+1 プラスワン

-2017年シーズン振り返り- 京都サンガに何が起きたのか?【上編 弱体化した2011~2015年】

 

2016年のJ1昇格まであと少し…という所から、今期は一気に落下。

1億~1.5億円もの赤字をこさえるほどチームの強化にお金をかけながら、開幕から一度も一桁順位を記録しないという空前絶後の低迷。全42試合中40試合を終え、13勝15分け12敗の勝ち点54で11位。J1昇格は消滅済みです。

更に、ただ単に弱いだけならまだしも……

 

なぜこのようなクラブ史上最悪とも言える状態になったのか? 後世と世間に伝える為にも、2017年シーズンについて振り返っていきたいと思います。シーズン終わってないけど。

 

ただし、2017年を語るにはまず2011~15年の間の文脈と、2016年を振り返らなければなりません。(本当はもっと遡る必要があるけども)

そこで第一回となる今回は、より深堀りするためにも2011~2015シーズンを改めて振り返りたいと思います。

※3回にわたって整理する予定です

 

 

 

再建と崩壊の5年間

2011から2013年

2010年にまたしてもJ2降格となってしまった京都サンガF.C.は、リスタートにあたって南アW杯日本代表コーチの大木武氏を監督に、オシム監督招聘で知られる祖母井秀隆氏をGMを迎え、今井浩司社長との三頭体制で久々のJ2の舞台に挑むこととなりました。なお、大木監督の招聘経緯は稲盛会長が岡田武史氏へオファーを出したが断られ、代わりに紹介されたのが大木さんというものでした。

稲盛和夫名誉会長(78)と親交の深い、前日本代表監督の岡田氏が筆頭候補だったが、同氏は拒否。大木氏が最有力候補に浮上した。

日刊スポーツ 京都新監督にW杯16強コーチ大木氏が浮上

このチャレンジでは、2度の昇格PO敗退&天皇杯準優勝とターニングポイントでの勝負弱さが仇となってチャンスをつかみ損ね、一度目のPO敗退の時点で退任を心に決めていた指揮官は「新しい1ページを作ろうとしましたが、できませんでした。シーズンは終わりましたけど、サッカーは続くので、これをいい経験にして、また次のシーズン、がんばれるような京都サンガになってもらえればと思います」とコメントを残しクラブを去っていきました。もしここで昇格できていたら…

f:id:nya137:20171109044039j:plain

 

ただ、決して順風満帆ではなかったけども、ボールに対して選手がガンガンと飛び込んでいく守備と攻撃でゲームを支配したサッカーは実に魅力的で、"京都らしいサッカー"だなんて形容されるまでに成長しました。一貫性のなさだけはJリーグ1の京都サンガの歴史上、本当に稀なことだったと思います。また、柱谷監督時代にスタートしたスカラーアスリートプロジェクトの恩恵を受けた育成組織出身選手がメキメキと頭角を現し、育成型クラブの実現に向けても大きな進歩が見られました。

契約を全うしてクラブを去った監督が17年ぶりという事実からも、指揮官(と指揮官へのサポート)が在任中に残したレガシーが大変貴重で有意義なものであったことは間違いないありません。

私も大木さんのおかげでサッカーにカテゴリーなんて関係ない事を学びました。

そして、エルゴラッソ2013年シーズンJ2総集編にライターの雨堤氏が寄稿したあの美しい文は、私をはじめとする京都サポの総意であると信じて止みません。あの2Pはサッカー関連の記事の中で世界一美しい記事だと胸を張って断言します。

 

さあここから足りないものを埋めにいこう―― 

その矢先でした。悲しいことに、右肩上がりだったはずのクラブは2013年オフから大きく狂いだします。

 

 

2014年

f:id:nya137:20171109044022j:plain

まず、Jリーグの中で最も最後に行われる昇格PO決勝で敗戦し、指揮官である大木が退任したことから、13年オフのストーブリーグで大きく出遅れてしまいました。招聘した新監督のバドゥ氏も「勝ち点100、得点100を目指す」と意気込むも只の愉快なおじいちゃんでしかありませんでした…

もしここで、祖母井GM千葉時代に招聘したベルデニック氏を呼べていたら…

バドゥ監督はチームに規律を与えず、選手に混乱と嫁の手料理を*1、他サポへは笑いのネタを与えただけ。練習でやったことのない3バックを突然試合途中に導入させるなど、戦術0の狂った集団は全力少年がごとく大木体制の積み上げたものをぶっ壊しました。当然ながら一度崩壊してしまったチームは森下仁志監督代行と川勝良一監督の下でV字回復を遂げるまではいかず、クラブ史上最低のJ2 9位フィニッシュ。6位までが進出できる昇格PO出場すらも逃す結果となりました。

この結果を受け、バドゥ監督招聘など昇格失敗の責任を取る形で祖母井氏がGMを退任。バドゥがダメになった時点で氏は実権を失ってしまいましたね…(ただし、高間・細川と京都サンガの弱さを象徴するような古参の強化部スタッフもお祓い箱へ *2

また、現日本代表FW久保裕也らをスカウトしてきた高本詩史氏が残念ながら退任し岐阜へ移る形に。

 

シーズン最終戦の会見にて川勝監督が「ただ、残念なのは一枚岩になっていない様な気はしますね。本当にもう、サポーターも熱いし、一生懸命応援してくれるし、選手も本当に京都に馴染んで京都を好きでいてくれる。だからフロントの人ももっともっと入ってきて、一緒になって強くするということを考えないと。誰かのものでもないしねチームは。クラブは、全て京都の人の誇りみたいな、そういうチームであってほしい」と語ったように、フロント内部において祖母井氏や元からいた強化部スタッフや今井社長間で一種の派閥争いのような決裂が走り、「フロント内部の亀裂も決定的になった。複数の関係者は、クラブの意思決定方法に疑義を呈す。ある幹部は「本来、強化部がゼネラルマネジャー(GM)の了解を得て予算や選手編成を考え、GMが責任を取る。だが、それが全部会社が決定している」と明かし、メーンスポンサーの影響力に言及する。クラブの意思決定の遅れにもつながり、夏場に日本人中堅MFの獲得に乗り出したが、最終のゴーサインが出ず、他クラブに先を越されたという。ある幹部は「残念ながら一枚岩ではなかった」」との始末であった為、フロントが良くも悪くも一新となったのは必然ではありましたが……

本当の地獄はここからでした……

 

 

2015年

15年シーズンは2017年シーズンが始まるまでは過去最低だった年です。誰に聞いても最低と言うでしょう。

結論から申し上げますと、この年の京都サンガはプロサッカークラブとしての体を保っていませんでした。私はもう「死んだな、このクラブ。」と思いました。京都からサンガが無くなるなと覚悟しました。振り変えるだけでまあまあ辛い。

 

まず、2014年で一気に強化スタッフがいなくなったので新たな強化部長が就任しました。"ミスターサンガ"なんて言われたりもするクラブOBで強化部に元々いた野口裕司氏です。

今井社長は彼を強化部長に任命し、「強化を一新するのに監督だけを継続するのはおかしな話。これからのサンガを担う強化部が次の監督を、どうサンガのサッカーをつくるかを考えるべき」。Q.自身の責任は「もちろん一番重いと思っている。ただ、今すべてを変えるとおかしなことになるので、まずは強化、チーム編成をしっかりして自分のことを考えたい」」などと嘘ぶいていたが、 実際には監督招聘も補強もサッカー素人である今井社長が仲介人や代理事務所などの力を借りて行った *3

これだけでも重罪だが、まだある。自身の責任問題に発展することを恐れてか、4月に和田監督が辞任を申し出た時にそれを却下 *4。更に7月に試合後の記者会見で辞意を示した監督に対して2度目の却下 *5。最終的な判を押すことに関してはわかるが、なぜ強化部長ではなく経営責任者である社長に強化の人事権があるのか?

更に保身の為の人事権乱用だけではなく戦術面での口出しすら存在した。

f:id:nya137:20171109173026j:plain

 

2017年は群馬方面で色々とありましたが、この今井氏の私物化も甚だしく危うくJ3に降格するところでしたから、当時のストレスたるや本当に凄かった。「(不振の原因は)サンガが弱くなったのではなく周りが強くなったから」とか、嘘ばっかりつく人間は要らんのです。

(なお2年後により強大なストレスに悩まされる模様)

(というかこんなヤバイ事が起きていたのに大してネタにされない京都サンガの影の薄さったら一体)

(あ、ちなみに和田監督についてですが、言ってることはまともな割に実現するための戦術と落とし込み能力に欠けていたので『バドゥよりマシ』程度の監督でしかなかったですね。成績はバドゥ以下でしたけど。なんであれでS級ライセンス取れるんだか…)

 

このような事態に稲盛名誉会長が激怒し、和田監督は途中解任。今井も異例のシーズン中での辞任という形でクラブを去りました。京セラフィロソフィーの反する人間は粛清されて当然。

シーズン後のサポーターカンファレンス議事録には報道が事実であったことを認める悲しいやり取りが残された。

(質問)先ほど強化部主体で取りたい選手が一人もいなかったとありました、選手を先に決めて後で監督を決めたと言っていたが、じゃあ誰が主導で今季は選手を取ってきたのか

(山中)本来主導するべきじゃない人間が主導した。

2015年にもなってこのような前時代的な崩壊の仕方をするなんて、一体どんなガバナンスなんだか。Jリーグクラブは社会の公器ですよまったく。

 

素人が作りあげ、保身の為に犠牲となったチームは、前年の9位から大きく順位を下げて17位フィニッシュ。「頼むからJ2にだけは残ってくれ *6」という切ない願いこそはなんとか叶いましたが、クラブ史上最低順位をまたもや更新。

J2 5年目も昇格に失敗したダメージは大きく、J2 1年目より主力として育った世代別代表級の育成組織出身選手がJ1有力クラブへ多数流出 *7。日本代表や海外移籍といった個人の夢を含め、限りあるプロサッカー人生の中で有望な選手が23歳を過ぎてなおJ2にいることはマイナスでしかないでしょう。現在日本代表に選ばれている選手の大半は23歳までにJ1クラブの主力ないし海外クラブにその価値を見出され旅立っていった選手ばかりです。「サンガがJ1にいれば間違いなく彼らはここにいた」と育成・強化に携わってきた本田将也 育成部長が語るように、サンガがJ1にいれば引き留められたでしょう。小学生からサンガで育った駒井善成が「日本代表になる目標があり、代表選手が多くいる中で自分をたたき上げたいと思った。京都でJ1を経験するのも魅力的だが、年齢も考えた」と吐露するまでに至ったことほど悲しいことはありません。

つまり、若手主力選手の流出がなくとも17位からの立て直しは急務かつ難題であり、育成型クラブの実現、そして16年シーズンへ向けて(良い意味での)ドラスティックな変化が求められることとなりました。

 

 

蓄積されたピッチ外のダメージ

また、若手の流出等チーム強化面でのダメージだけならまだしも、今井体制では予算面での見えないダメージも大きかったです。今井体制ではチーム人件費に代表される支出を抑えることで純利益を確保し、債務超過寸前であったクラブを数字上立て直すことはできました。

しかし、肝心の収入を増加させる点については全く手を打てておらず、更に15年は成績の低迷とタダ券バラマキに、ベテラン選手獲得や仲介人頼みの補強で人件費が膨らみ、更には人気の若手選手流出と単年そして今に至るまでの収入支出が狂いに狂わされました。幸いにも、15年度は奥川のオーストリア移籍に伴う約2億円もの移籍金で黒字キープ&増収(前期比)を果たしましたが、赤字を積み上げた2010年以前とはまた種類の異なる、されど大きい負の遺産が残されました。

結果、Jリーグ全体では基本的にどのクラブも経営規模が拡大しているにも関わらず、サンガは極少数の規模縮小組に。球団側が選手の保有権を持っていて移籍がしづらいプロ野球と異なり、サッカーは完全なマネーゲームである。金がなければ良い監督や良い選手をよそから引っ張ったりすることなどできません。

だからこそ育成に力をいれていたのに、主力に定着したところをJ1のお金持ちに買われていった――

f:id:nya137:20171109160907p:plain

(赤字=営業収益が2015年度>2005年度 水色マス=J1所属)

 

 

このような今井氏のリアルサカつくのダメージで八方ふさがりの状態となった中、J1昇格とクラブ経営の改善の二兎を追うためにサンガが選んだ手段とは……?

それは「赤字を計上してでも補強」というチーム強化への先行投資で"勝ち組"へ転じようというものでした。

  

次回は15年オフの立て直し~躍進の2016年シーズンについて振り返る予定です。

 

 

 

 

 

 

*1:監督夫人がチーム始動時からメンタルトレーニングや食事指導に介入したことも、選手の不信感を増幅させた。クラブ側はやめるよう要請したが、監督は反発

*2:祖母井秀隆ゼネラルマネージャーが、今シーズン(2014)をもちまして、GM職を辞任することとなりましたのでお知らせいたします。なお、同氏は2015シーズンより新設される「育成部・普及部アドバイザー」に就任し、今後もクラブの業務には携わっていきます。また、細川浩三強化部統括、高間武強化部テクニカルディレクターも今シーズンをもちまして、退任することとなりましたのであわせてお知らせいたします。

*3:京都新聞2015年7月11日 昨季途中、今井社長はタイに赴き、和田氏に直接、監督就任を要請している。一体、現場の強化はだれが担い、責任を負うのか

*4:スポニチ2015年8月6日 監督人事権を持つ今井社長は和田前監督が4月に辞任の意向を提出した際も“却下”

*5:スポニチ2015年7月9日 指揮官は“辞任”の意向があるが、監督人事決定権を持つ今井社長が承諾しないという

*6:京都サポーター、異例のJ2残留を懇願

*7:ドメサカブログ 若手選手の移籍が続く京都サンガ、昨季後半戦ポスターのメンバーがついに…

京都スタジアム(仮)主体工事事業者が竹中工務店JVに決定

10月30日、京都スタジアム(仮)主体工事の入札結果が府のHPで公開された。

 

先日の記事では2日後には出るだろうと予想したが、当日に出ず、翌日翌々日が土日だった為に公表されたのは月曜日であった。

 

 

落札に成功したのは竹中工務店と京都の建築会社である公成建設・長村組の3社によるJV。落札額は100億4400万円(税込)。

勘違いされている方も多いようだが、今回の入札はあくまでスタジアム本体のみの入札。電気・機械設備工事(照明とか太陽光発電とかガス設備とか)の入札は別途行われている。なので93億や100億で建つのではなく、最終的には120~125億円(用地取得費別)程度に収まる見込みである。

それでも、日産スタジアムのH29年度改修費83億円+年間の収支赤字額5億×8年=123億円とおよそ同額。もちろん京都スタジアムにも維持費がかかる訳だがあのような誰も得しないスタジアムをありがたがって維持し続けるのは馬鹿な話である。新国立もできるのに。

 

 

話が脱線してしまった。

今回落札したJVの代表者である竹中工務店といえば、南長野運動公園総合球技場(以下Uスタ)と市立吹田サッカースタジアムでの素晴らしい設計と施工でサッカーファンのみならず広く注目を浴びたのが記憶に新しい。

ただ、これも勘違いしている人もいるようだが、竹中は今回の計画に対し設計段階で関与はしていない。吹田では設計と施工を自社で一貫して扱い、南長野では設計・施工共にJVを組んでいたが、今回は上物を建てるだけの話である。

それでも、今回の京都スタジアムでは環境保全対策の1つにプレキャスト工法を活用したコンクリート打設量の減少を定めており、南長野と吹田にてPC工法でコスト削減を実現した竹中だからこそ入札に成功したと言えるのかもしれない。

f:id:nya137:20171031213044j:plain

f:id:nya137:20171031213138j:plain

 

 

京都スタジアム(仮)実施設計を担当したのは竹中とJVを組んだ東畑建築事務所であり、見た目は市立吹田に似ているのに担当は南長野ラインというのもいささか面白い。

今後は11月9日に電気・機械設備の開札がそれぞれ行われ、12月議会に工事契約締結議案が提出予定。工事については、2018年1月中の着工および2019年12月28日までの竣工予定となっている

 

 

 

スケジュール(2017年9月末時点)

 

スタジアム関連のスケジュールメモ。

 

 

PFI導入】

PFI導入に関する調査がH29年度3月末→延期してH29年度9月末期限で取りまとめ予定。調査結果次第では次のステップ、計画策定や運営者の公募に入ってくる。

(※2017/11/16追記 京都府に問い合わせたところ、履行期限を延長して年内取りまとめ予定だそうです。本記事最下部の工程表については修正いたしません。)

 

 

【着工関連】

本体工事の入札と開札はそれぞれ10月23日~24日&10月27日なので、遅くとも翌28日には施工業者がわかる。

府議会9月定例会での担当者答弁によると、12月議会にて業者との契約締結議案を提出予定とのこと。予定だと12月19日に議決予定。(※補正予算の議決日は議会閉会日が通例。一応採決日を確認しておくとよい)

業者は締結の翌日から2018年2月1日までに日にちを決めて工事に着手する事になっている。前回の予算計上時と異なり、第三者委員会と専門家会議の両者から着工OKと出ているので着工時期がズレることはまずない(※あくまで予定)。

それと起工式。サポーターなどからの寄付金で資金調達を行った市立吹田サッカースタジアムではサポーターも参加で行われたが、起工式に参加できる可能性は低い。寄付金調達で府民負担(結局寄付者の大半は府民だろうが)を減らすつもりとの報道もあったので、「機運を高める為に事前予約性で参加させてみては」とか言ったら万が一はあるかもしれない。

 

【地域未来投資促進法関連】

「同意日からH34年年度末日まで」とあるので、9月末から既に開始した事になっており、2023年3月末まで続く。

 

環境保全対策】

アユモドキ保全も含めた環境への配慮は当然ながら今後(着工・竣工後)も続く。

 

 

とりあえず、(PFI導入可能性の結果はまだ出てこないかもしれないけれど)99.9%施工業者がどこに決まったかは10月末~11月1日頃に出てくるので、それを楽しみにクソサッカーを乗り越えるほかない。以上

 (※2017/11/16追記再掲 京都府に問い合わせたところ、PFI導入~に関しては履行期限を延長し、年内取りまとめ予定だそうです。下の工程表については修正いたしません。)

f:id:nya137:20171010031855p:plain

 

 

京都スタジアム(仮)で地域活性化 ~地域未来投資促進法によるスタジアム・アリーナ計画支援のモデルケースへ~

 

京都スタジアム(仮)は我が国の歴史上もっとも多くの行政機関と絡みのあるスタジアムと言っても過言ではないくらい数か月に一回定期であ~れこれ出てくる出てくる。

 

これまでにもtoto助成が決まった点等を当ブログにまとめてきましたが、また新たな動きがありました。それが「今年法改正された『地域未来投資促進法』に基づいた亀岡市の計画が支援対象として認められた」というもの。

 

 

 

 ●これまでのおさらい

まずおさらい。これまで(前回ブログ↑を書いた2017年6月時点)に京都スタジアムに関係する各省庁などからの補助金や支援と言えば

①旧予定地の都市公園取得費用に対する社会資本整備総合交付金

②スタジアム本体の建設費に対するスポーツくじ助成金(30億円)

京都スタジアム(仮)運営権PFI事業導入可能性調査への内閣府からの支援

文教施設における公共施設等運営権制度を活用したPFI事業に関する先導的開発事業に指定

 

があり、そもそもアユモドキ等の件で環境省と絡みがあるし、経済産業省スポーツ庁とも絡みがあるし、総務省とも絡みがあるし…

そしてスマートスタジアム事業の公表後に初めて設計・着工するスタジアムであるし(J1本拠地ではないけど…)、我々は他都市にとって参考になるような、市立吹田とはまた違ったモデルケースとならねばならぬ存在なのです。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/miraitoshikaigi/ppp_dai5/siryou3.pdf

f:id:nya137:20171005222041p:plain

 

(だから、ファーストペンギンである我々がコケれば非常に大きなマイナス効果が生まれるし、J1には上がれなくとも"まともなクラブ運営"だけはしなければならないのに……!!! 違うだろー!この〇〇ー!!!)

 

 

 

●地域未来投資促進法

さて、話は本題の地域未来投資促進法

この地域未来投資促進法は『企業立地の促進等による地域における産業集積の形成及び活性化に関する法律』という元々製造業なんか向けの法律だったのを、門戸を広げて地域を活性化させる産業へ国が支援をしていくよ!規制緩和していくよ!という法律に改正したもの。ざっくり、アベノミクスの一貫ですね。

 

この法律の事を指していたのか、スポーツ庁などの事業をひっくるめての発言だったのかは当人にしかわかりませんが、安倍首相は今年の未来投資会議で「スタジアム・アリーナをスポーツ観戦だけでなく、市民スポーツ大会、コンサート、物産展などが開催され多様な世代が集う地域の交流拠点に生まれ変わらせてまいります。その際、民間の投資や知恵を呼び込み魅力を高める方針で取り組んでいきたいと思います。自治体や地元企業を巻き込んだ地域ぐるみの取組を後押しします。そのため法律、予算や税制を総動員し、こうした拠点を2025年までに20か所整備します」とスタジアム・アリーナ整備に関係する法整備について言及していました。

 

そして今年度の国会で法案が無事に通り「観光・スポーツ・文化・まちづくり関連」も支援対象になり、そして法改正以降第一陣の亀岡市の基本計画が国から支援を受けることになったのです。わーい。

http://www.meti.go.jp/press/2017/09/20170929001/20170929001-3.pdf

 

 

で、この地域未来投資促進法の存在や可決自体はスタジアム問題やスポーツビジネスに明るい人なら認知していた事でしょうが、いち早く認知していた方も、「いったいどのようにスタジアム・アリーナ改革へ支援が行われるのか?」がいまいち掴み切れなかったのではないでしょうか?

f:id:nya137:20171006213852p:plain

 

(一応ミクスタのIoT化とゴールデンキングスの新アリーナに関連した話がスポーツ未来開拓会議に出てたりはしたのですが、法改正は今年の話だったので支援の形もあまり見えず)

 

ですが今回、第1例目となる亀岡市の計画が選ばれた事でその一端が見えてきました。

 

 

 

亀岡市の掲げるスタジアムを活用したまちづくり

亀岡市が国に提出し、支援の同意を得られた基本計画がこれです。

http://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/kihonkeikaku/kyotofu-kameokashi.pdf

 

全部解説するのは骨が折れるので5点のみピックアップ。

 

 

①対象地

絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律に規定する生息地等保護区、及び京都府絶滅のおそれのある野生生物の保全に関する条例に規定する生息地等保全地区は、本促進区域には存在しない

国の定めたガイドラインに抵触しないほか、保津川公園やスタジアム予定地を含む駅北開発地区が直接的なアユモドキ生息地ではない事を改めて国が示した形になります。

 

②目指すべき将来像

促進区域の中でも、特に図1に示した「亀岡駅土地区画整理事業」エリア、「京都・亀岡保津川公園」エリア、桂川改修で生じた高水敷等の「保津川かわまちづくり計画」エリア等において、これらのエリアの地域特性が最大限発揮されるよう基盤づくりを進める。まず、土地区画整理事業地内の京都スタジアムにおいては、国際試合や日本プロサッカーリーグ等によるスポーツ興行の開催や年間を通じた多様なイベントの開催による交流人口の拡大に取り組み、さらに、複合機能化したスタジアムと土地区画整理事業地に誘致される商業施設との連携や双方向の多元的な利用を図っていく

また、新しいまちの機能を高度化するためICT化に取り組み、それにより得られたビッグデータを公開し、そのデータを活用した新たな観光ビジネス等の創出で好循環を目指す

 スタジアムを核に街づくりを行い、その中でICT化を進める事でスマートシティ・スマートスタジアム化を図っていくという所でしょう。(後ほど詳細が出てくるのでここでは短めに)

 

 ③支援の形態

「(駅北地区に誘致するホテルや商業施設の為)不動産取得税、固定資産税の減免措置の創設

「地方創生推進交付金を活用した桂川沿岸の整備やアユモドキ生息環境の保全」「スタジアムや土地区画整理事業地等の機能高度化を図るために情報通信技術を活用し、スマートシティ・コンパクトシティを目指すまちづくりを進めるとともに、森の京都地域や京都市内観光のゲートウェイ機能を強化する取り組みも併せて推進し、促進区域全体で持続的な民間ビジネスが展開・創出される基盤づくりを実施する

京都スタジアム来場者や観光客の消費行動、嵯峨野観光鉄道トロッコ列車保津川下りを訪れる観光客の行動パターン、土地区画整理事業地でのスマートなまちづくりにより得られる様々な情報(ビックデータ)について、インターネットなど、民間企業が利用しやすい環境のもと公開を進める

事業者からの事業環境整備の提案への対応

 という事で、サンガ的にはビッグデータを活用してスタジアム来場者の行動を認知・分析できるのが一番大きそう。指定管理を取れた時のビジネスにも活かせるでしょうから。

IoT化・ICT化とスタジアム運営の関係については、1つは海外のスマートスタジアム事例国内のスマートスタジアム事例。書籍の「プロスポーツビジネス 私たちの成功事例」の元SAPジャパン馬場さんのお話なんかを見てもらうと活用のイメージがつくかと思います。IT技術関連は全くわからないので、馬場さんの逆CRM的お話は非常にインパクトがありました

プロスポーツビジネス 私たちの成功事例

プロスポーツビジネス 私たちの成功事例

 

 

それから亀岡だけでなく、トロッコ列車保津川下りの関係性から嵐山一帯なんかともデータの活用などで組めると良いのですが

http://www.soumu.go.jp/main_content/000493128.pdf

 

④地域経済牽引支援機関が行う支援の事業の内容及び実施方法

地域一体となった地域経済牽引事業の促進に当たっては、京都府が設置する公益財団法人京都産業 21、亀岡商工会議所、地域大学としての京都学園大学、地元金融機関である京都銀行等、情報通信技術(ICT)を最大限活用してスマートシティづくりを目的とする連携・協力協定を締結しているシスコシステムズ合同会社など、地域等に存在する支援機関が相互に連携し、その支援の効果を最大限発揮する必要がある。このため、京都府及び亀岡市では、平成30年度を目途に、これらの支援機関の大多数を含んだ連携支援計画の作成を進めることを目標として、関係支援機関の理解醸成に努める

行政(国)ではなく民間なりの機関とやっていく内容ですね。シスコは市立吹田のサイネージでPanasonicと一緒にやってる企業です。ただ、ここで頭が痛いのが、Jリーグがスマートスタジアム事業で手を組んでいるのがNTTグループ。サンガのスポンサーがKDDI。という事でこのあたりの調整をどうするのか?

個人的にはできるだけスポンサー企業をはじめとする京都企業に参加してもらいたいですし、J1ではないですがスマートスタジアム化をなんとかお願いしたいところ。

 

PDCA体制

毎年5月に有識者会議(地域経済牽引事業促進協議会(仮称))を開催し、基本計画や承認された地域経済牽引事業計画に関するレビューを実施し、効果の検証を行い、その結果及び基本計画や京都府及び亀岡市が実施する事業の見直し等の対応について府や市のホームページ等で公表

戦略・ビジョンに対する実行度や達成度をしっかり精査していく体制づくり。

スタジアムは建ててからが本番です。(広義の)プロフィットセンターとなれるように、施設単体では赤字でも税収や経済効果で利益・公益を生む。あるいは建てたあとも施設の改善・拡充、サービスの通じて単体で収益を生む。ホームタウンの為に、後進の為に、なにより私達市民の為に、こうしたマネジメントは大事です。

 

 

 

●今後のモデルケースに

という事で、(繰り返しになりますが)京都スタジアム(仮)を核とした亀岡市の当計画が地域未来投資促進法を活用したスタジアム計画支援の第一例目になる訳ですが、一言で言えば「スタジアム計画成功およびスタジアムを核としたまちづくり成功の為の支援体制づくり」ですね。

今後のケースでもこのような活用例が主流になる可能性は高いと思います。

 

社会資本整備総合交付金などのようなスタジアム本体建設の為の財源の柱となるような補助金や資金調達方法も欲しいところですが、スタジアム整備は周辺の都市開発と連携しなければ成功できない難しい事業。

その点、今回の亀岡市の基本計画は昨年公表されたスタジアム・アリーナ改革指針の内容に則り、現在不足しているハード・ソフトを整備するような内容。スタジアム本体はもちろん、京都サンガの経営的にも効果をもたらしそうで、(府民そしてサポーターとして)非常に期待の持てる計画です。

スタジアム・アリーナ改革指針の公表について:スポーツ庁

 

また、スタジアム用地の買収などで財政的に支出額の大きくなった亀岡市にとっては、保全努力義務を果たさなければならない中において補助金を得たり、ソーシャルビジネス的なやり方でアユモドキを保全できるのも大きいのではないでしょうか。

亀岡市の掲げる「スタジアム計画と絡めた攻めの保全」に一致するものであり、アユモドキの持続的な保全も京都スタジアム(仮)計画の成否基準の1つと言えますので、こうしたエリアマネジメントも非常に重要です。

 

 

スタジアムと使用するスポーツクラブが持っているハブ機能を働かせて、顧客満足度を総合的に高める事がスタジアム計画成功へのカギ。

今回、ICT化やビッグデータの活用といった一歩進んだ話も出てきた事で、ますます新スタジアムが楽しみになってきました。

 

 

 

 

※なお、札幌市・大阪市大分市の計画において、亀岡市ほどではないもののスポーツチームの活用・スタジアムの活用について明記されています。札幌、セレッソ、大分サポーターの皆さんも軽く目を通してみては

同意基本計画一覧(METI/経済産業省)

 

京都サンガと世代別日本代表の世界大会+α

 

U17W杯が今週末開幕という事で簡単なメモ。

FIFA U-17 ワールドカップインド2017 | JFA|公益財団法人日本サッカー協会

 

 

京都サンガの選手として世界大会に出場した選手は過去に10名。

福岡と上月が11人目・12人目。

f:id:nya137:20171003180904p:plain

 

アカデミー出身者という観点で見ると7人目・8人目になる。

f:id:nya137:20171003181927p:plain

 

なお、W杯日本代表にサンガ所属で選出された選手は未だ0である。

 

 

ちなみに、世代別代表とは全く関係ないがACLに出場したアカデミー出身者だとこうなる

f:id:nya137:20171003184459p:plain

 

西京極陸上競技場に京都スタジアムを重ねてみた

 

今回は雑なお遊びです。

 

 

突然ですが、「吹田スタジアム最後列が日産スタジアム最前列内に収まるwww」みたいな画像を見た事ある方は多いのではないだろうか?

 

これのこと。(でかい)

f:id:naoki_ks13_7:20170829190011j:plain

 

まあ実際にはここまですっぽりとは入らなさそうなのですが。190mと200mではね。

http://www.jssc-test.net/symposium/pdf/fy2016gyouseki4.pdf

f:id:naoki_ks13_7:20170829215740p:plain

f:id:naoki_ks13_7:20170830021627p:plain

 

 

さてここからが本題。

この比較画像でコンパクトさを強調されている4万人収容の吹田と異なり、京都サンガの新本拠地となる京都スタジアム(仮)は収容2万1500人で大きさは180m×143m(公式にわかる範囲内)である。

https://gprime-ebid.jp/26000/CALS/PPI_P/DownLoad/20170814541782017081415104107%20sekkeizu.pdf

 

という事は、日産スタジアムなら縦は問題なく入る大きさ。ただ、"横酷"と比べても実感が沸かないので西京極と比べて見てみよう!というのが今回のお遊びである。

f:id:naoki_ks13_7:20170829223832j:plain

ちなみにGoogle先生の精度はハーフウェイライン68mをこのように測れる優れもの。

f:id:naoki_ks13_7:20170830022423p:plain

 

 

 

 

 

 

では実際に測ってみる。

まず南に90m。

f:id:naoki_ks13_7:20170829223655p:plain

 

北に90m。わかっていた事だが南北のサイドスタンドに関しては陸上トラック内にすっぽり収まるようだ。

f:id:naoki_ks13_7:20170829223753p:plain

 

次いで横幅143m。

f:id:naoki_ks13_7:20170830022739p:plain

 

 

で、この基準点に合わせてスタジアムを置くと…こうなる。(正確無比ではないよ。念の為)

フットボールスタジアムのコンパクトさを改めて感じる結果となった。今回はこれだけ。

f:id:naoki_ks13_7:20170830024056p:plain

 

 

 

 

 

おまけ

真円状のエディオンスタジアム広島なら「ベストアメニティスタジアムぐらいでも入るかも…」と思ってやってみた結果。鳥栖スタジアムは縦約190×横約125である(1996年発行"日本のサッカースタジアム-今日そして明日-"によると189.7×126.5)

http://www.city.hiroshima.lg.jp/www/contents/1394685708434/index.html

 

f:id:naoki_ks13_7:20170830095553p:plain

f:id:naoki_ks13_7:20170830095624p:plain

f:id:naoki_ks13_7:20170830100006p:plain

f:id:naoki_ks13_7:20170830100014p:plain

 

 

 

 

鹿児島サッカースタジアム問題 経緯まとめ

 

 

現在計画が進められている鹿児島サッカースタジアムについて、その歴史を紐解くと共に今後の経過を見守る為のまとめ。

なおネット上で調べられる情報をまとめただけなので、鹿児島在住の方がより深く掘ってwikiにでもまとめてくれるとありがたい。

 

 

f:id:naoki_ks13_7:20170827190054j:plain

引用元:鹿児島ユナイテッドFCホームゲーム!6/26 17時キックオフ!: アラサー女子が鹿児島の魅力を伝えるブログ

 

 

 

●1.5万人~3万人収容専用球技場整備計画

1990年2月26日

県が「国際的スポーツイベントの開催が可能なスポーツ中核施設の整備」の記述を含む計画素案(都市計画?)を公表

1992年7月 2002年サッカーW杯開催都市立候補断念

1993年7月頃

鹿児島市が計画している『ふれあいスポーツ』の場所が確定し、サッカー場を"大手ゼネコンF工業"と"N株式会社"が整備するという情報が一部で流れる?(※94年3月7日鹿児島市議会より)

1994年1月24日

鹿児島市が中山地区にJリーグ開催可能な専用球技場整備を発表

1994年3月7日 鹿児島市平成6年第1回定例会

平山たかし議員「ふれあいスポーツランドの建設については、昨年七月、中山町に既に決定をし、土地買収と造成は鹿児島市在住のI氏とNセンターが、大手ゼネコンのF工業とN株式会社がサッカー場などの上物をつくるという情報が入り、その後も土地売り渡し承諾書の存在、開発に関する同意書の徴収、既に関係業者の間ではサッカー場などの図面もでき上がっているというように、まさに黒い霧の中で何かがうごめいている状況が続いております。このような中で、市当局は一月二十四日に中山町にJリーグ開催可能のサッカー場をつくることを発表しました

鹿児島市企画部長「昨年の十一月二日付で開発業者から内容証明郵便が出されましたので、十一月二十五日付で次のように回答してございます。回答内容といたしましては、本市としては、専用球技場を中心とするふれあいスポーツランド建設事業を計画しているところであるが、現在、適地の選定を各面から検討している段階である。この種の事業を進めるに当たっては、土地は地権者から市が直接買うこと、造成も市が直接行うこと、施設の建設も市が直接行うこととしている。したがって、ふれあいスポーツランド建設についてもこの原則を踏まえ進めてまいりたいということで回答をいたしてございます。次に、計画の図面と業者の図面が一致しているということでございますが、市の計画と開発業者の計画とは全く別のもので、関係はございません。また、市の情報は一切漏れていないと考えております。

93~94年時点では県・市・民間の3つの専用球技場計画が存在していた事に

1994年3月10日 鹿児島県議会平成6年第1回定例会

県知事「スポーツ中核施設につきましては、これまで他県の事例調査とか適地調査を実施するなどいろいろと検討を進めてきたわけでございます。その過程で、今もお示しがございましたように、鹿児島市においても専用球技場などを建設したいという意向を示されたわけでございますので、同じようなものを二重に建設するのはどうかというようなことで、市との調整を図る必要性から、市の動向を見守っていたために予定どおりの建設地の決定ができなかったわけでございます。鹿児島市の計画につきましては、いろいろ検討されておるようでございますが、まだ決定には至っていないということでございまして、公式な話もございませんし、詳しい内容については私も承知をしておりません

1994年3月11日 鹿児島県議会平成6年第1回定例会

県知事「市の考え方を把握した上で最も合理的な進め方をしたいと、そういうことで、いましばらくお待ちを願いたいと、こういうことを申し上げておるのでございまして、気持ちの上では、もう熟しておるわけでございます、私の方も。いかに具体的に進めるかというところで、もう具体的な問題として今調整に入っておると、そういう気持ちをひとつ御理解を願いたいと思うのでございます

この時点ではまだ県と市にそれぞれ専用球技場整備構想があり、県と市が調整中

1994年6月22日 鹿児島市

市が鹿児島市中山町の土地を2万人~3万人規模の専用球技場を含む『ふれあいスポーツランド』の計画地と発表

 

同日 平成6年鹿児島市議会第2回定例会

平山たかし議員「経過を見てみますと、鹿児島市が候補地を発表する前に不動産業者が動き、土地の買収はこの業者、土地造成はあの業者、上物を建設をするのはゼネコンのF工業、その間の資金を出すのはこの金融機関、こういうような話し合いが持たれ、しかもその話し合いは、関係する地域の住民多数を集めての説明会へと広がってまいりました。そのうちに、サッカー場の工事はF工業とフリューゲルスと関係のあるS工業が共同で行うと、こういうような情報まで飛び交うようになりました。そして現実に、不動産業者などが土地所有者から土地売渡承諾書をとったり、スポーツランド開発に関する同意書を集めたりして、鹿児島市にこの件に関する一連の権利を認めるよう申し入れを行うという事態にまで進んでまいりました。このような問題点を含んだまま建設計画が進むのを、私ども認めるわけにいかないのであります。

真偽はともかく佐藤工業の名前が登場。(一方のF工業、フジタならベルマーレの名が出てくるはずだが…フジタは当時平塚や等々力などのグラウンドを施工)

1994年6月27日 平成6年鹿児島県議会第2回定例会

知事「鹿児島市においてもふれあいスポーツランドに専用球技場を建設したいという意向が示されておりましたので、同じような施設を二重に建設するのもどうかということもございまして、市と調整を行って建設の方向を決めたい、そういうことで今日まで市の動向を見守ってきたわけでございます。私どもが思っていた市の意向よりも早く決定がされたような感じがいたしました。まあそれは大変結構なことであったわけでございますが、今後市の用地確保のめどがつき次第、かねて申し上げておりますスポーツ中核施設の建設について具体的な調整をし、そして具体的な進め方を考えていきたい

県と市の計画が一本化し、協調して鹿児島市中山町の『ふれあいスポーツランド』に整備する流れへ

1994年9月20日 平成6年鹿児島市議会第3回定例会

市長「また国際試合やJリーグの試合が開催可能な本格的専用球技場を建設したいと考えまして、その建設に向けて取り組みを進めておるところでございます。一方また県におきましても国際的スポーツイベントの開催が可能な多目的球技施設の建設を計画をされておることは御案内のとおりでございます。県とされましては、鹿児島市が専用球技場をつくるとすれば同じような施設を二重に建設するのはいかがなものかということで、建設場所等を調整をして一緒になって進めたいと、こういう意向を持っておられます。私といたしましても、これは一つの方法であり今後県とも十分な調整を図りながら進めてまいりたいと考えております。正式には用地確保のめどがついた段階で具体的な協議を進めていくことになろうかと思います。なお、土地代などの取り扱いについても今後これを具体的に詰めていかなければならない課題であると、このように認識をいたしております。

市長「ふれあいスポーツランドに建設をするサッカー場は、市民のサッカーへの関心の高さを背景に市民レベルでの試合を中心にJリーグや国際試合にも対応できるものにしたいと考えております。建設省が示しました基準の中でA二にランクされておるものが収容能力一万五千人から三万人で、配置の考え方として都道府県ごとにおおむね一カ所程度ということでございますので、これが一つの目安になるのではないかと、そういう気持ちを持っております

1995年3月8日 平成7年鹿児島市議会第1回定例会

平山議員「専用球技場の基本計画は県がつくり建設も県が行うということでありますが、他の都市を調査をしての問題点は、その専用球技場の管理運営はどこが行うかという問題であります。そのことについて整理はできたのか

1995年9月27日 平成7年鹿児島県議会第3回定例会

知事「多目的球技施設につきましては、お示しのように、鹿児島市が整備するふれあいスポーツランド予定地内に県が建設をするということにしておりまして、鹿児島市ともいろいろ話をしております。現在鹿児島市におきまして、県や学識経験者等で構成する、県も入ってという意味でございます、基本構想等検討委員会を設置をして、ふれあいスポーツランド全体の基本構想策定作業を進めておられるわけであります。ただ、今も申し上げましたように、県も参加しておりますので、その中でいろいろ意見を申し上げながら、そしてまた買収がこれからであるもんですから、具体的なことはなかなかまだ決め切らないわけでありますけれども、そういう、そこでできた基本構想を踏まえて、できれば本年度内に基本計画を県として策定をしたいと、こういうふうに思っております。この施設は、かねて申し上げておりますように、三万人程度の収容規模を有するものと考えておるわけでございますが、施設内容につきましては、今後、関係団体等の意見を幅広くお聞きしながら、国際試合も十分開催できる立派な施設にしたいと考えております

1996年3月7日 平成8年鹿児島県議会第1回定例会

さらにサッカー等の専用球技場を整備することなどによりまして、このチームを支援してまいりたいと考えております。
 次に、スポーツ中核施設の整備につきましては、多目的球技施設の整備に現在取り組んでおりまして、鹿児島市の用地取得等の状況にもよりますが、現在のところは、平成十二年度には完成させたいと考えております。

県と市が協力して鹿児島市中山町のふれあいスポーツランドに専用球技場を整備する流れが確立済

※=ヴォルカ鹿児島

1996年10月07日 平成8年鹿児島県議会 文教商工労働委員会

国際的なスポーツイベントも開催可能なスポーツ中核施設として検討を進めてまいりました多目的球技施設につきましては、先般、約三万人の収容能力を有し、屋根付きのメインスタンドとバックスタンド、映像も可能な大型電光掲示盤、競技や運営のための諸室を備えましたメインスタジアムを整備いたしますとともに、スタジアム内に本県スポーツ史の資料等を展示するスポーツミュージアムを設けることなどを内容といたしました基本計画を策定したところでございます。本年度は、この基本計画を踏まえまして基本設計を行う」

2001年12月10日 平成13年鹿児島県議会第4回定例会(県知事発言)

県政の懸案事項であります多目的球技施設につきましては、これまで長年検討をいたしてまいりましたけれども、過去におきます観客動員数、これに要するスタジアム建設に要する経費並びに財政の極めて厳しい環境、こういうことを総合的に考えまして、九月十八日の県議会の財政改革プログラム骨子における多目的球技施設の取り扱いにつきましては、代表質問に対しまして「凍結せざるを得ないと判断している」と申し上げたところであります

※その後、「スポーツをする」事を主目的とした収容人数1000人規模の県立サッカー・ラグビー場を建設(ベンチシート720人・芝生席2300人)

 

 

 

鹿児島ユナイテッドの本拠地となる専用球技場計画経緯

2013年

ヴォルカ鹿児島FC KAGOSHIMAの統合が決定。「FC KAGOSHIMAが統合して名前を変えた」事になっているので、以前の専用球技場計画とも一応絡みのあったヴォルカはここで歴史に幕を下ろすことに

2014年

鹿児島ユナイテッドJFLに参戦

2015年3月10日 平成27年鹿児島市議会第1回定例会(副市長発言)

ホームスタジアムにつきましては、当面、J3に向け、県において対応されるものと考えております

現在、サッカー専用スタジアムの整備計画等はないところでございます

2015年11月17日

Jリーグ理事会にて鹿児島ユナイテッドのJ入会が認められる

2015年12月7日 平成27年度鹿児島県議会第4回定例会

今年度は、クラブを初め、鹿児島市や県サッカー協会等とともに実行委員会を設置し

2015年12月9日 平成27年鹿児島市議会第4回定例会 (森市長発言)

J2以上に対応するスタジアムの整備につきましては、さまざまな課題がございますが、本市としても県などと連携しながら今後検討してまいりたいと考えております

2016年3月1日 平成28年鹿児島市議会第1回定例会

井上剛議員が鹿児島中央駅西口の県工業試験場跡地および民間所有地も含む市の公園用地全体をスタジアム建設候補地としてどうか見解を質問

2016年6月10日 平成28年度鹿児島県議会第2回定例会

スタジアムに関して市と協議しておらず、市から打診もないと発言

2016年6月22日 平成28年鹿児島市議会第2回定例会

田中良一議員が鹿児島駅中央駅西口一帯の土地についてスタジアム候補地としての見解を質問

市観光交流局長「今後、県や関係団体等と連携して場所等も含め各面から検討してまいりたいと考えております

2016年7月10日 鹿児島県知事選挙

三反園氏がサッカースタジアムや3万人規模ドーム球場の整備を公約に掲げ当選

2016年8月18日 県市意見交換会

サッカースタジアム整備にむけて県と市で協調していく事を確認

2016年9月28日

鹿児島ユナイテッドの申請したJ2クラブライセンスがスタジアム要件で不交付になり、この時点でJ2昇格が潰える。なおJ3ライセンスは取得

2016年10月16日

鹿児島ユナイテッドFCサポコミュニティが鹿児島に「新」スタジアム整備を要望する署名の募集開始

2016年10月28日

鹿児島市が県有地であるドルフィンポートへのスタジアム整備を検討していると報道

2016年11月27日 鹿児島市長選挙

現職の森博幸氏がサッカースタジアム整備を公約に掲げ再選

2016年12月16日

署名73863名分を森市長・三反園知事両名に提出

鹿児島に「新」スタジアム整備を要望する署名提出について » 鹿児島ユナイテッドFC オフィシャルサイト

2016年12月19日 県市意見交換会

三反園知事と森市長がスタジアムに関する協議会立ち上げで同意

平成28年12月27日(火曜日)市長定例記者会見|鹿児島市

 

同日 知事定例記者会見

「ただ、私といたしましては、ドルフィンポートの所は桜島を見る一番景観としては良い所かなと思っておりますし、仮にサッカー場を造った時に、何かあった時の避難施設になり得るかなと思っておりますので、場所的にはなかなか適さないのではないかなと私は思っております」

鹿児島県/平成28年12月19日定例知事記者会見

2017年3月27日 第1回サッカー等スタジアム整備検討委員会

H29年度内中に意見を取りまとめ、森市長に提言する事に

サッカーJ3・鹿児島ユナイテッドFCのホームとなる新スタジアム建設の検討協議会が27日、鹿児島市で初会合を開いた。

協議会の井上佳朗会長(鹿児島大特任教授)や、県サッカー協会の関係者ら11人が出席。現在、ホームスタジアムとして使われている鴨池陸上競技場が、鹿児島国体に向けた改修工事後もJ2ライセンスを満たさないことや、Jリーグの試合以外の使用状況などを確認した。

協議会は5月中旬、熊本市でJ1ライセンスを満たすロアッソ熊本(J2)のホームスタジアムを視察し、6月下旬に2回目の会合を開く予定。

2017年5月15日 サッカー等スタジアム整備検討委員会

2回目の会合を前にミクニワールド北九州スタジアムえがお健康スタジアムを視察

2017年6月27日 第2回サッカー等スタジアム整備検討委員会

新設のサッカースタジアム(=陸上機能を有しないスタジアム)の整備の必要があると意見が一致。

サッカーJ3・鹿児島ユナイテッドFCのホームとなる新スタジアム建設について話し合う第2回検討協議会(会長=井上佳朗・鹿児島大特任教授)が27日、鹿児島市役所で開かれ、専用スタジアムを新設することで一致した。今後、立地条件や施設概要などについて協議する。 この日はJリーグのスタジアム関連の担当者も出席し、国内外の状況を紹介。海外ではホテルや高齢者住宅、商業施設を併設し、スポーツ以外にも活用している例などを示した。ユナイテッドの徳重剛代表も出席し、J1昇格までのクラブライセンスの取得条件を説明。現在の県立鴨池陸上競技場の客席にはほとんど屋根がなく、3分の1以上に屋根があるという条件を満たさないことや、競技場の改修と新設は費用が同じ程度になることを示し、「経済効果も考えると、まちなかでの新設がクラブの意見」と述べた。

委員からは「試合と競合して陸上競技に使えない」という指摘のほか、「試合がない日をどうするかが課題」「まだまだ市民の支持が必要」などの意見が出たが、現在の競技場の改修を望む意見は出なかった。終了後、井上会長は「専用スタジアムの建設に異論は出なかった。市民の理解を得られるだけの建設理由が必要になる」と語った。

2017年6月29日 鹿児島県議会

ドルフィンポートを含む本港区活用調査についてスポーツ施設は検討対象としないと土木部長が発言

鹿児島本港区活用で答弁 スポーツ施設整備は検討せず

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

 

 同日の県議会一般質問で、宝来良治議員(自民)の質問に渡辺茂・土木部長が答弁した。県は来年2月をめどに複数の施設配置イメージを作成し、2018年度にグランドデザインを描く予定。

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

 

 同日の県議会一般質問で、宝来良治議員(自民)の質問に渡辺茂・土木部長が答弁した。県は来年2月をめどに複数の施設配置イメージを作成し、2018年度にグランドデザインを描く予定。

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

 

 同日の県議会一般質問で、宝来良治議員(自民)の質問に渡辺茂・土木部長が答弁した。県は来年2月をめどに複数の施設配置イメージを作成し、2018年度にグランドデザインを描く予定。

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

 

 同日の県議会一般質問で、宝来良治議員(自民)の質問に渡辺茂・土木部長が答弁した。県は来年2月をめどに複数の施設配置イメージを作成し、2018年度にグランドデザインを描く予定

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

 

 同日の県議会一般質問で、宝来良治議員(自民)の質問に渡辺茂・土木部長が答弁した。県は来年2月をめどに複数の施設配置イメージを作成し、2018年度にグランドデザインを描く予定。

鹿児島市のドルフィンポートを含む鹿児島本港区エリアの活用に向けた調査を巡り、県は28日、サッカースタジアムなどのスポーツ施設の整備は検討対象としない考えを示した。

https://mainichi.jp/articles/20170629/ddl/k46/010/292000c

2017年8月4日 市長定例記者会見

「サッカースタジアムについては、鹿児島市としては、28年度末に協議会を立ち上げて、今2回ほど協議をしていまして、具体的に言いますと、今度8月に幹事会まで開いて、最終的には協議会を開くというように、鹿児島市としては進んでいますが、県としては、まだ策定委員会の中で体育館を主にということで、なかなか取り組みの温度差があるように感じます」

平成29年8月4日(金曜日)市長定例記者会見|鹿児島市

2017年8月25日 第3回サッカー等スタジアム整備検討委員会

新しいサッカースタジアムについて話し合う協議会が25日、鹿児島市で開かれ、立地は「都心部」がふさわしいとまとまった。どんな場所が最適か話し合う前に県の担当者が「ドルフィンポートは考えていない」と発言し委員からは戸惑いの声もあがった。協議会は鹿児島市や県の担当者などが出席しサッカースタジアムの立地については議論した。県企画部の木場信人次長が「所有者の県としてはドルフィンポート敷地についてはサッカースタジアムの立地は考えていない」と発言。どんな場所が最適か話し合う前に飛び出した発言に委員からは「違和感がある」といった声も上がった。結局、集客性、収益性の面で「都心部」に作ることが望ましいとの結論に至った。協議会後、取材に対し木場次長は「今後、議論が無駄になる可能性がある。そういうことがないよう改めて県としての考えを表明した」と話した。次回は10月下旬に開かれる予定。

サッカースタジアム協議会「都心部が最適」 | NNNニュース

 

鹿児島市のサッカースタジアム整備について話し合う「サッカー等スタジアム整備検討協議会」の第3回会合が25日、鹿児島市役所であった。利便性の高さや地域経済の活性化が見込めるなどとして「中心市街地などを含む都心部での立地が望ましい」との意見をまとめた。委員長の井上佳朗・鹿児島大学特任教授は「稼働率を高めてランニングコストを抑え、収益性と公益性を兼ねた施設を目指したい」と話した。 このほか会合では、市が各種スポーツイベントやコンサートなど多目的に利用できる仕様を提案。これに対し、委員から「プロスポーツを最優先した営利目的の施設と定義づける必要がある」などの意見が出た。(毎日新聞地方版8月26日)

鹿児島市のサッカースタジアム整備について話し合う「サッカー等スタジアム整備検討協議会」の第3回会合が25日、鹿児島市役所であった。利便性の高さや地域経済の活性化が見込めるなどとして「中心市街地などを含む都心部での立地が望ましい」との意見をまとめた。

 

 委員長の井上佳朗・鹿児島大学特任教授は「稼働率を高めてランニングコストを抑え、収益性と公益性を兼ねた施設を目指したい」と話した。

 このほか会合では、市が各種スポーツイベントやコンサートなど多目的に利用できる仕様を提案。これに対し、委員から「プロスポーツを最優先した営利目的の施設と定義づける必要がある」などの意見が出た。

https://mainichi.jp/articles/20170826/ddl/k46/010/250000c

 

 

 

 

 

※資料

サッカースタジアムに関する議事録 - 鹿児島県議会議員しもづる隆央「ツルのヒトコエ」