+1 プラスワン

#蝗活 と観光振興

 

スタジアム建設計画が話題となる度に、スタジアム来訪客による経済効果を建設メリットの一つに挙げる人が居る。

カテゴリー関係なく、2千人ほどの県外からの来訪客が年20回(試合)分一定の消費活動をしたとしても…年間4万人。

地方都市なら確かに大きな効果と言えるかもしれないが、世界的観光都市に住んでいる身からすると、それだけでは弱いと常々思っていた。現にコロナ前の京都は年間8791万人もの観光客が世界中から訪れている。我々とは違う、”持たざるもの”の意見でしか無いと思っていた。

 

 

あれから2年。コロナ禍で京都の風景も様変わりした。

主要駅、市内中心部、そして観光スポットのあちこちで、耳障りなほどに飛び交った中国語・韓国語は一切聞こえない。

タピオカ屋から女子高生の列が消えて歩道が広く感じるようになったと同時に、食べ歩き目的の観光客で芋洗い状態だった錦市場も往来しやすくなった(歩かないけど)。

「これくらいが丁度いいね」なんて語る市民も居るし、同感なところもある。元々観光都市ではあったが、ここ10年くらいの変化は異常なものがあった為、公共交通機関の混雑やマナー違反等観光公害とも言うべき事象も多数見受けられ、市民感情も良いものでは無かった。

ただ、外資や東京資本の飲食店やレンタル着物業者だけでなく、純粋に京都で商いをしてきた人達へのダメージも大きい。ただでさえ右肩下がりの伝統産業が多かっただけに、先の見えないこのままでは益々深刻化してしまう。(そして京都市の財政は既に赤信号が点りつつある)

 

 

 

その点に於いて、母数は明らかに足りないかもしれないが安定したリピート客が見込めるのはJ1リーグの経済効果として良い部分かもしれない。

今も往来を躊躇う時期であることは間違いない。それでも浦和→磐田→FC東京と3チームを亀岡の地に迎えて、J2ではあり得ない数のアウェイサポーターに来場いただいた。

 

 

 

これは『試合観戦』という主たる動機が強いからこそ為せること。

あくまで観光が目的では無いからこそ、こんな時でも誘致できるという1つの強みかもしれない。もはや娯楽目的で来ているのではなく、ある種の義務感で僕達は足を運ぶ。

 

単純に人の数だけを考えたら、サッカーである必要性は無い。別に音楽ライブでも良い。

京都大作戦イナズマロックフェス。京滋が生んだ人材が、自分達のカルチャーを豊かにしようとするだけでなく、故郷に恩返しをしようと頑張っている。県外からの来場者数で比較して勝てるか?難しいだろう。

 

ではなくて、『新しい京都の魅力を伝える』でもよい。リピートが望める層だからこそ、府北部へのゲートウェイとして亀岡に新設されたスタジアムだからこそ、市内の手垢にまみれた観光スポット以外への人流を作っていく。

特産品の魅力を伝えることで、スポットの購買ではなくふるさと納税を促進するもよし。移住の推進もよし。今はご時世的に難しいが、分断が進んでしまったこの世の中だからこそ現実世界での『繋がり』の場を設けるもよし。

 

帰属意識や地域性、来場層……他とは違うJリーグというコンテンツやアウェイサポーターの特性を踏まえた上で、一種のDMOとして活動を展開することで、一過性ではなく継続的に地域へ還元していく。

単なるイベントやアーティストなど他のコンテンツとは一線を画した活動こそが真のシャレンであり、差別化によってJリーグJリーグクラブの存在意義は高まっていくはず。

 

地域貢献→存在意義の高まり→賛同者の増加→新たな地域貢献→存在意義の高まり…というサイクルを回していく事ができれば、サンガスタジアム by KYOCERAの賑わいはより増していく事だろう。これは他都市でも同じことが言える。

今回『 #蝗活 』タグを追っていって、京都という観光都市にあるクラブでもポジティブな可能性を再認識させられたし(本拠地が9万人足らずの亀岡だからこそでもあるが)、外部へ積極的に発信してくれているFC東京サポーターの方には本当に感謝する。

と同時にもうこれ以上ホームで負けたくないので、今後は勝ち点とお金の両方を落としていってもらう様にチームのより一層の奮起に期待したい。

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(※もちろんFC東京サポーターの投稿に京都のスポンサー企業様の名前が出てくる訳ではないけど、行政担当者や各既存・新規スポンサーに対して「地域にこんな波及価値があるよ〜」って材料集めはちゃんとするよね…?)