に。熱心なサポーターが集うゴール裏はそれより高い価格(例えば2800円)で良いと思います。お金は取れるべきところから取るべきです。

他クラブの例を出すと、前売2500円のガンバ大阪は年間チケット(20試合)を36400円で販売しています。前売2400円の名古屋グランパスは38400円(同)。これらを参考に2800円×21試合×0.6掛けで35000円なら現行対比で倍近くの値上がりにはなりますが、せいぜい遠征1回分の値上がりです。交通費に消えるよりも愛するクラブに費やす方が納得もいくでしょう。

代わりに、U22世代の価格は1千円以下に抑えたり、ファミリーで観戦しやすい低価格席種を別途用意するなど対策を施せばよい話。なにより、値上げに伴って得た収益を経験価値向上に費やし、結果満足度が高まるのであれば我々にもメリットはあります。

しつこく言います。ここしか無いのですチャンスは。

 

 

 

30億円台を目指して

話を少し戻します。J1昇格および残留するクラブの目安として、昨今は営業収益30億円・チーム人件費10億円強はマストになってきつつあります。

今期のトリニータのような例もありますが、J1へ定着するには、ゆくゆくは鳥栖や札幌のように30~40億円確保しなければマネーゲームに対応しきれません。

 

とはいえ、25億円がMAXの京都にとって30億円台など夢の夢なので、今回は目先の数字だけを想定しましょう。スパンを長くすればするほど筆者の知性のなさがバレますので…。将来的には、チケット収入10億円弱:広告料収入20億円強:その他計10億円で40億円は確保しなければと思います。

 

以下は2015年からの京都サンガの各収入とチーム人件費の推移です。f:id:nya137:20191202020543p:plain

2015年の特徴としてはその他収入が多くなっています。奥川選手の移籍金をはじめ臨時収入が助けてくれた年です。

2016~2017年は赤字覚悟でチーム人件費に投資した結果、赤字を計上しています。収入面ではDAZN効果によって増加した分配金以外と2年に1度の新ユニフォーム販売によって増加した物販収入以外は特段変化がありません。物販収入という項目については、この年から移籍金や賞金らによる収入と区分けされて公表されるようになりました。

2018年はJ3降格危機を迎え、メインスポンサーから思し召しがあったおかげで広告料収入が増加しています。また、チーム人件費を1億6千万も削減したことで3期連続赤字を免れています。

 

2019年。当然まだ決算を迎えてないので推測ですが、昨年度増加した広告料はおそらく元通りでは。前述の通り日本電産も下りましたし。代わりに、入場者数が前年比5万人弱増加しており、招待プロモーションによる来場が多く客単価が100円下落したと仮定しても、3千万から5千万程は入場料収入が増加しているはずです。2年に1度のユニフォーム一新の年ですから物販収入は17年並みに、その他収入では岩崎の移籍金・育成費が前年対比微増くらいにまで押し上げているかなと。

一方の支出ですが、コーチングスタッフの拡充に資金を費やしたとの報道が開幕前にあったので、チーム人件費は昨年度対比で若干増加し、その分赤字計上と読みました。

 

そして、2020年。(予想を通り越して希望な気もしますが…)

改めて、J1へ自動昇格するには10億円程度のチーム強化費が用意できるか。8.5億円は確保したいところ。なお、クラブライセンス制度導入以降、各クラブは総予算の40%台でチーム人件費を確保しています。これはチーム人件費による経営圧迫を防ぐ為ですね。京都も赤字覚悟で予算編成した以外は40%台。つまりは20〜21億円強は欲しい。

入場者数が今季の1.4倍の平均1万人台へ到達&前述の通り客単価を上げにいって、単純計算1800円×21万人で3億7千万円。入場者数増加に伴って新ユニフォーム等物販の伸びと、メインスポンサーらからの「お布施」で新スタ初年度に相応しい収入の伸びを実現できれば、8億円は必ず達成できます。スポンサー収入の積み上げ次第では、表にある通り9億円到達も天文学的数字ではありません。

 

 

サポーターにできること

チーム人件費増加に向けて、我々にできることはまずシーズンパスを購入することです。

販売が開始され次第、すぐに購入しましょう。初動が良ければ良いほどスポンサー企業へのセールス材料になります。クラブにすぐキャッシュが入ります。これ以上の後押しはありません。

 

そしてシーズンが始まったら、待望の新スタジアムに人を招きましょう

「ラスト西京極を2万人に」、その勢いを開幕から出す時です。「亀岡は遠い」、そんな声をかき消すだけの魅力を発信しましょう。

新スタジアムは我々が望んだ舞台なのです。求めるだけ求めて、金も出さず、ぬくぬくと開業直後の不馴れな点に批判をするのは違うと思います。求めたからにはそれ相応の対価を支払い、よりよくする為の知恵を働かせるべきではないでしょうか。パナソニックスタジアム吹田が開業した頃、あろうことか「新スタでは勝てない」などとスタジアムに責任転嫁するような一部のガンバ大阪サポーターも居ましたが、そんな悲しい話はありません。

 

 

そしてクラブ。

今回、今季の総括としてサポカンが開かれるのかどうかはわかりませんが、本来サポカンの場で「◯◯年までに◯億円到達を」と数値目標を用いながら協力を要請するのはクラブの仕事です。絵を描くのはクラブにしかできないことです。

他クラブ、特に近隣のガンバ大阪セレッソ大阪。この2クラブのサポカン資料は毎年目を通していますが、最低限やるべき事をやっています。

 

 

やはりこのような当たり前の事ができないあたりが、諸々の結果に表れているとしか思えません。

「できるけどやらない」ではなく、「できなくてやっていない」に映るのですよね。

 

他クラブは、収入の柱を太くする取り組みと、柱の数を増やす取り組みを既にスタートさせ、成果を確実に出しつつあります。

京都も、新スタジアム開業と運営権の獲得という大きなチャンスを迎えています。

ここでもつまずくようでは、「優勝を目指す」とか「J1を目指す」とかいう生き方はできなくなるでしょう。いわゆるブロビンチャとしての生き方を探るのも悪くはありませんが…

 

まあ、まずは實好監督就任に至った経緯を含め説明してくださいな。 

 

2019 J2 第42節 柏 13-1 京都


悔しい…ですよね?

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おう、ザブングル加藤ばりに吠えたろか。


残念ではありますが、13-1という歴史的・記録的大敗で2019シーズンは幕を下ろすこととなりました。お疲れさまでした。


誰もがこんな結末を予想していなかった事でしょう。(そらそうだ)

そもそも、私は京都が昇格争いに絡むとは微塵も思っていませんでした。

開幕戦のあの弾幕を見たとき、「粋だね」と思う一方で、「いつ外されるか」と思ったものです。だって新体制発表会に得体の知れない監督が欠席て。いよいよJ3かなとも思うじゃないですか。

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それが、最後の最後まで、新スタジアムをJ1で迎えるという夢を見られた。この事に対して、まずもって力闘したチームに感謝申し上げたい。本当によく頑張ってくれました。今まで見てきた中で一番楽しいシーズンでした。直近2年間が無惨すぎたのもあって。

 

もちろん、夢を見たからこその不満はあります。

夏場の失速。監督の発言を鑑みるに、何かが起きていたことは間違いないのでしょう。

相次ぐピッチ外での不始末。何をしようが勝手ですが、守るべき規律だけは最低限遵守しなければならない。

不発に終わった夏の補強。結果論ですが我々より上位のクラブはしっかりと成果を残した。

 

結局のところ、直近2年間の大きな大きな負債をひっくり返すだけのマジックの片鱗は見たものの、悪い『京都らしさ』がまた出てしまったといったあたりでしょうか。

 

シーズンを総括するには気持ちの整理も情報量も足りていないので、今日は今の率直な気持ちを忘れないように綴るほかないのですが。

 


今日の試合、あくまで個人的な意見ですが、今季で言えばホーム山形やアウェイ山口戦のような消極さはなく(その分精度や技術がお粗末ではありましたが)、17〜18シーズンのどんな勝利よりも美しい敗戦だった。

 

最後の最後にこのチームの哲学が見てとれたというか、ポジショナルプレーはシーズン中盤からどこか遠い片隅に追いやられてしまっていて、アホみたいなカウンター食らうようなシーンが散見されるなどそれはそれで残念極まりないのだけど、「自分達は攻めるんだ!」という意志を感じるプレーを最後まで貫いた事に感動を覚えたことだけは、このチームを追いかけてきた人間だからこそ、忘れずに残しておきたい。


例えネタにされようと、馬鹿にされようと、少なくとも今日のこの大敗は24年間生きてきて最も私の胸を打った試合だったことだけは不変です。

 

とりあえず傷心旅行の宿を予約したので、今年見届けた15勝8分8敗を噛み締めます

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ラスト西京極

 

思い入れがあるかないかで言えばあるのだが、「ラスト」と言えども、

どうせ来季以降も使うのだから…という気持ちの中迎えたホーム最終節。

 

他所とは違う感情が湧き上がる場所ではあるが、個人的にはやはり西京極という「ハコ」はあまり好きではない。

ピッチとの距離。ドット絵。メインスタンド中心部ですら濡れる屋根のなさ、というよりコンコースすらなく雨天時の避難場所など無に等しい。

気になりだす前に心惹かれたのと、なにより西京極以外のハコを知らないのが功を奏したが、このスタジアムのせいで逃した魚は大きいはず。

だからこそ新スタジアムへのこだわりは強い方なのかもしれない。

 

 

新スタジアムへ移れば何もかもが薔薇色になるわけではない。アクセスの部分を含め、新たな問題は必ず噴出するのは目に見えている。

だが大きな転換点であることには間違いない。

昨日の西京極は、その転換点の1つとしては出来すぎたくらいであった。

2万人は入らなかったかもしれないが、正直8千人程度だろうとの読みを大きく上回る1万1千人が詰め掛けた。

引き分けすら許されない中で、勝負強く最後の最後に勝ち点3をもぎ取った。

ついでに禍根の残っていた選手との精算も済んだし、気分的には「J2でやり残したことはもうない」といったところか。

 

どんな結末が待ち受けているのかはわからないが、昨日見た景色を継続する為にも新スタジアム初年度はJ1で迎えたいものである。

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あと、社長が昨シーズン比で2千人ほど平均入場者数が増えたと語っていた(昨年比2187人増)けれど、そのうち有料入場者数はどれだけ増えたのか。

見せかけの数字だけ良くしても意味は薄いので。結局、総括会とやらの議事録もレンゾロペスの契約動向についても何ら声明すらないが、そこのところの総括はよろしくお願い致します。

 

 

 

 

第4回京都スタジアム見学会レポ

 

仕事以外で文を綴るのがもう面倒なので、投稿したツイートを貼っていくスタイルで

 

 

 

 

てな訳で、いよいよ京都スタジアムもとい「サンガスタジアム by Kyocera」の工事が大詰めを迎えております。

前回来た時と比べると当然ながら全然違う。

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今回の見学会では、スタジアム上層と下層の間にあるコンコース部分をメインスタンド中央から南サイドスタンド端まで反時計回りに巡りました。コンコースからスタンド内に降りても居ません。よって、以前に書いた下層最前から上層への視界や、下層と上層間やトイレ等諸室における導線などは確認できていません。

 

 

今日流れてきた情報によると、11月の頭にサポーター向けに見学の機会があるとの事なので、幕のスペースやリードの位置からの視野・視界等はその際に確認できるのではないでしょうか。

 

また、11月17日(ホーム千葉戦翌日/Jユース杯決勝当日)にはイベントが開催され、11時~15時の間に見学ができるとの事。内装工事も大詰めの頃合いかと思いますので、VIP・VVIPルームなど入れさせてくれないであろう箇所以外は見れるのでは。竣工式が来年1月11日。寄付者向け内覧会が来年1月~2月中開催予定なので年内の公な見学機会はこれが最後かもしれませんし。いい機会だと思います。

 

 

なお、京都スタジアムへの個人寄付は今年いっぱいまでの受付。5万円で貴方の名前を残せるチャンスはあとわずかです。

 

 

 

しかし、画像より動画の方がバズるもんなんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サイバーエージェントによる町田ゼルビア改称問題


いま話題の、サイバーエージェント(以下CA)のFC町田ゼルビア買収に伴うチーム名改名問題。
正直なところ買収が決まった時点で予想された事案であり、納得できる理由があるのであれば最悪致し方ないのでは…と完全に対岸の火事として捉えていたのですが、TL流れてくるツイート等々を見る限り疑問点がチラホラ。
長時間の動画を見て検証するほどの余力はありませんでしたが、ありがたいことに文字起こしブログを拝見したので、それを読んだ上で今回の問題の根源と個人的所感をば。


FC町田ゼルビア・サポーターミーティング

www.rrr3k.com

 

 


①本プロジェクトの正当性はどこにあるのか?なにを目指しているのか?

まず、今回のサポーターズミーティングでフロントとCA(もとい藤田晋社長)の訴えたかった要旨としては「町田からは出ていかない。町田にある限り町田のクラブである。だからこれからの変革を受け入れてほしい」ということでしょう。
チーム名の改称やマスコットの追加(?)等々のリブランディングを実施することで従来のFC町田ゼルビアではなくなってしまうように見えるが、会社名にゼルビアは残すし、ゼルビアの名をコールしても構わんし、町田のクラブであり続ける限り我々は町田なのだと。


この時点での疑問点としては『正当な変革なのか?』『痛みの代償はなにか?』である。

 

町田にある限り町田ゼルビア町田ゼルビアなのだというお題目。これを言っていいのはサポーター側なのではないだろうか?
CAやフロントがこの論理を押し通すのは強引すぎやしないか。

なぜなら、まずもって今回謳っているリブランディングはリブランディングとは言えないからだ。
スポーツビジネスにおけるリブランディングとは、これまで紡がれた歴史やストーリーを尊重した上で新たなエッセンスを加える。自らを再定義する。これこそがリブランディングではなかろうか。
近年の事例で言えば、福岡ソフトバンクホークス・横浜DeNAベイスターズFC今治などがオーナーの変更に伴いエンブレムやマスコットの変更等全社的に抜本的な改革を行ったが、いずれも歴史を重んじた上での話であり、スムーズな体制移行とその後の興行成功に繋げている。

一方で、今回のCAの謳うリブランディングではまず「ゼルビア」の名を放棄し、その歴史にピリオドを打つことになる。これはリブランディングというよりもスクラップ&ビルドとして映るし、ソフトバンクDeNAによるプロ野球団買収よりも球界再編問題における近鉄バファローズ消滅とオリックスとの合併・楽天野球団新設を思い起こす。


さらに付け加えると、会の途中で、今後のビジョンとして「町田から世界へ」「5年後のACL優勝」という、競技面で優秀な成績を収めるぞ!ビッククラブになるぞ!という構想を発表している。そして、このビジョンの実現の為にリブランディングによる価値向上・収益増加が必須という筋道で語っている。
その一方で、アクセスや設備に問題を多数抱える野津田陸上競技場の継続使用の意向を示したり、世界的スター選手を多数抱えるヴィッセル神戸のような選手補強はできないとも話している。


え??

5年でACL制覇だとか、そのビジョンに則ってクラブを大きくしていきたいのであれば、野津田からのホームスタジアム移転。もっと言えば町田からの移転は少なくとも視野に入れておくべきであろう。実際のケースとして、ジェフユナイテッド市原・千葉の事例もある。

抜本的な変革を唱えるのであればそこまでやっても全然良い。是非はさておき、それならばゼルビアの名を捨てる整合性は今より出てくる。痛みを伴う正当性が。なんでそんな中途半端なんだ。


現状の説明では、「チームを強くする」「その為にチーム名を変える」「名前にトウキョウを付け加える事で町田以外からの資本も募る」「でも町田には残るから町田のクラブであることには変わらないよ。許してね」という都合の良すぎる言い訳にしか聞こえない。
トウキョウの名前を冠しただけで東京全域へのマーケティング展開がするというのはお花畑にもほどがあるだろう。それにその理論なら東京町田ゼルビアとかでもいいはずだ。


本気でビッククラブを目指すのならば、会終盤のサポーターからの質問でも上がっていたが、どれほど現状からの改善策が打ち出せるのか。自らがどれほど資本投下できるのか。どれほど外から資本を引っ張ってこられるのか。
その筋道を示して正当性を打ち出すべきではないか?

それならばまだ、勝利という禁断の果実欲しさに、歴史とプライドを捨てた現フロントの判断に同情することもできたのに――


全体像と実現可能性が抽象的なままに、この会に至ったのはどういうことなのだろう。
ただ単に、まだなにかを真意を隠しているのか。単純に全く計画の詳細を詰めきれていないのか。できることなら前者であってほしいが…。


ブランディングしないと会社の資本を投下できないという説明もごもっともであるが、いくら出すのか、何をするのかわからないことには「それならば許そうではないか」という心情にはならないでしょう。
痛みを受け入れてほしいという割にはユーザーへの還元がなんなのかは示されていない。何度もいうが実に都合がよすぎる話ではないか。

それどころか、CAの中でコンセンサスを得られていない雰囲気すら漂ってくると、このゼルビア買収劇は一体何を目的としたものなのか本当にわからなくなる。

 

ライザップのようにシナジー効果を期待しているのか?
DeNAのように収益を期待しているのか?
ジャパネットのように企業メセナの精神なのか?
岡田武のように己の信念と理念の実践を通じてホームタウンとこの国を変革したかったのか?

一体CAは何がしたいのか?
町田をビッグクラブにしたその先に何があるのか?
抽象的なビジョンと、そのビジョンが実現するとは思えない半端な覚悟しか示せないのか?
(そしてそもそも町田である大義はあったのか?)

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これでは人の心もスポーツビジネスも舐めすぎではないだろうか。
対岸の火事と見ていた私まで膓煮えくりかえっている。

 


②既存ファンをノイジーマイノリティとして切り捨てるか否か

会の終盤。質疑応答において1人のサポーターの涙ながらの訴えが印象的であった。


既存のサポーターの声を受け入れる気はないのか。切り捨てるのか。
これは今後このプロジェクトの成功可否に関わる重要事項である。

悲しいが、はっきり言って既存の固定客5千人(仮)を切り捨てても数の問題で言えば痛くはないだろう。
CAの謳うリブランディングによって新たに5万人のファンを獲得できるのであれば、5,000<50,000なのだから断行しても差し支えない。

 

だが、あくまで数字上の話である。
1度簡単に切り捨ててしまえば、今後いかに素晴らしいストーリー築き上げようと、「この興業団体はいざとなればリセットすることをも厭わない」という懸念と前歴を消すことはできない。
ファンの声を無視するようなクラブが、リブランディングとやらで新たな価値を創造できるとは思えない。


スポーツビジネスは決して特殊なものではないが、特徴的な点はいくつかあり、その1つとしてサポーターの存在があげられる。
ショービジネスにおける演者と観衆の関係は、価値を提供する側と価値を享受する側に簡単に仕分けすることはできない。
歌舞伎・大相撲・宝塚・プロ野球・アイドル・そしてJリーグ…いずれも観衆はただ単に傍観するだけでなく、時としてその場の演出やコンテンツの価値向上に一役買うことがある。キャストの一員となる。良くも悪くも。

特にスポーツ。中でもサッカーの場合はサポーターとチーム・クラブの距離感が密接であり、そのコントロール、サポーターをブランディングすることこそが肝とも言える。
語弊を恐れずに言えば、忠実で優秀なサポーターを作ることが大事だ。


だが、0を1にするフェーズは極めて難しい。
スタジアムの雰囲気づくり、ひいてはサッカークラブがもたらす価値を共に創造しているサポーターを無下に切って、仮に『官製サポーター』主導でリスタートしてうまくいくことはまずないだろう。
無機質なショーに熱狂は生まれない。となれば、そんなスタジアムに通う意義は薄くなる。

ファンを増大しなければならない事を自覚しておきながら、既存のコミュニティから発せられた声に耳を傾けず切り捨てるような行為に至るのは何故なのか。まずもって、せめてポーズだけでも取るべきだった。
会の後に懇親会を開いて話を聞く姿勢は買うが、一旦伝播したマイナスなイメージは大きい。この辺りも含めて準備不足感が強すぎる。一体何をしていたのか。どこまでが計算の内なのか。やっている事が現在の日本国内の潮流と真逆なのだが勝算は果たしてあるのか。

 全容が見えなさすぎる。

 

 


最後に

個人的なまとめとしては、①フロントは「FC町田」の歴史を残しつつ体力のある企業に手放したかった。②CA(もしくは藤田社長)は東京にあるJ加盟クラブが欲しかった

そうしてこの両者がディールした結果、サポーターの声など無視した互いに都合の良い着地点に落ち着いた。というところではないだろうか。


今回の件に関してはCAに憤りを強く感じるが、ゼルビアの増資分として11億円ものお金を費やしてサッカーファミリーに加わったこと自体は好ましいと思っていたし、リスペクトの念もあった。スポーツビジネスに興味のあるものとして、面白いことになりそうだなという予感もあった。
故に、今回のような実にお粗末な計画発表は残念である。そんなもんなんか、と。

 

Twitterにも投稿したが、今回の初手の誤りは大変致命的であり、現状テーブルに並んでいる材料から判断する限りは、ウルトラCがないとプロジェクト成功はないと言える。

 

ゼルビアの名を消すなという情の話ではなく、何がしたいのかよくわからないプロジェクトを成功させる為に、やれる事はまだ沢山ある。
それがどれだけできるのか見せてほしい。

 

できないのであれば、その時は即刻退場すべきだろう。

ホワイトナイトのように扱われているが、別にJ1ライセンスがなくともサッカークラブは死にはしない。むしろライセンスの為に魂を売ることこそが自殺行為ではないだろうか。
王者でなくとも人生は謳歌できる。それはサッカークラブも同じである。

 

神戸や長崎のように経営的な生き死にがかかってるのならわかるが、少年サッカーの町の象徴である町クラブが捨てなくていいアイデンティティを捨てて下手な勝負打つのは僕もクソダサいと思います。

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P.S. ブログはAmebaではなく京都サンガF.C.のスポンサーである「はてな」様で書こう!