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伊藤社長インタビュー記事(京都新聞)について

 

6月下旬に公開された記事に今更触れるのもなんだけど。スルーするよりかはと。

伊藤社長へのインタビュー記事は京都新聞の無料Web会員登録で全文読むことができます。

 

 

 

>観客動員数について

「家族連れを呼び込みたい。サンガが運営するスタジアムと、亀岡市が担う駅前の広場で、一体的にイベントを行っていきたい。」

サンガスタジアムの難点の1つは周辺スペースの不足なので、現状食事と寛ぎの場となっている駅前広場の活用含めて何かは考えている様子。

これはスタジアムの稼働率に対しても言える事ですが、年間試合数が20試合程度しかない=20回しか試行回数がない訳で。一刻も早く今の「チケット代と引き換えにただサッカーの試合だけを見せている」アマチュア状態から脱却して欲しいなと思います

それとも、トークショーが精一杯のイベントなのだろうか。。。

 

 

マーケティングでの取り組みは

(チケット購入などで利用できる)JリーグIDの登録者を増やすことが入場客の増加につながる。昨年は4万7千人だったが、6万人近くまで伸びた。今年は7万人を目指したい。ファンクラブは昨年の5千人近くから、8千人を超えた。スタジアムでの利便性が高まるように、スマートフォン用のアプリを開発している。入場の手続きがスムーズになり、飲食の紹介やマップなどを掲載する。できれば夏中に始めたい。

JリーグIDについては福岡の経営状況説明で知っていたので特に新情報も驚きもなし。

 

ファンクラブは5千から8千へ増加とあるが、過去を振り返ると2015年が8567人(但し入会しながら来場回数0が3千人以上)。2017年が1万1千人超であり、そもそも5千人や8千人という人数を単年比較で評価できる数字ではない。

本来ストックされていくはずのファンクラブ会員数が、なぜ下手なダイエットの様に増量と減量を繰り返してきたのか?をつまびらかにしないと評価のしようがない。後また同じ事を繰り返す羽目になる。

2015年ファンクラブ会員獲得に関する結果と検証、次年度への向けた活動指針について|京都サンガF.C.オフィシャルサイト

2015年観客動員目標21万人に対する結果と検証について|京都サンガF.C.オフィシャルサイト

京都サンガF.C.現状説明会【議事録】|京都サンガF.C.オフィシャルサイト

 

アプリについては、「じゃあ既存のアプリは何だったんだろう…」というのが第一印象。まあ様子を見てみようではないか

それから、これもまたスタジアムと一緒で、「年間20日程度の試合開催日にしか使わないアプリ」では何の意味もない。何を目的にアプリをツールとして用いるのかが整理されている事を神に祈ります。アプリを通じて既存サポーターは勿論のこと地域住民や企業に何かメリットをもたらす事ができれば面白くなると思います。(ターゲットが広くなりすぎてボヤけるのも不味いですが)

役に立つ機会が限られているものに金を掛けても当然効果は限定的。

「京都サンガF.C.アプリ」配信開始のお知らせ|京都サンガF.C.オフィシャルサイト

 

 

 

>5月末に発表された昨期の決算では、2期連続の黒字となった。今年の見通しは。

収入は昨年より4割上がる。J1効果もあってスポンサーや入場料収入が増え、リーグの配分金も上がった。(夏場の補強に向けても)クラブとして支える力がついてきた。ただJ1の平均には届いていない。スポンサーは昨年330社で、今年の目標は450社。既に400社を超えている。地域に根付きながら上位を目指すには、ある程度の財政基盤が必要。

22億9百万円の4割UPなので、単純計算すれば初の収入30億円突破が見込めているという事。これは非常に喜ばしい事なので、成績やカテゴリーに左右されづらい収益構造=勝ち負けに拘らない価値を提供できるように、もっともっと努めて欲しい処です。

 

 

>今年のスローガン「みんな輝け」に込めた思いは。

地域に愛され、自分が支えているんだ、自分の応援で勝っているんだと、みんなに思ってもらえるクラブにする。みんなに自分のクラブと思ってもらい、それぞれの価値観に合ったところで喜ばれるようにしたい

何も間違ったことは言っておられませんし、実現できれば素晴らしい事だと思います。

でも、この「みんなが自分のクラブだと思っている」とはどんな状態の事を指すのでしょうか?その為に何が必要なのでしょうか?要件を満たす為に何を行い、進捗はどうなっているのでしょうか?

 

これまでもそうですし、先般のSDGs宣言も同じですが、ただひたすらに「甘い」。

 

目的、目標、指標と進捗状況が不明。

みんなが自分のクラブだと思える様になるには、みんなで向かうべきゴールを共有して進まなければいけないのでは?この状態で「自分事」として捉えられるか?オーナーシップが生まれるのか?

第一に定義が甘い。情報共有の度合いが甘い。共有されないから適切な検証もされず、反省も甘い。だから改善されず、ずっと甘いまま。

 

結果として「できない」事もあるのは仕方がない事。

そうではなく、「できる」「できない」以前に「していない」は論外。

あるいは「している」のに「していない」と思われてしまうのも論外。

 

「投票に行こう!」と呼びかけても石の様に動かない層が居る様に、人を動かすには相応の動機が要る。万人を動かすにはパワーが要る。ならばまずは身近な存在から味方に付けるべきでは…?

 

大きな責任企業を持たない地方クラブでも(いや、だからこそ?)、できている事を何故できないのか。

数値目標|ロアッソ熊本 公式サイト|ROASSO KUMAMOTO OFFICIAL WEBSITE

11のゴール | 水戸ホーリーホック公式サイト

 

 

クラブの本質が変わらない限りはチームも変わらず、やがて瓦解の日はやって来る。

今は"たまたま"上手く行っているだけ。

このまま再現性がない状態で現監督体制の賞味期限を迎えると再び陽は沈み、浮上にはとてつもないエネルギーを要する事を、11年間のJ2生活と過去30年弱のクラブ運営からいい加減に学ぶべき。

いや、治そうにも付ける薬がとっくに無いのだろうか。

 

 

 

また今回残念に思ったのは、今季は非常にクラブへの注目度も高まっている中で、用意された紙面スペースに対して情報量が少なかったこと。

話が薄かったのか、そもそもインタビュー時間が少なかったのか。

 

貴重なPRの場でもあった訳で、京滋の個人・法人の心に刺さる様なメッセージの1つも打てなかったのは非常に残念であった。