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【検証】クラブユース選手権(U-18)に於ける各Jリーグクラブ広報活動の充実度を比べてみた

 

 

夏の風物詩、クラブユース選手権こと「日本クラブユースサッカー選手権(U18)」が7月23日に開幕した。

東日本大震災以降、U-15大会は北海道・帯広にて。そしてU-18大会は群馬がメイン会場として開催されている。

 

関西大会を勝ち抜いた京都サンガU-18も出場したが、グループリーグ初戦・2戦目を連勝で乗り切るも最終戦は後半ATの被弾で敗戦。残念ながら2勝1敗で3チームが並ぶ「マイアミの奇跡」状態となり、得失点等で最終的に3位に転落。早くも敗退が決まってしまった。

 

さて、そんな今大会の初戦で気になったのが、SNSでの投稿を含めた広報の充実度合い。

 

果たして、このような広報活動の不足具合は京都以外にも共通して言えるのだろうか?

単体で取り上げるだけではアンフェアさもあるので、今大会に出場しているJリーグ全クラブと比較して監査します。まっすぐ👊

 

 

検証ルール

各クラブにとって初戦となる7月23日のグループリーグ第1節に関する活動を監査対象とする。

ポイントとなるのは以下の3つの項目。さらにその充実度合いを検証し、個人の独断と偏見で100点満点で点数評価を行う。基準としては60点以上が合格となる。

1.大会(試合)前日までに、大会の告知を行っているか?

→直前ギリギリになっていないかどうか。配信や観戦の案内はあるか。

2.即時性の高いSNSにて試合結果等アナウンスを行っているか?

→タイムリーさ。内容の濃さ。アカウントの運用方法はどうか。

3.試合後、公式記録・結果についてクラブ公式HPでリリース/掲載を行っているか?

SNSだけでなくHPで更新しているか。アーカイブ機能があるか。

 

 

A組

大宮アルディージャ・・・58点

告知:◯ SNS:◯ リリース:△

トップチームのリーグ戦当日だった事も影響したのか、SNS投稿こそかなりタイムラグ(その日の深夜)が見受けられたが、監督コメントや充実のフォトギャラリーなどリリース内容は驚くほどにしっかりしている。事後だけでなく、開幕の数日前には監督コメントや日程を記載したリリースも有り、最低限押さえておくべきポイントを捉えている。しかし、結果一覧が無く、リリースを追わなければ振り返られない(アーカイブ機能が弱い)点が残念。

 

サガン鳥栖・・・55点

告知:△ SNS◎ リリース:△

リリースはメンバー等必要最小限だが、パワーを割き過ぎずちょうど良い。ただし試合結果一覧が無く、大宮同様にアーカイブ機能はこのリリースのみ。即時性の高いtwitterでの試合結果投稿は午前中に済ましており早かった。

 

アルビレックス新潟・・・20点

告知:無し SNS:△ リリース:△

アカデミー専用のinstagramアカウントで試合結果を投稿。リリースはメンバーリスト等はわからず、得点者のみ名前が出る形。クローズな場でリリースをしても広まり様が無いので、残念。

 

栃木SC・・・50点

告知:◎ SNS◎ リリース:無し

隣県・群馬での開催だったこともあってか、非常に初戦の広報に熱の入っていた栃木。試合結果リリースと一覧の更新こそ行われていない(多分処理が追いついていない)が、告知リリースにはライブ配信ページのURLや応援ルールが掲載。単なるお知らせではなく、「チームを後押ししていただければ幸いです」と読み手を意識した内容は二重丸。ガムシャラ感を評価し不合格の中でも上位クラス。

 

 

B組

サンフレッチェ広島・・・35点

告知:✕ SNS:◯ リリース:✕

SNS投稿が遅めなのと、試合結果リリースも無し。全般的に二の次感を感じてしまう。

 

ベガルタ仙台・・・40点

告知:◯ SNS:△ リリース:△

Twitterアカウント開設がべらぼうに遅かった事でお馴染みベガルタ仙台。アカデミー専用のアカウントで投稿があるものの、肝心のクラブ公式アカウントは一切RT等で共有せず。それではダメなんですよね。新潟といい、アカデミーの情報でアクセス数を得る事(更に言えばお金を稼ぐこと)を良しとしていない空気を感じてしまいます。なお、初戦のリリースはthe標準点ですが、第2節のリリースは選手コメントや写真がとても充実していて凄いと思いました。ただアーカイブ機能がリリースのみ。なんで一覧を載せないクラブがこんなにも多いのか。。。

【ユース】第47回日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会グループステージ2日目結果 | ベガルタ仙台オフィシャルサイト

 

湘南ベルマーレ・・・55点

告知:○ SNS:○ リリース:△

6月下旬の組み合わせ決定時にHP上で告知リリースするなど、ちゃんとやる事をやっている印象。ただし、SNSでの試合結果投稿は素早いけども添付画像が無かったり、リリースもメンバーリストの掲載などは無し。三角に近い丸であり、本当に必要最低限って感じです。そしてここもアーカイブ機能はリリースだけ。ナゼー。

 

 

C組

鹿島アントラーズ・・・48点

告知:✕ SNS:◯ リリース:△

結果の掲示が簡素すぎるが、SNSはアカデミーのアカウントでの投稿をクラブ公式が共有しておりセーフ。でもそれだけ。

第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会 | 鹿島アントラーズ オフィシャルサイト

 

ファジアーノ岡山・・・20点

告知:△ SNS:△ リリース:✕

岡山もアカデミーを一般社団法人へ切り離しているんですね。リリースはまだ追いついていない様ですが、選手紹介ページの「憧れ・目標とするトップチームの選手」欄は良いですね。

 

いわきFC・・・35点

告知:○ SNS:◯ リリース:✕

試合結果のリリースが無いというか、そもそもアカデミーについてはページが存在していなかった。しかし大会自体は組み合わせ決定時点で告知しているし、Jリーグ昇格初年度である事を加味すればまだ良い方か。

 

京都サンガF.C.・・・35点

告知:無し SNS:△ リリース:○

大会/試合の事前告知はHP・SNS共に0。試合後投稿は6時間後。記事冒頭の指摘ツイートよりも後に、添付画像もなく"とりあえず"感の強いツイートを投稿したもの。本当にアカデミーの事を資産だと思っていたら、重要視しているのならば、もう少し知恵を絞ったり工夫をすると思うのですが…

今回他所と比較して分かった良い点としては、通年の試合結果から試合の詳細を遡ることができる処。コメントやスタッツが充実しているクラブには劣るが、数少ないアーカイブ機能を有しているクラブと言える。

 

D組

ジュビロ磐田・・・40点

告知:◯ SNS:◯ リリース:✕

試合結果についてリリースは無し(結果のみ掲示)。告知はきちんと組み合わせ時にもリリースしているので、あれば合格点でしたが勿体無い。

 

FC東京・・・70点

告知:△ SNS:◎ リリース:◯

組み合わせ決定時の告知はなく、リリースは得点者のみと簡素。しかし最低限抑えておくべき要所はカバー。アーカイブ機能が充実すれば上位に挙げてよかった。

 

長野パルセイロ・・・45点

告知:✕ SNS:◯ リリース:✕

SNS運用はアカデミーのアカウントで投稿して、クラブ公式アカウントが共有(RT)する形。リリースはしているが、そもそもアカデミーの試合結果ページが存在せず。あとTwitterのヘッダー画像がアルウィンでの記念写真なのは変えた方が良い気がします。

 

ガンバ大阪・・・15点

告知:✕ SNS:✕ リリース:△

告知なし。SNS投稿もなし。リリースは無くて、アカデミーのページにある試合レポートは普段のリーグ戦同様に経過がわかるものだが…ここまで無いとは。やる気無いのかな?

 

 

E組

横浜F・マリノス・・・20点

告知:✕  SNS:△ リリース:✕

マリノスもアカデミーを管轄する法人が別だからなのか、全くの別管理。夕方に投稿と速報性も無く、クラブ公式アカウントでの共有も無し。また組み合わせ時のリリースもなく、事前告知は0。…京都と同レベルですが画像だけは添付されている。でも試合結果の掲示すら7月25日現在で未だ無い。試合結果リリースの質の差を考えると京都以下という残念な結果に。

 

ジェフ千葉・・・75点

告知:◎ SNS:◯ リリース:◯

リリースは無いがスタッツページJリーグトップクラス。しかしジェフのHPはオシャレに振り過ぎてて私の様なポンコツにはどこに何があるのか少し分かりづらい。事前の告知リリースもあるし、全般的に必要な要素を抑えられています。

ジェフユナイテッド市原・千葉U-18 第47回 日本クラブユースサッカー選手権(U-18)大会出場について|ニュース|ジェフユナイテッド市原・千葉 公式ウェブサイト

 

ロアッソ熊本・・・55点

告知:◯ SNS:◯ リリース:△

リリースは有だが、メンバーや試合結果ページが無いのは残念。

 

名古屋グランパス・・・92点

告知:◯ SNS:◎ リリース:◯

試合結果のリリース有。組み合わせ決定時のリリースも有。SNSもしっかり活用。それだけに試合結果一覧から各試合の詳細・リリースへ飛べない点が残念…しかし、さすがは名古屋グランパス。文句なしの高評価です。

 

 

F組

横浜FC・・・35点

告知:◯ SNS:✕ リリース:✕

SNS更新は1試合目が無しで2試合目から有り。なので判定上は無しに。だが、試合結果の掲示やリリースはマンパワー不足か追いついていない様子。大会の事前告知は出来ており、心情的には好感が持てる広報体制だろう。

 

大分トリニータ・・・45点

告知:◯ SNS:△ リリース:△

SNSはアカデミーのアカウントのみ。結果についてはシーズン通じてリリースや掲示が無く、アカデミーのブログにて投稿される形。一応3つの要素を備えてはいるが別媒体での掲示の為合格点とはせず。惜しい。

 

徳島ヴォルティス・・・45点

告知:◎ SNS:◯ リリース:△

SNS投稿あり。告知もしっかり事前と直前に実施。結果についてはアカデミーブログにて掘り下げているが、メンバー等詳細が掲載されず。別媒体でまとめる手法はあまり評価できない。

 

セレッソ大阪・・・50点

告知:✕ SNS:△ リリース:◎

チーム数が多い中で日頃から週末の試合情報をきちんと更新しているセレッソ。しかし例の「アカデミー垢で投稿→共有ナシ」パターン。トップとアカデミーの法人切り離しを行なった元祖であり、結果などもきちんと振り返りやすく更新されているが、情報も分断されてしまっている。コーチによるレビュー投稿など充実はしているのだが…勿体無い。

日本クラブユース選手権大会 グループステージ F組 徳島ヴォルティスユース戦|レビュー: - セレッソ大阪スポーツクラブ公式サイト

 

 

G組

北海道コンサドーレ札幌・・・30点

告知:✕ SNS:△ リリース:✕

とにかく速報性に重きを置いていたのが札幌。試合前の撮影画像を待たずして、敗戦後直ぐの10:12に結果を投稿しています。しかし、残念ながらアカデミーのアカウントにて投稿し、クラブ公式での共有(RT)は無しパターン。アカデミー垢のフォロワー4千強に対して、クラブ公式は14万ですから寂しい話。結果についてはリリースが無く、試合結果の掲示も7月25日現在で未だ無し。組み合わせ決定時もリリースも無し。勿体無い。

 

ブラウブリッツ秋田・・・35点

告知:◯ SNS:△ リリース:✕

秋田はアカデミー用のアカウントで投稿→クラブ公式で共有"ナシ"パターン。このパターン、個人的には謎でしか無いのですが散見されますね。どういう意図なんでしょうか。組み合わせ決定リリースは有ったものの、試合結果のリリースやメンバー等試合結果の詳細までは見受けられず

ちなみに、今大会の出場に300万円の遠征費用が発生することから支援を募っておられます。(なおさら公式アカウントでも結果について投稿した方が良いのでは)

第47回 日本クラブユース全国大会(U-18)出場に伴うご支援のお願い | ブラウブリッツ秋田

 

浦和レッズ・・・30点

告知:✕ SNS:✕ リリース:◯

SNS投稿無し。事前リリースは組み合わせ時・直前共に無し。ただし、個別のリリースも有り、試合結果周りはトップクラス。SNSを活用できていれば自ずと直前告知も入ってきたはずなので、高得点になったと思われるが。

 

清水エスパルス・・・75点

告知:✕ SNS:◯ リリース:◎

組み合わせ決定時や大会直前のリリースは無いが、SNS(とアプリ)では更新されていたので△よりの✕か。試合結果リリースと別の大会含め結果一覧については素晴らしい。満遍なく出来ている事を考えると自ずと高評価に。

 

H組

V・ファーレン長崎・・・35点

告知:✕ SNS:◯ リリース:✕

SNS投稿こそあるが、組み合わせ決定時のリリースや結果の掲示等は無し。というか、長崎はジャパネット体制になって5年も経過するのに、未だにニュースリリースがカテゴライズすらされていない。スタジアムシティプロジェクトは素晴らしいけれど、あまりにも細部を疎かにしている点がトップチームの成績にも滲み出てしまっている気がする。

 

ヴァンフォーレ甲府・・・35点

告知:◯ SNS:△ リリース:✕

出ました。定番のアカデミー専用アカウントのみで投稿パターン。組み合わせ時のリリース有りで、試合結果についてはリリース含め7月25日現在で未掲載。

 

ヴィッセル神戸・・・0点

告知:✕ SNS:✕ リリース:✕

そんなバカな…。SNS投稿なし。リリースも一切無し。結果の掲示もなし。衝撃の全て無しが現れてしまいました(プレミアリーグその他は更新されている)。隠れているアカデミー専用アカウントがあるのかしら。もしかして関西Jクラブ勢、ヤバい…?

 

川崎フロンターレ・・・95点

告知:◎ SNS:◎ リリース:◯

組み合わせ決定時のリリース有。試合結果のリリース発表こそ無いが、サイレントで結果は掲示しており、アーカイブ機能は充実。メンバーリストのみならず監督コメント・選手コメント・レポートを掲載するなど内容も良し。ほぼ文句なし。

 

 

 

結果発表

出場Jリーグクラブ全31クラブを順位付けしてみたらこうなった。





合格点を与えても良いクラブがそもそも5クラブのみ。京都は18位タイで下からは8番目だが、「相対的には」すこぶる悪い訳でもなかった。まさにどんぐりの背比べ。

 

・大会前に存在を告知/周知する。

SNSにてインプレッションが高まる様に第一報を流す。

・公式結果をリリースし、将来誰もが簡単に振り返ることのできるように記録を残す。

試合の実況や詳細なレポートまで求めるつもりはさらさらない。極端にスピードを求めるつもりもない。しかし、たったこれだけの事がここまでできないとは……京都のみならず非常に残念な結果となってしまった。

 

 

私は何も感情論で「ユースを軽視するな」と言いたい訳ではない(勿論その想いもあるにはあるけども)。

 

甲子園や国立には数万もの観衆が集まる。片や、Jユースの試合は、カップ戦の決勝戦で1千人程度。高円宮杯ファイナルで1万人前後。この差を「歴史」という言葉で片付ける人もあるだろう。確かに高校野球高校サッカーもコンテクストは高い。

しかし、Jリーグも発足から30年が経つ訳である。「プロスポーツクラブ」が運営しておきながら、歴史を言い訳に蔑ろにしてきたからこそ、コンテンツとして成長してこなかったのではないか。コストセンターのままなのでは無いか。

それとも高校生や中学生で金を稼ぐのが「汚い」という考えか?確かにあくまでプロ予備軍な立ち位置に居るだけであって、まだ何者でもない若者だが。

 

 

京都サンガで言えば、スタジアムは亀岡にあるが、練習場はサンガタウン"城陽"である。ユース生は城陽の寮で寝食を共にし、城陽のピッチで鍛錬している。

例えば、サンガタウンを開放して、城陽の人たちが集って食事や会話を楽しめる機会を作る。見ても見なくても自由だけどユースの試合をそのコンテンツに織り込む。彼等が外に出る。そして市民を呼び込む。そうして境界線を溶かしていくことで耳目を集める。

注目を受ける。応援してもらえる。応援される人になり、応援できる人になる。これは間違いなく将来に活きる経験であり、サッカーの技術を向上させる上でも重要だろう。トップに上がって初めて大観衆の前でプレーする緊張感やプロのエンターテイナーとしての鍛錬を経験するのではなく、早めから慣れておくに越したことはない。

また、大学や他チームを経て必要とされた時に、応援が"復帰"の理由になる。あるいは、スポンサーなど違った形で再び仲間として寄り添っていけるのならば、サポーター冥利に尽きるものだ。

 

 

こういう広い視野と熱意を持って当たれる人間が、支える側にも観る側にも乏しい。その背景には、そうならざるを得ない環境・構造が放置され続けている。

だからと言って、やれ「資産」だの、「ウチの子」だの、都合の良い時だけアカデミーを持ち出す勝馬乗りを許せるはずもなく。

 

ド真剣ならばもっと行動は変わっているはずである。クラブも、サポーターも。

 

See you soon…!

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